時間的コヒーレンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 09:39 UTC 版)
マイケルソン干渉計では、経路差Δsが大きくなるほど、干渉性が単調に悪くなる。 この現象を理解するために、光源の光がきれぎれの正弦波の集まりだとする。実際の光では、振幅と位相の決まった正弦波として表される一つながりの波(波連)の長さは有限であり、異なる波連の間では位相関係がランダムであるとする。 すると観測点(検出器の位置)での波連は、同一の波連の間では干渉性が良く、異なる波連の間では干渉が全く観測されない。よってΔs=0の場合には干渉の鮮明度が最大になり、Δsが大きくなるにつれて、波連の重なりが悪くなり干渉性も悪くなる。 この場合、この波連の長さはコヒーレンス長(もしくは縦コヒーレンス長)L、波連の続く時間はコヒーレンス時間tに対応する。コヒーレンス時間は光源のスペクトル幅Δνとの間にt~/Δνの関係がある。つまり時間的コヒーレンスとは、「観測点において時間をΔs/cだけずらした2つの波を考えたときに、それらの位相関係にどれだけの秩序性があるか」ということである。 非線形光学においてもコヒーレンス長という言葉が用いられる。この場合は入射光とそれにより誘起された非線形分極波との間の波数ベクトル不整合Δkに対し、L=π/Δkで定義される。このコヒーレンス長は、上記の一般のコヒーレンス長より短く、実際には入射光と非線形分極波との位相相関はこの長さよりかなり長く保たれる。
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