想像に登場する岩内の人々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 17:24 UTC 版)
「生れ出づる悩み」の記事における「想像に登場する岩内の人々」の解説
「君」の家庭 大きい漁場の持ち主であったが、さびしい漁夫と少しも変わりのないように貧窮していく。根性の強いひとたちばかりで激しい運命を真正面から受け取って働いていくが、元の漁場が使い物にならなくなり駄賃を出して他人から借りねばならないこと、鰊の群来が年々減ったことにより追い迫られていく。 父上 「君」の父。海の中から生まれて来たような老漁夫。 兄上 「君」の兄。どちらかと言えば漁夫としての健康は持ち合わせていない。初生児が生まれていたが死亡している。 妹 「君」の妹。配縄の繕いなど手伝いをしている。ある時(七)夜に「君」と二人だけ囲炉裏に残った時、彼の絵に触れる話をする。 母 「君」の母。長わずらいの後に夫に先立った。 嫂 兄上の妻。妹とともに竈に火を燃やし、囲炉裏の間を片付けて、帰ってくる「君」たちのために心を尽くす。 二人の漁夫 雇われて、「君」や家族と同じ船の中で漁を行う。ある年の三月に「君」の家族とともに暴風に巻き込まれて生き延びる。 漁夫たち 幾百人が進退の合図をする模範船を頼りに漁に出て散らばり、毎日一命を投げてかかって一生を過ごして行く。境遇への疑いも不平もなく、それを勇ましく迎え入れている。 お内儀さんたち 夫や兄、恋人である情人を介抱したり、船を見送ったりする。 水難救済会の制服を着た人たち 三月の暴風から辛くも逃げ延びた人らのために駆け回る。 女でめん、海産物の仲買い 春の日に「君」が家を出ると往来で漁夫と混じって賑やかに浮き浮きしている。冬が遠のいて、鱈の漁獲が終わり、鰊の先駆もまだ来ていない海に出て働く人たちを語っている。 年配な内儀さん 「君」に浜に行くのかと声をかける。肯定されず、奇妙だと噪いだことを言い、群衆が笑う。 手代 札幌のある大きなデパートメント・ストアの臨時出店に際し十人近くで準備をしている。 男の子 スケート下駄をはいて夢中になり、「君」に気がつかないまますり抜ける。 K 「君」の岩内でたった一人の話し相手。「君」の絵を見るたび感心し、絵かきになれと勧める。Kは「君」から見て文学者になれそうな男ではあるが、父のもとで調剤師として一生を送る決心をし、諦めている。 Kの父 調剤師。気難しく、「君」のことをKの悪友のごとく思い、行ってきげんのいい顔を見せた事がない。 海産物製造会社の人夫たち 陸に戻った漁夫たちと入れ替わって、船の中の海産物を放り出す。浜に待ち構えている男たちがそれを数え、竹や藁で編んだ容器である畚(ふご)に叩き込む。 会社の数取り人 漁夫やお内儀さんたち男女に慣例の如くけんか腰で苦情を言い募られる。命がけの労働の結果を捨て値で買い取る。 その男 二三百万円の富を祖先から受け嗣ぎ、小樽には立派な別宅を構え、一年中する仕事もなく退屈を紛らすむなしい惰け者。「君」と小学校時代には教室を一つにしながら、年月の間に生活はかけ隔たっている。
※この「想像に登場する岩内の人々」の解説は、「生れ出づる悩み」の解説の一部です。
「想像に登場する岩内の人々」を含む「生れ出づる悩み」の記事については、「生れ出づる悩み」の概要を参照ください。
- 想像に登場する岩内の人々のページへのリンク