応用: 座標変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/06 00:21 UTC 版)
以下、座標系 (x1, …, xm) で座標付けられた m-次元空間を考える。これに適当な函数系 h1, …, hm を施して、新たな座標系 (x'1, …, x'm) を導入する。すなわち、各点の新座標は旧座標から x 1 ′ = h 1 ( x 1 , … , x m ) , … , x m ′ = h m ( x 1 , … , x m ) {\displaystyle x'_{1}=h_{1}(x_{1},\ldots ,x_{m}),\ldots ,x'_{m}=h_{m}(x_{1},\ldots ,x_{m})} と計算することができる。この逆が可能であるかどうか、すなわち各点の新座標 (x'1, …, x'm) から旧座標 (x1, …, xm) に戻せるか、を検証したいと考えるかもしれない。この問いに、陰函数定理は一つの答えを提供する。 新旧の座標の対、(x'1, …, x'm, x1, …, xm) は f ( x 1 ′ , … , x m ′ , x 1 , … x m ) = ( h 1 ( x 1 , … x m ) − x 1 ′ , … , h m ( x 1 , … , x m ) − x m ′ ) {\displaystyle f(x'_{1},\ldots ,x'_{m},x_{1},\ldots x_{m})=(h_{1}(x_{1},\ldots x_{m})-x'_{1},\ldots ,h_{m}(x_{1},\ldots ,x_{m})-x'_{m})} と置くことにより、f = 0 なる関係を持つ。ここに f の適当な点 (a, b) = (x'1, …, x'm, x1, …, xm) におけるヤコビ行列は D f ( a , b ) = ( − 1 ⋯ 0 ∂ h 1 ∂ x 1 ( b ) ⋯ ∂ h 1 ∂ x m ( b ) ⋮ ⋱ ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ 0 ⋯ − 1 ∂ h m ∂ x 1 ( b ) ⋯ ∂ h m ∂ x m ( b ) ) = ( − 1 m ∣ J ) {\displaystyle Df(a,b)=\left({\begin{array}{ccc|ccc}-1&\cdots &0&{\frac {\partial h_{1}}{\partial x_{1}}}(b)&\cdots &{\frac {\partial h_{1}}{\partial x_{m}}}(b)\\\vdots &\ddots &\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\0&\cdots &-1&{\frac {\partial h_{m}}{\partial x_{1}}}(b)&\cdots &{\frac {\partial h_{m}}{\partial x_{m}}}(b)\\\end{array}}\right)=(-1_{m}\mid J)} で与えられる。右辺の 1m は m×m-単位行列で J は各偏微分の (a, b) における値からなる行列である(これらは上で X および Y と書いていたものである。いまの例ではたまたまどちらの行列も a に依存しない)。陰函数定理の主張に従えば、この行列 J が正則であるときには、(x1, …, xm) は局所的に (x'1, …, x'm) の函数として表される。J が正則であることは det(J) ≠ 0 と同値であるから、J の行列式が非零であるとき、新座標は旧座標に引き戻すことができることが分かった。この主張もまた逆写像定理と呼ばれている。
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