工数と工程設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 16:33 UTC 版)
工数とは、製造原価を決定する数値で、工程設計によって計算される(工数は作業時間の見積り値としての意味もあるが、生産技術的には「工数」と「作業時間」および「見積り」は違う意味の用語である)。工程設計を記述した工程設計書といい、設計部門で言えば図面に相当するもので、厳密な規格書である。一般的には、工数にチャージ(賃率/ローディング)という単位時間あたりの費用を掛けることで直接労働費、つまり人件費が算出される。従って工数を決めることは製造原価を決めることに等しく、生産技術者にとって最も重要な作業である。 一方、生産技術における作業時間とは実際の仕事の時間をストップウオッチなどで計測した数値である。また、生産技術における見積りとは図面の特徴(部品数や重量)から一意的に導かれる数値である。例えば重量に係数を掛けて求めたコストなどが見積りである。 工程設計は見積りとよく似ているが見積りと最も違うのは、それが単純に時間を積み上げた数字ではない点である。工程設計では、まず製品の設計図から実際に必要となる作業手順を積み上げる。ここまでは見積りと大差無いが、工程設計の場合は、積み上げた製造作業手順を少なくする検討を行う。これを生産性検討などと言う。作業手順を少なくする手段としては、設計変更、治具・設備の開発・改良、生産ラインのレイアウト変更などがある。これらの工夫によって、2回行う作業が1回になったり、機械加工をプレス加工に変更するなどして、製品の品質・機能を損なうことなく製造作業手順を少なくしていく。この最適化された製造作業手順の見積時間が工数である。 工数は、既存生産設備能力や設備投資金額、工程設計を行った生産技術者の手腕・経験などによって変化する。 工数 - 工程設計により作成される規格値。工数にチャージを掛けると製造原価となる。 作業時間 - 実際の作業時間を時計で測ったもの。 見積り - 重さなど指数から大まかなコストを推定したもの。
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