安値落札(やすねらくさつ)
国や地方自治体が実施する競争入札において、確実に受注することを目的に、事業者が採算を度外視した低価格で落札することをいう。
競争入札では、複数の業者の中から最も有利な条件を出したところに工事などを発注する。そのため、事業者は受注価格をなるべく低めに抑えて応札する一方、利益を確保するためには、それなりの価格で応じる必要がある。
しかし、極端に低い価格を提示すれば、赤字となるにしても落札することは簡単だ。いったんひとつの事業を受注すれば、それが実績となって次の事業につながることがある。そのあとに大きな事業の受注が見込める場合、まずは赤字覚悟で先行する事業を落札しておこうというわけだ。
1989年、広島市水道局が実施したシステム開発に関する業務の競争入札において、富士通が1円で落札したことが話題になった。情報システムの基本設計業務を受注することで、そのあとに導入される大型汎用機を納入するとき、有利な立場となるからだ。
このような安値落札が横行すると、独占市場となって自由競争を阻害されるおそれがあるため、独占禁止法は、不当廉売(ダンピング)として、このような行為を禁じている。
(2001.11.26更新)
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