執筆意図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 03:03 UTC 版)
三島は『をはりの美学』について、若い女性読者を対象に読みやすさ、わかりやすさを主眼にして書き、「半分ふざけている」ために、「ふざけたことがきらひな人を怒らせるかもしれない」としながら、以下のように語っている。 まじめで良心的なのも思想だが、不まじめで良心的といふ思想もあれば、又、一番たちのわるいのに、まじめで非良心的といふ思想もある。私はこの第三の思想にだけは陥りたくないと、日頃自戒してゐる者である。この本は、私の著書の中でも、軽く書かれたものに属する。いはゆる重評論ではない。しかしかういふ軽い形で自分の考へを語つて、人は案外本音に達してゐることが多いものだ。注意深い読者は、これらの中に、(私の小説よりもより直接に)、私自身の体験や吐息や胸中の悶々の情や告白や予言をきいてくれるであらう。いつか又時を経て、「あいつはあんな形で、かういふことを言ひたかつたんだな」といふ、暗喩をさとつてくれるかもしれない。 — 三島由紀夫「あとがき」
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