四綱領
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 17:48 UTC 版)
天保2年(1831年)は「お蔭参り」の年に当たり、新七は商いの上で守るべき「利を薄くして売る」という言葉と「おかげ参り」に結びつけて、「オカゲニテヤスウリ(おかげにて安売り)」とし、商人の心得と基本姿勢を平素より忘れないように戒めた。創業時に「正札(掛値なしの正当な価格)」「正道(道義的に正しいこと)」「平等の待遇(客の貧富で差をつけない」を掟としてきたが、この三つの掟を元にして下記四つの規則(四綱領)を定めた。 第一義 確実なる品を廉価にて販売し、自他の利益を図るべし 商売の基本は確かなものを安く売ることであり、自分の利益だけを求めるのでなく、同時にお客様の利益も考えなければならない。 第二義 正札掛値なし 値段において駆け引きせず、正札でもって販売を行う。 第三義 商品の良否は、明らかに之を顧客に告げ、一点の虚偽あるべからず 商品の販売は値段で行うのではなく、値打ちのある商品を販売し、商品の良し悪しを十分納得してもらい誠意をもって商いを行う。 第四義 顧客の待遇を平等にし、貧富貴賎に拠りて差など附すべからず 人を見かけや貧富で評価してはならない。どんな人にも必ず誠意を持って商いを行う。 誠実な仕事ぶりは一層人々の評判となり、高島屋は盛況を得るに至った。それに伴い更に資金を必要としたが、新七の人柄を見込み五条新町東入ル(現京都市中京区)の大店呉服商『菱屋』主人青井孫兵衛が様々な支援を行った。新七はその恩を終生忘れず、菱屋が継嗣なく廃業した後も毎年新調する「買い入れ帳」の最初に青井孫兵衛の口座を書き入れた。新七は自家の信用と共に人の恩を大事にした。
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