呈色の物理学的原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 16:04 UTC 版)
顔料は特定の波長の光を選択的に反射または吸収するため、色があるように見える。白色光は可視光スペクトル全体をほぼ均等に含んでいる。この光が顔料に当たると、一部の波長は顔料に吸収され、他の波長は反射される。この反射された光のスペクトルが人の目に入ると色として感じられる。単純に言えば、青い顔料は青い光を反射し、他の光を吸収する。顔料は蛍光物質や燐光物質とは異なり、光源の波長の一部を吸収して除去するだけであり、新たな波長の光を追加することはない。 顔料の見た目の色は、光源の色と密接に関連する。太陽光は色温度が高くスペクトルも均一に近いため、標準的な白色光と見ることができる。人工的な光源にはスペクトルになんらかのピークや谷間がある。そのため、太陽光の下で見たときとは色が違って感じられる。 色を色空間で数値的に表す場合、光源を指定しなければならない。Lab色空間の場合、特に指定がない限り D65 と呼ばれる光源で測定したと仮定される。D65とは "Daylight 6500 K" の略で、ほぼ太陽光の色温度に対応している。 色の濃さや明るさといった属性は、顔料と混ぜ合わせた別の物質によっても変わってくる。顔料に加える展色剤や充填剤もそれぞれに光の波長の反射・吸収のパターンを持ち、最終的なスペクトルに影響を与える。同様に顔料を混ぜる量によっては、個々の光線が顔料粒子に当たらずに反射されることもある。このような光線が色の濃さに影響する。純粋な顔料は白色光をそのまま反射することはほとんどなく、見た目の色は非常に濃いものとなる。しかし大量の白い展色剤などと少量の顔料を混ぜると、色は薄くなる。
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