吊り橋から上路式アーチ橋へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 03:23 UTC 版)
「三好橋」の記事における「吊り橋から上路式アーチ橋へ」の解説
三好橋を吊り橋から上路式アーチ橋へと変更して延命するための工事は、1987年度内に始まった。工事の概略は、橋桁の部分を壊さないようにしながら、橋桁の下側に新たにアーチを作って橋桁を支えられるようにし、最後に既に健全性を失っていたメインケーブルを取り払うという工程である。なお、その際、橋桁の部分のトラス構造の構造体は、経年劣化を想定して設計時よりも5 %ほど断面積が減少しているものとして取り扱った。ところで、吊り橋とは橋桁の部分を上側に設置したメインケーブルから吊り下げて支えているタイプの橋であるのに対して、上路式アーチ橋というのは橋桁の部分を下側に設置したアーチから支えるタイプの橋である。つまり、この改造を実行すると、三好橋の橋桁は上から吊られて支えられていた状態から、下側から支えられる状態へと変化することを意味する。要するに、橋桁への力のかかり方が全く変わるわけである。したがって、この工事の際には、完了後の力のかかり方を充分に計算した上で行われた。特に、これまで橋を支えてきたメインケーブルの張力を緩めて、新たに建設したアーチの上に荷重をかけてゆく際は、計算値と実測値とを比較しながら慎重に移行作業が進められた。他に、吊り橋でなくなったために不要となった2本の主塔の上部の撤去なども行われた。そして、一連の改造工事は、1989年8月に完了した。なお、工事完了後に橋を人為的に振動させて、その挙動を見る試験を実施したところ、新たに設置したアーチが橋を支える構造体となり、三好橋を全体として見るとアーチ橋として挙動していることが確認された。なお、取り外されたメインケーブルの一部は、吊り橋を改造して延命させた記念碑に加工され、吉野川の右岸、つまり、土讃線の走る上を越える誇線橋側に吊り橋時代の写真と共に設置されている。
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