刃物の供出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 06:13 UTC 版)
東京都の駒込警察署管内の金物業者や一般家庭は、11月20日に署が管内の母の会、防犯協会などの役員や金物業者を集め「刃物を持たない運動」への協力を依頼したことを受け、28日に金物商の一人が飛び出しナイフ6本を防犯少年係に提出したことをきっかけに、金物業者6店からジャック・ナイフ、飛び出しナイフなど16本が届け出られた。また母の会の呼び掛けにより、一般家庭でも刃渡り60センチの日本刀、匕首、ナイフなど約100本が集められ、署へ届け出された。 神田警察署管内では、婦人部の役員約100名が「少年補導には、できるだけ参加しよう。当面不必要な刃物類を町から供出しよう」と決議し、運動期間中は町内の各家庭を巡回して供出運動を展開。匕首や飛び出しナイフ等の刃物類491点を供出し、警察へと提出している。 警視庁の「刃物を持たない運動」推進本部は、12月1日の時点で320点の刃物の届け出を受け、内5.2センチの飛び出しナイフ1本とナイフ3本、空気銃1挺を押収した。多くは「危いから…」と家庭などから持ち込まれたもので、内訳は鉄砲27挺(短銃14挺、その他13挺)、日本刀を含む刃物293本(刀剣58本、匕首50本、飛び出しナイフ39本、その他146本)。また、大森警察署でも同日までに刃物や鉄砲など、約30点の届出があった。大田区の工場長で、少年工ら工員の刃物を自ら回収して届け出し、工場内に「刃物及び鉄砲の所持を禁止する。この種のものを買わないように」と掲示した者もいた。 12月5日までに、都内の署では約5839点が自発的に提出され、内訳は日本刀535点、匕首及びその類似物854点、飛び出しナイフ563点、その他の刃物3689点、拳銃など198点だった。 また、1961年(昭和36年)1月21日までには、警視庁防犯部では「刃物点検簿」を2月20日から交番や防犯協会などを通じて無料配布することを取り決めている。この点検簿は家庭内にある刃物全部の名称・数・置き場所を記入するもので、警察官には家庭内の刃物を点検する権限がないことや、店で刃物が売られなくなると少年工などが刃物を自作することが増えると考えられることから、家庭内での自発的な管理を求めるものであった。
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