信頼性への挑戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 06:20 UTC 版)
前節の循環しているような文章は偶然ではない。これはソフトウェアの信頼性の測定に関する基本的問題を表している。信頼性は判断が難しく、特に事前にソフトウェアがどう使われるかを正確に想定することは難しい。問題は、従来ならば人間が担っていたであろう役割をソフトウェアが代替しているという共通の概念的錯覚から生じる。この問題は2つのレベルに分けられる。第一に、最新のソフトウェアは人間にはできないようなことを実行し、特に人間に比較するとその信頼性は非常に高い。第二に、ソフトウェアは人間の精神的な面を代替することはできない。つまり、融通を利かせるとか、常識を働かせるとか、概念的なことを理解する能力はない。 それにもかかわらず、多くのソフトウェアプログラムは何らかの目的を持つと見なすことができる。目的が明確に定義されるならば、ソフトウェアにある環境であるデータを与えたときに、予測される結果と実際の結果を比較することでその信頼性を客観的に判断することができることが期待される。しかし今のところ、プログラムに環境とデータを与えたときに、予測される結果や実際の結果を正確に求めることが可能かどうか定かではない。そして、そのような手段がなければ、プログラムの信頼性を確実性をもって決定することはできない。 しかし、実際のプログラムやプログラムの理論的記述について、その環境や入力による振る舞いを明らかにしようという試みはこれまでも数多くなされてきた。ソフトウェアの信頼性を改善するためのその種の試みは、実際のソフトウェア開発では様々な工程(要求仕様、設計、プログラミング、テスト、実行時評価)に適用される。ソフトウェアの理論的な信頼性の研究は、主に正当性の概念を扱い、形式言語やオートマトンといった計算機科学の数学的分野から派生している。
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