一律禁止合憲論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:22 UTC 版)
全農林労働組合の役員たる被告人が、警察官職務執行法の改正に反対する目的で、約2500名の農林省の職員に対し職場大会への参加を慫慂した行為等が、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)第98条第5項(争議行為の禁止)・第110条第1項17号(争議行為のあおり等禁止)の罪にあたるとして起訴され、同条項と日本国憲法第28条の関係等が争われたいわゆる「全農林警職法事件」について、最高裁は次のように説示し、前述の合憲限定解釈を否定した。すなわち、最高裁判所は同判決で、日本国憲法第28条による労働基本権の保障は原則として公務員にも及ぶことを認めるものの、 公務員の争議行為は使用者たる国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼす 公務員の勤務条件は国会の制定する法律と予算により民主的に決定されるものであり、公務員の争議行為は議会制民主主義に背馳し、国会の議決権を侵す虞がある 私企業における労使交渉であるようなロックアウトや、市場の抑制力による歯止めが、公務員の争議行為にあっては働かない 既に労働基本権の制約に対する代償措置が設けられている ことを理由とし、日本国憲法第13条の公共の福祉による制約により、争議行為を一律に禁止する国家公務員法の規定を合憲としたのである。(昭和48年4月25日最高裁判所大法廷判決)
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