ワッツ・ストロガッツモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/26 11:37 UTC 版)
「複雑ネットワーク」の記事における「ワッツ・ストロガッツモデル」の解説
このように、グラフ理論における既存の数学モデルは現実社会のネットワークを表現する上では一長一短といったところであったが、1998年にブレイクスルーが訪れた。ダンカン・ワッツとスティーヴン・ストロガッツが「ワッツ・ストロガッツモデル」(WSモデル)を発表したのである。 ワッツ・ストロガッツモデルでは次のアルゴリズムでグラフを生成する。 全ての頂点を、近隣の a 個の頂点と格子(1次元格子)状に辺で繋ぐ。 それらの辺を確率 p でランダムに張り替える。 パラメータ p を0とおけば格子、1とおけばランダムグラフとなる。p を0.1前後とすると、格子とランダムグラフをあわせもったような性質のグラフが生成される。ワッツ・ストロガッツモデルでは、ショートカットが形成される効果によって平均最短距離はほぼ L ∝ log n となり、スモールワールド性を満たす。同時に格子の構造を残していることで、クラスター係数は格子に近い値となりクラスター性をも満たす。 もっともワッツ・ストロガッツモデルにも限界があり、次数分布は格子とポアソン分布の中間となるのでスケールフリー性は満たさない。しかし、現実世界のネットワークに近いような性質を持つグラフを極めて単純なアルゴリズムで生成できることが関心を呼んだ。この研究に触発される形で、現実世界のネットワークが持つ性質への関心が高まり、またこの研究をさらに発展させた研究が続々と発表されていった。
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