ヤブレグサ Umbraulva japonica (Holmes) Bae et Lee
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からだは膜状で,基部から円形に広がるが,放射状に裂け目が入りやすい。生体はくすんだ緑色を呈する。細胞層は2層。手触りはセルロイド質で,アナアオサやナガアオサなどの他のアオサ属に比べやや厚い。アオサ属のほとんどの種類が,明緑色を呈するが,本種は体内では赤い色をしているシホナキサンチンという光合成色素を持つため,暗緑色をしている。
一般的に,海中では緑色の光が最も深くまで到達するため,緑色の光を効率的に利用するためにはその補色である赤色の色素が必要となる。紅藻類はフィコエリトリン,褐藻類はフコキサンチンという体内では赤い色をしている色素を多量に持っているが,緑藻類の多くは赤い色素を欠いており,生理生態学的に深所まで分布することができない。しかし,ヤブレグサ,チャシオグサ,ミル属などはシホナキサンチンを持つことにより,緑色の光を効率良く利用できるため,緑藻類の中では数少ない深所にまで分布できる種類であると考えられている。
大きさ:5~20cm
固有名詞の分類
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