ボイイ族とは? わかりやすく解説

ボイイ族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:53 UTC 版)

ボイイ族(ボイイぞく、ラテン語: Boii(単数形 Boius)、古代ギリシア語: Βόϊοι)は、中央ヨーロッパにいた鉄器時代のある部族に対して古代ローマ人がつけた名称である。特にバイエルンボヘミアはボイイ族の名と関係が深いとされている。共和政ローマ後期からローマ帝国にかけてのローマ人またはギリシア人の歴史家はボイイ族をケルト人またはガリア人とみなしていた。その居住地域各地から後に出土した金石文から、ケルト語派の言語が使われていたことが判明しているが、ボイイ族が実際に使っていた言語は不明である。


  1. ^ ケルト語などに見られる印欧語の短い o はゲルマン語では a に変化した。その形成に関する限り、ケルト語またはラテン語とゲルマン語の混合と思われ、語幹の母音 bai-o- がゲルマン語化した際に a に変化したと考えられる(例えば、ケルト語の ambio-rix とゲルマン語の þiuda-reiks)。 しかし、このような形式は極めて一般的であり(例えばアラマンニ人部族名 Raetovarii)、おそらく古代の著作家のラテン語の背景が影響していると思われるため、これを伝統的な語源学への反証として使うべきではない。
  2. ^ Pellegrini, Giovan Battista (1990) (Italian). Toponomastica italiana: 10000 nomi di città, paesi, frazioni, regioni, contrade, fiumi, monti spiegati nella loro origine e storia (4 ed.). Milano: Hoepli Editore. p. 110. ISBN 8820318350, 9788820318352  bono- の語源は未確定だが、一般認識として英語の -town と同様に地名に使われたとされている。その使用はボイイ族が住んでいた地域に限定されず、ガリア人の住んでいた地域に広範囲に分布する。Pellegriniはその意味を「基礎、基盤、町」だとしている。ただし Vindobona は「白い町」ではなく「*Vindos の町」を意味し、*Vindos はボイイ族も祀っていたケルトの神を意味している。
  3. ^ 他にケルトの故郷と別の場所の2箇所に別れた部族として、セノネス族(ウンブリアマルヌ川)、リンゴネス族(アエミリアとラングル高原)、セノマニ族(ヴェネツィアメーヌ川)、テクトサゲス族(ガラティアプロヴァンス)がいる。
  1. ^ Rankin, David (1996). Celts and the classical world (2, reprint, revised ed.). London and New York: Routledge. pp. 16. ISBN 0415150906, 9780415150903 
  2. ^ Falileyev, Alexander, ed. (2007). "Boii". Dictionary of Continental Celtic Place-Names. Aberystwyth University. 2009年5月2日閲覧
  3. ^ Koch, John T. (2006). Celtic culture: a historical encyclopedia (illustrated ed.). Santa Barbara, California: ABC-CLIO. p. 225. ISBN 9781851094400 
  4. ^ a b c ポリュビオス、『歴史』 II.17.
  5. ^ Pokorny, Julius (1998–2006). "bhei(ə)-, bhī-". Indogermanisches Etymologisches Woerterbuch (German). University of Leiden. pp. 117–118. 2006年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。 不明な引数|deadurldate=は無視されます。(もしかして:|url-status-date=) (説明)
  6. ^ Birkhan 1999, p. 99
  7. ^ ストラボン、『地理誌』、4巻 4.1、5巻 1.6
  8. ^ ティトゥス・リウィウス、『ローマ建国史』 V.35
  9. ^ Cook, Joel (1904). Switzerland, Picturesque and Descriptive. Philadelphia: International Press, J.C. Winston Co.. p. 29 
  10. ^ Williams, J. H. C. (2001). Beyond the Rubicon: Romans and Gauls in Republican Italy (illustrated ed.). Oxford University Press. pp. 201–202. ISBN 0198153007, 9780198153009 
  11. ^ ティトゥス・リウィウス、『ローマ建国史』 XXIII, 24
  12. ^ Cunliffe, Barry: "The Ancient Celts", Penguin Books 1999, pp. 72f.
  13. ^ Birkhan 1999, p. 124
  14. ^ ストラボン、『地理誌』、7巻 2.2
  15. ^ ユリウス・カエサル、『ガリア戦記』、7巻 75
  16. ^ Birkhan 1999, p. 251
  17. ^ CIL IX 5363)
  18. ^ http://www.gutenberg.org/files/16564/16564.txt


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