ベイズの定理
ベイズの定理
2 つの事象 A,B があるとき,
を ベイズの定理 という。
一般的には,B が r 個の排反事象に分かれるとき,観察された事象 A の原因が Bi である確率は,
となる。Pr{Bi} は 事前確率,Pr{Bi | A} は 事後確率 と呼ばれる。
例えば,A が女性であること,Bi が学年( i = 1,2,3,4 )としたとき,Pr{Bi | A} は,ランダムに抽出した学生が女子学生であるとわかったとき,その学生が Bi 学年である確率を表す。
学年 | 男子 | 女子 | 合計 | 女子の割合 | 学年の割合 | ベイズ確率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Pr{A | Bi} | Pr{Bi∩A} | Pr{Bi} | Pr{Bi | A} | ||||
B1 | 90 | 36 | 126 | 36/126 | 36/510 | 126/510 | 0.2209 |
B2 | 76 | 45 | 121 | 45/121 | 45/510 | 121/510 | 0.2761 |
B3 | 87 | 43 | 130 | 43/130 | 43/510 | 130/510 | 0.2638 |
B4 | 94 | 39 | 133 | 39/133 | 39/510 | 133/510 | 0.2393 |
合計 | 347 | 163 | 510 | Pr{A}=163/510 |
事前にわかっている確率は Pr{Bi}, Pr{A | Bi} だけでよい。
事後にわかった事実 “女子である” ということから,事後確率 Pr{Bi | A} を得ようとするのが問題の趣旨である。
2 年生の女子である確率 Pr{B2 ∩ A} = 45 / 510 は,2 年生である確率 Pr{B2} = 121 / 510 と 2 年生であるという条件付きでの女子である確率 Pr{A | B2} = 45 / 121 を用いて乗法定理の ( 2 ) 式から,
Pr{B2 ∩ A}
= Pr{B2} ・ Pr{A | B2}
= 121 / 510 ・ 45 / 121
= 45 / 510 …… ( 4 )
である。
女子であるという条件付きでの 2 年生である確率 Pr{B2 | A} は,乗法定理の ( 1 ) 式から,
Pr{B2 | A}= Pr{B2 ∩ A}/ Pr{A}
であり,( 4 )式および,
Pr{A}
= Pr{B1 ∩ A} + Pr{B2 ∩ A} + Pr{B3 ∩ A} + Pr{B4 ∩ A}
= 36 / 510 + 45 / 510 + 43 / 510 + 39 / 510
= 163 / 510
であるから,
Pr{B2 | A}
= ( Pr{B2} ・ Pr{A | B2})/ Pr{A}
= (121 / 510 ・ 45 / 121)/(163 / 510)
= 0.2761
となる。
ベイズの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/25 08:33 UTC 版)
確率論や統計学において、トーマス・ベイズ牧師にちなんで名付けられたベイズの定理(ベイズのていり、英: Bayes' theorem)、ベイズの法則、最近ではベイズ・プライスの定理[1]とは、ある事象に関連する可能性のある条件についての事前の知識に基づいて、その事象の確率を記述するものである[2]。例えば、健康問題の発生リスクが年齢とともに増加することが知られている場合、ベイズの定理により、ある年齢の個人のリスクを、単にその個人が集団全体の典型的な例であると仮定するよりも、(年齢を条件として)より正確に評価することができる。
- ^ Frame, Paul (2015). Liberty's Apostle. Wales: University of Wales Press. ISBN 978-1-78316-216-1 2021年2月23日閲覧。
- ^ Joyce, James (2003), Zalta, Edward N., ed., “Bayes' Theorem”, The Stanford Encyclopedia of Philosophy (Metaphysics Research Lab, Stanford University) 2020年1月17日閲覧。
- ^ Stuart, A.; Ord, K. (1994), Kendall's Advanced Theory of Statistics: Volume I—Distribution Theory, Edward Arnold, §8.7
ベイズの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/30 07:39 UTC 版)
現実世界で事象が発生した場合、通常、ある選択肢における選好が修正される。これは、選択肢を定義する事象に対して個人が抱く信念の度合いを修正することで行われる。 心臓治療の効果を調べる研究で、病院 j {\displaystyle j} の患者の生存確率を θ j {\displaystyle \theta _{j}} とする。生存確率 θ j {\displaystyle \theta _{j}} は、心臓病患者の生存率を高めると信じる人がいる事象 y {\displaystyle y} の発生で更新される。 イベント y {\displaystyle y} が発生した状況で、 θ j {\displaystyle \theta _{j}} について確率の記述を更新するには、 θ j {\displaystyle \theta _{j}} と y {\displaystyle y} の同時分布 P ( θ , y ) {\displaystyle P(\theta ,\,y)} を与えるモデルから始めなければならない。これは、事前分布 P ( θ ) {\displaystyle P(\theta )} とサンプリング分布 P ( y ∣ θ ) {\displaystyle P(y\mid \theta )} の積として記述することができる。 P ( θ , y ) = P ( θ ) P ( y ∣ θ ) {\displaystyle P(\theta ,y)=P(\theta )P(y\mid \theta )} 条件付き確率の基本性質から、事後分布は次のようになる。 P ( θ ∣ y ) = P ( θ , y ) P ( y ) = P ( y ∣ θ ) P ( θ ) P ( y ) {\displaystyle P(\theta \mid y)={\frac {P(\theta ,\,y)}{P(y)}}={\frac {P(y\mid \theta )\,P(\theta )}{P(y)}}} この条件付き確率と個々の事象との関係を示す式をベイズの定理という。この単純な表現の中に、更新された信念 P ( θ ∣ y ) {\displaystyle P(\theta \mid y)} を適切かつ解決可能な方法で組み込むことを目的とするベイズ推定の技術的核心が含まれている。
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