ベイズの定理とは? わかりやすく解説

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ベイズの定理

別名:ベイズ定理ベイズルールベイズ均衡
英語:Bayes' theorem、Bayes' law、Bayes' rule

ある事象Xが起こる条件下で、別の事象Yの起こる確率求めるための計算式イギリス数学者牧師であるトーマス・ベイズThomas Bayes)によって示された。

「ある事象Xが起こる条件下で、別の事象Yの起こる確率」のことを事後確率、または、条件付き確率といい、ベイズの定理はこの事後確率求めるための計算式である。

ベイズの定理は、次の恒等式で表すことができる。

P(Y|X)=P(X|Y)P(Y)/P(X)

ベイズの定理


 2 つ事象 A,B があるとき, ベイズの定理
を ベイズの定理 という。
 一般的には,B が r 個の排反事象分かれるとき,観察され事象 A の原因が Bi である確率は, ベイズの定理
となる。Pr{Bi} は 事前確率Pr{Bi | A} は 事後確率呼ばれる
 例えば,A が女性であること,Bi が学年( i = 1,2,3,4 )としたとき,Pr{Bi | A} は,ランダムに抽出した学生女子学生であるとわかったとき,その学生が Bi 学年である確率を表す。
表 1.ベイズの定理の導き
学年 男子 女子 合計 女子割合 学年割合 ベイズ確率
Pr{A | Bi} Pr{Bi∩A} Pr{Bi} Pr{Bi | A}
B1 90 36 126 36/126 36/510 126/510 0.2209
B2 76 45 121 45/121 45/510 121/510 0.2761
B3 87 43 130 43/130 43/510 130/510 0.2638
B4 94 39 133 39/133 39/510 133/510 0.2393
合計 347 163 510 Pr{A}=163/510

 事前にわかっている確率Pr{Bi}, Pr{A | Bi} だけでよい。
 事後わかった事実女子である” ということから,事後確率 Pr{Bi | A} を得ようとするのが問題趣旨である。
 2 年生女子である確率 Pr{B2 ∩ A} = 45 / 510 は,2 年生である確率 Pr{B2} = 121 / 5102 年生であるという条件付きでの女子である確率 Pr{A | B2} = 45 / 121用いて乗法定理( 2 ) 式から,
  Pr{B2 ∩ A}
  = Pr{B2} ・ Pr{A | B2}
  = 121 / 51045 / 121
  = 45 / 510  …… ( 4 )
である。
 女子であるという条件付きでの 2 年生である確率 Pr{B2 | A} は,乗法定理( 1 ) 式から,
  Pr{B2 | A}= Pr{B2 ∩ A}/ Pr{A}
であり,( 4 )式および,
  Pr{A}
  = Pr{B1 ∩ A} + Pr{B2 ∩ A} + PrB3 ∩ A} + PrB4 ∩ A}
  = 36 / 510 + 45 / 510 + 43 / 510 + 39 / 510
  = 163 / 510
であるから
  Pr{B2 | A}
  = ( Pr{B2} ・ Pr{A | B2})/ Pr{A}
  = (121 / 51045 / 121)/(163 / 510
  = 0.2761
となる。

ベイズの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/25 08:33 UTC 版)

確率論や統計学において、トーマス・ベイズ牧師にちなんで名付けられたベイズの定理(ベイズのていり、: Bayes' theorem)、ベイズの法則、最近ではベイズ・プライスの定理[1]とは、ある事象に関連する可能性のある条件についての事前の知識に基づいて、その事象の確率を記述するものである[2]。例えば、健康問題の発生リスクが年齢とともに増加することが知られている場合、ベイズの定理により、ある年齢の個人のリスクを、単にその個人が集団全体の典型的な例であると仮定するよりも、(年齢を条件として)より正確に評価することができる。


  1. ^ Frame, Paul (2015). Liberty's Apostle. Wales: University of Wales Press. ISBN 978-1-78316-216-1. https://www.uwp.co.uk/book/libertys-apostle-richard-price-his-life-and-times/ 2021年2月23日閲覧。 
  2. ^ Joyce, James (2003), Zalta, Edward N., ed., “Bayes' Theorem”, The Stanford Encyclopedia of Philosophy (Metaphysics Research Lab, Stanford University), https://plato.stanford.edu/archives/spr2019/entries/bayes-theorem/ 2020年1月17日閲覧。 
  3. ^ Stuart, A.; Ord, K. (1994), Kendall's Advanced Theory of Statistics: Volume I—Distribution Theory, Edward Arnold, §8.7 


「ベイズの定理」の続きの解説一覧

ベイズの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/30 07:39 UTC 版)

ベイズ階層モデル」の記事における「ベイズの定理」の解説

現実世界事象発生した場合通常、ある選択肢における選好修正される。これは、選択肢定義する事象に対して個人が抱く信念度合い修正することで行われる心臓治療の効果調べ研究で、病院 j {\displaystyle j} の患者生存確率を θ j {\displaystyle \theta _{j}} とする。生存確率 θ j {\displaystyle \theta _{j}} は、心臓病患者生存率高めると信じ人がい事象 y {\displaystyle y} の発生更新されるイベント y {\displaystyle y} が発生した状況で、 θ j {\displaystyle \theta _{j}} について確率記述更新するには、 θ j {\displaystyle \theta _{j}} と y {\displaystyle y} の同時分布 P ( θ , y ) {\displaystyle P(\theta ,\,y)} を与えモデルから始めなければならない。これは、事前分布 P ( θ ) {\displaystyle P(\theta )} とサンプリング分布 P ( y ∣ θ ) {\displaystyle P(y\mid \theta )} の積として記述することができる。 P ( θ , y ) = P ( θ ) P ( y ∣ θ ) {\displaystyle P(\theta ,y)=P(\theta )P(y\mid \theta )} 条件付き確率基本性質から、事後分布次のうになる。 P ( θ ∣ y ) = P ( θ , y ) P ( y ) = P ( y ∣ θ ) P ( θ ) P ( y ) {\displaystyle P(\theta \mid y)={\frac {P(\theta ,\,y)}{P(y)}}={\frac {P(y\mid \theta )\,P(\theta )}{P(y)}}} この条件付き確率個々事象との関係を示す式をベイズの定理という。この単純な表現中に更新され信念 P ( θ ∣ y ) {\displaystyle P(\theta \mid y)} を適切かつ解決可能な方法組み込むことを目的とするベイズ推定技術的核心含まれている。

※この「ベイズの定理」の解説は、「ベイズ階層モデル」の解説の一部です。
「ベイズの定理」を含む「ベイズ階層モデル」の記事については、「ベイズ階層モデル」の概要を参照ください。

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