フン先生の初恋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 15:27 UTC 版)
『高二コース』(学習研究社)1971年6月号から9月号まで「フン先生滑稽譚」の表題で連載されたが、未完のまま中断。『井上ひさし短編中編小説集成 第一巻』(岩波書店、2014年)に初めて再録された。『ブンとフン』と同じくフン先生が登場するが、設定に違いが見られる。 四十男のフン先生は、小説家を自認してはいるものの、あまりに理想主義者かつ完全主義者すぎるせいで、小説家を志してから20数年の間、一度も作品を完成させたことがない。そのため収入が全くなく、貧しさと空腹にあえいでいる。ある日、フン先生は、大食い競争に参加して賞品のトランジスタラジオを手に入れる。そのラジオで聞いたディスクジョッキー大原真美子の妙声にほれ込んでしまったフン先生は、猫好きの彼女にプレゼントしようと、美しい白猫を捕まえて放送局に乗り込む。ところが、じつはその白猫はギャングたちがダイヤモンドの密輸に使っていたもので、右目に「ペルシャの青い月」というダイヤモンドがはめられていた。
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