ブンとフン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/10 09:31 UTC 版)
『ブンとフン』は井上ひさしの中編小説[注釈 1]。井上ひさしの小説家としてのデビュー作であり、最初の単行本でもある[注釈 2]。
注釈
- ^ 分量的には長編ともいえるが、『井上ひさし短編中編小説集成』1巻(岩波書店、2014年)に収録されているため、ここでは中編として扱う。
- ^ 井上は1972年の新装版「あとがき」で「私の活字の処女作」「生まれてはじめての活字の仕事」としている[1]。ただし、井上は本作以前に、聖パウロ女子修道会の機関誌『あけぼの』に小説「燔祭」を本名の「井上廈」名義で執筆しており(1959年8月号 - 1960年5月号、未完)、正確にはこちらが活字となった最初の小説である[2]。
- ^ 副題「鼻は猟犬のごとくよく聞き数百メートル先のギョウザとシューマイの匂いを嗅ぎわけ、視力は二・五で鷹より鋭く千メートル先の南京豆と塩豆を見わけ、耳は鼠より敏く一万メートル先の針が落ちた音とゴミが落ちた音を聞き分け、男でもあり女でもあり、その上怪人二十面相など足元にも及ばぬ変装術の名人で、一秒前に皺くちゃの梅干ばあさんに化けたかと思えば、一秒後にはよぼよぼのじいさま、二秒後にはミス・ユニバース、三秒後には金太郎のようなまるまるふとった赤ちゃんにも化け、古今東西のあらゆる学問にくわしく、特に物理学にたいする理解はアインシュタイン博士もシャッポを脱いでその白髪頭をさげるという――大泥棒ブンの華麗なる冒険生活」。
- ^ なお、井上は「さらにブン氏〔ママ〕〔文脈から「フン氏」の誤りと思われる〕をきびしく処断するために続編の続編をわたしは書いております。それを来年〔1977年〕には読んでいただけることでしょう」とも記しているが、これは予告倒れに終わったようである。
出典
- ^ a b 井上 1974, p. 201.
- ^ 今村 2014, p. 480.
- ^ 井上 1994, pp. 407–408.
- ^ 今村 2014, pp. 478–479.
- ^ 井上ひさし『巷談辞典』文藝春秋〈文春文庫〉、1984年12月25日、306頁。ISBN 4-16-711111-X。
- ^ 井上 1974, pp. 201–202.
- ^ 井上 1974, pp. 203–210.
- ^ “井上ひさしが書いた「ブンとフン」が英訳されている(“Boon and Phoon”)。この英訳者と出版社を知りたい。”. レファレンス共同データベース. 国立国会図書館 (2006年2月9日). 2018年1月1日閲覧。
- ^ 井上 1994, p. 408.
- ^ 桐原 2001, p. 220.
- ^ “こんな番組探しています! 2015年9月の特集”. NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト (2015年9月). 2018年1月1日閲覧。
- ^ a b “FM「今日は一日ラジオドラマ三昧」番組ガイド”. NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト. 2018年1月1日閲覧。
- ^ “井上ひさしさん『ブンとフン』ラジオミュージカル放送!”. NHK番組発掘プロジェクト通信 (2021年1月29日). 2021年8月23日閲覧。
- ^ a b 桐原 2001, p. 216.
- ^ a b c 井上ひさし『雨』新潮社、1976年11月30日、215頁。
- ^ a b “2013年公演一覧”. こまつ座. 2018年1月1日閲覧。
- ^ 坂本 2014, p. 139.
- ^ 井上 1976, pp. 216–217.
- ^ 「井上ひさし作品劇評抄(含上演年譜)」『井上ひさしの世界』白水社、1982年7月8日、111頁。
- ^ 笹沢信『ひさし伝』新潮社、2012年4月20日、205頁。ISBN 978-4-10-332071-5。
- ^ “菊田一夫演劇賞”. 映画演劇文化協会. 2018年1月21日閲覧。
- ^ “NHKラジオドラマ よみステージ:音楽劇「ブンとフン」”. 2021年8月24日閲覧。
- ^ “A.B.C-Z橋本良亮、井上ひさしが小説家デビューした記念碑的作品に挑む 音楽劇『ブンとフン』の上演が決定”. SPICE(イープラス). (2021年6月24日) 2021年8月24日閲覧。
- ^ 「A.B.C―Zの橋本良亮、新型コロナ感染 音楽劇「ブンとフン」全公演中止、メンバー4人は陰性」『スポーツ報知』、2021年8月23日。2021年8月24日閲覧。
- ^ 今村 2014, p. 481.
[続きの解説]
「ブンとフン」の続きの解説一覧
- ブンとフンのページへのリンク