ヒストン-DNA間相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 08:06 UTC 版)
「ヌクレオソーム」の記事における「ヒストン-DNA間相互作用」の解説
ヌクレオソームには120か所以上の直接的なタンパク質-DNA間相互作用と、数百か所の水分子を介した相互作用が含まれている。直接的なタンパク質-DNA間相互作用は八量体の表面に均等に分布しているのではなく、特定の部位に局在している。これは、八量体内では2種類のDNA結合部位が形成されるためである。α1α1部位では2つの近接するヒストンタンパク質のα1ヘリックスが利用され、L1L2部位はL1とL2のループによって形成される。側鎖の塩基性官能基やヒドロキシル基、主鎖のアミドがDNA骨格のリン酸基と塩橋や水素結合を形成し、DNAとの相互作用の大部分を担う。ヌクレオソームがゲノム上に遍在的に分布することを考えると、それが配列非特異的なDNA結合因子であることは重要である。ヌクレオソームは一部のDNA配列に対して選択性を示す傾向があるが、実質的にはどのような配列にも結合することが可能である。これは水分子を介した相互作用の柔軟性のためであると考えられている。さらに、タンパク質の側鎖とデオキシリボースの間では非極性相互作用が形成され、DNAの副溝が八量体表面に面している14か所すべてでアルギニン側鎖がインターカレートしている。DNA結合部位の分布と結合強度はヌクレオソームコア内のDNAを変形させる。DNAの屈曲は一様ではなく、ねじれ欠陥(twist defect)を有する。溶液中のB型DNAではねじれは1ターンあたり10.5 bpである。しかし、ヌクレオソーム内のDNAの全体的なねじれは1ターンあたり10.2 bpであり、その値は9.4から10.9まで変動する。
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