ニスの秘密
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:42 UTC 版)
かつては楽器の表面につかわれたニスがストラディバリウスの音色の鍵だとされていたが、21世紀に入ってこれを否定する意見が出された。複数のストラディバリウスを赤外線で分析した結果、ニスに使用されていたのは松ヤニと油だけであった。一部で推測されていたプロポリスなどの特殊な成分の配合は認められなかった。これらは18世紀の弦楽器製作者ではごく普通に使用されていたものであった。ガルネリやサロも同じ製法のニスを使っていたが、その製法は、欧州カラマツの松ヤニを煮詰めてコールタール状にし、それを常温に冷まして固化させたのちに、必要量を適時に粉砕して亜麻仁油で溶解して使用されていたとされる。顔料なども使用せず、亜麻仁油の添加量と重ね塗りの回数で楽器の色合いを調節した。度重なる修復により、補修者によって追加で塗られたニスが、楽器の音色を妨げているケースも多いとされ、後年になって塗られたニスを剥離してオリジナルの状態にすると、生まれ変わったように鳴り響く楽器もある。ストラディバリウスの後期の作品には、松ヤニが炭化するまで煮詰めて製造した黒っぽいニスを使用した楽器も存在する。一方、そのニスの使い方に工夫があるという意見もある。2021年の研究でも、ニスは当時一般的なものであり、特に特徴は無いとされている。
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