スペースX_Crew-2とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > スペースX_Crew-2の意味・解説 

スペースX Crew-2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/24 02:23 UTC 版)

スペースX Crew-2
ISSへ接近するエンデバー
名称USCV-2 (2012–2019)
任務種別ISS乗員輸送
運用者スペースX
COSPAR ID2021-030A
SATCAT №48209
任務期間2年 and 2ヶ月
特性
宇宙機クルードラゴン「エンデバー」
製造者スペースX
打ち上げ時重量12,519 kg
着陸時重量9,616 kg
乗員
乗員
長期滞在第65次/第66次
任務開始
打ち上げ日2021年4月23日09:49:02 UTC[1]
ロケットファルコン9ブロック5B1061.2
打上げ場所ケネディ宇宙センターLC-39A
打ち上げ請負者スペースX
任務終了
回収担当GOナヴィゲーター英語版
着陸日2021年11月9日03:33 UTC
着陸地点メキシコ湾
軌道特性
参照座標地球周回軌道
体制低軌道
傾斜角51.66°
国際宇宙ステーションのドッキング(捕捉)
ドッキング ハーモニー前方側
ドッキング(捕捉)日 2021年4月24日09:08 UTC
分離日 2021年7月21日10:45 UTC
ドッキング時間 88日
国際宇宙ステーション(再配置)[2][注釈 1]のドッキング(捕捉)
ドッキング ハーモニー天頂側
ドッキング(捕捉)日 2021年7月21日11:36 UTC
分離日 2021年11月8日19:05 UTC[4]
ドッキング時間 110日

スペースX Crew-2ミッションパッチ[5]

左からマッカーサー、ペスケ、星出、キンブロー
商業乗員輸送計画英語版
スペースX Crew-2
COSPAR ID2021-030A

スペースX Crew-2クルードラゴン宇宙機の2回目の実運用飛行であり、商業乗員輸送計画英語版の3回目の全体的な有人軌道飛行である。このミッションは2021年4月23日の09:49:02 UTCに打ち上げられ、4月24日09:08 UTCに国際宇宙ステーションにドッキングした[1]

スペースX Crew-2はCrew Dragon Demo-2と同じカプセル(クルードラゴン・エンデバー)を使用し、スペースX Crew-1と同じファルコン9ブースター(B1061.1)を使用して打ち上げられた。

クルー

2020年7月28日、JAXAESAおよびNASAは、このミッションで搭乗する宇宙飛行士の割り当てを承認した[6][7]

正クルー

地位 宇宙飛行士
宇宙機コマンダー シェーン・キンブロー英語版, NASA
第65次/第66次長期滞在
3回目の宇宙飛行
パイロット K・メーガン・マッカーサー, NASA
第65次/第66次長期滞在
2回目の宇宙飛行
第1ミッションスペシャリスト 星出彰彦, JAXA
第65次/第66次長期滞在
3回目の宇宙飛行
第2ミッションスペシャリスト トマ・ペスケ, ESA
第65次/第66次長期滞在
2回目の宇宙飛行

ドイツ人宇宙飛行士マティアス・マウラー英語版がペスケのバックアップであり、日本人宇宙飛行士古川聡が星出のバックアップとして訓練を受けた[7][8]

バックアップクルー

地位 宇宙飛行士
宇宙機コマンダー 割り当てなし
パイロット 割り当てなし
第1ミッションスペシャリスト 古川聡, JAXA
第2ミッションスペシャリスト マティアス・マウラー英語版, ESA

ミッション

商業乗員輸送計画英語版の2回目のスペースXの実運用ミッションは2021年4月23日に打ち上げられた[9][10]。クルードラゴン「エンデバー」(C206)はハーモニーモジュールの前方側ポートの国際ドッキングアダプタ(IDA)にドッキングしたこのミッションは、宇宙飛行士が使用済みのブースターロケットに搭乗した最初のミッションである[11][12]

メーガン・マッカーサーの初めてのISSへの訪問だったとは言え、全てのクルーはベテラン宇宙飛行士である(マッカーサーの最初の宇宙飛行はハッブル宇宙望遠鏡へのミッション、STS-125だった)。他の3人の乗組員とともに、メーガン・マッカーサーはこのミッションで夫のボブ・ベンケン英語版がDemo-2ミッションで使用したのと同じスペースXクルードラゴン「エンデバー」の座席を使用している[13]星出彰彦はISS滞在中は2人目のISSコマンダーを努めることになる[6]。これはトマ・ペスケが国際宇宙ステーションに向かう2回目のミッションであり、星や星座にちなんで宇宙ミッションに名前を付けると言うフランスの伝統に従って、地球に最も近い恒星系であるケンタウルス座アルファ星にちなんでアルファと呼ばれることになる[7]

スターライナーの打ち上げ準備のために、ISSのハーモニー前方側ポートにドッキングしていたクルードラゴン・エンデバーは2021年7月21日10:45 UTCにドッキングを解除し、11:36 UTCにハーモニーの天頂側ポートに再ドッキングした[注釈 1]

9月16日から18日(UTC)にかけて、CRS-23C208英語版)およびインスピレーション4レジリエンス)とともに、3機のドラゴン宇宙機が同じ期間に宇宙空間に滞在した。

時系列

ミッション経過時間 時刻 日付
(UTC)
イベント[14]
EDT UTC
−6:40:00 11:09:00 PM 03:09:00 2021年
4月23日
クルー起床
−05:30:00 0:19:02 AM 04:19:02 CE 打ち上げ準備状況ブリーフィング
−05:00:00 0:49:02 AM 04:49:02 打ち上げ担当が席に
−04:59:59 0:49:03 AM 04:49:03 打ち上げに向けてドラゴンのIMUを調整および設定
−04:30:00 1:19:02 AM 04:19:02 ドラゴンの推進剤に加圧
−04:20:00 1:29:02 AM 04:29:02 クルーへの天候ブリーフィング
−04:10:00 1:39:02 AM 05:39:02 クルー引き継ぎ
−04:00:00 1:49:02 AM 05:49:02 スーツの着用と点検
−03:20:00 2:29:02 AM 05:29:02 クルーがニール・アームストロング・オペレーション・アンド・チェックアウト・ビルディングから歩み出る
−03:15:00 2:34:02 AM 05:34:02 クルーが"RECYCLE"ライセンスプレートをつけたテスラ・モデルX発射施設39A(LC-39)へ移動
−02:55:00 2:54:02 AM 06:54:02 クルーが発射台に到着
−02:35:00 3:14:02 AM 07:14:02 クルー乗り込み
−02:20:00 3:29:02 AM 07:29:02 通信チェック
−02:15:00 3:34:02 AM 07:34:02 シートの回転準備を確認
−02:14:00 3:35:02 AM 07:35:02 宇宙服密閉確認
−01:55:00 3:54:02 AM 07:54:02 ハッチ閉鎖
−01:10:00 4:39:02 AM 08:39:02 ドラゴンにISSの状態をアップロード
−00:45:00 5:04:02 AM 09:04:02 スペースX打ち上げディレクターが推進剤注入を確認
−00:42:00 5:07:02 AM 09:07:02 クルー搭乗アーム取り外し
−00:38:00 5:11:02 AM 09:11:02 ドラゴンの打ち上げ脱出システムを作動可能に
−00:35:00 5:14:02 AM 09:14:02 RP-1英語版(ロケット用ケロシン)注入開始;第1段LOX(液体酸素)注入開始
−00:16:00 5:33:02 AM 09:33:02 第2段LOX注入開始
−00:07:00 5:42:02 AM 09:42:02 打ち上げに先立ってファルコン9がエンジン冷却開始
−00:05:00 5:44:02 AM 09:44:02 ドラゴンが内部電源に移行
−00:01:00 5:48:02 AM 09:48:02 フライトコンピューターに最終の打ち上げ前チェックを指示;推進剤タンクを飛行用圧力人加圧開始
−00:00:45 5:48:17 AM 09:48:17 スペースX打ち上げディレクターが打ち上げ進行を確認
−00:00:03 5:48:59 AM 09:48:59 エンジンコントロール担当がエンジン点火シーケンスの開始を指示
00:00:00 5:49:02 AM 09:49:02 離昇
+00:01:02 5:50:04 AM 09:50:04 Max Q(ロケットの機械的ストレスが最大になる瞬間)
+00:02:36 5:51:38 AM 09:51:38 第1段メインエンジン停止(MECO)
+00:02:39 5:51:41 AM 09:51:41 第1段と第2段分離
+00:02:47 5:51:49 AM 09:51:49 第2段エンジン燃焼開始
+00:07:27 5:56:29 AM 09:56:29 第1段突入噴射
+00:08:47 5:57:49 AM 09:57:49 第2段エンジン停止(SECO-1)
+00:09:03 5:58:05 AM 09:58:05 第1段着陸噴射
+00:09:30 5:58:32 AM 09:58:32 第1段着陸
+00:11:58 6:01:00 AM 10:01:00 クルードラゴンが第2段から分離
+00:13:02 6:02:04 AM 10:02:04 ドラゴンのノーズコーン展開シーケンス開始
+1/ 3:31 AM 07:31 2021年
4月24日
ドラゴンがISSへの最終アプローチフェイズを開始[15]
+1/03:33 05:08 AM 09:08 ISSへ軟捕捉[16]
+1/03:33 05:20 AM 09:20 ドラゴンがISSにドッキング[17]
+1/05:34 7:15 AM 11:15 ハッチ開放[18]

ウェイクアップ・コール

NASAはジェミニ計画当時に宇宙飛行士に向けて音楽をかけると言う伝統を開始し、アポロ15号で初めて飛行中のクルーの目覚ましに音楽を使い始めた。それぞれの楽曲は、しばし宇宙飛行士の家族によって念入りに選ばれ、クルーのそれぞれにとって特別な意味のあるものであったり、日々の活動に適切なものだったりしている[19]

飛行日 楽曲 アーティスト 誰のため リンク
2日目 YouTubeアーティスト "Shittyflute" によるa-haテイク・オン・ミー」の調子っ外れでコミカルなカバー[20] a-ha (オリジナル)
Shittyflute (カバー)
トマ・ペスケ [1]

帰還

天候の影響と、Crew-3乗組員1名の軽微な健康問題によるCrew-3の打ち上げ遅延の結果、NASAはCrew-3打ち上げの前にCrew-2の乗員の帰還を検討したが、これは宇宙ステーション乗組員の初めてのクルードラゴンでの間接的な引き継ぎとなる[21]。その後、NASAはCrew-2の宇宙飛行士を、Crew-3の打ち上げ前にISSから帰還させることを決定した。クルードラゴンは2021年11月8日19:05 UTCにステーションとのドッキングを解除し、当初予定の大西洋ではなく、メキシコ湾に11月9日03:33 UTCに着水した[22]

なお、イプシロンロケット5号機は日本時間2021年11月9日9時51分に打ち上げを予定していたが、Crew-2の帰還に影響がないよう4分後の9時55分に変更された後、打ち上げられた。[23]

関連項目

注釈

  1. ^ a b 軌道力学的観点からは、ステーション前方のドッキングポートへのアプローチが容易であるため、新しい宇宙船は最初のドッキングにはこのアプローチが使われる。ボーイング・スターライナーは2021年7月21日にOFT2英語版で初めてのドッキングを行うため、Crew-2はOTF2のために前方側ポートを空けるために天頂側ポートに移動した[3]

脚注

  1. ^ a b SpaceX's Crew-2 launch lights up the predawn sky with a spectacular show (photos)” (2021年4月23日). 2021年9月24日閲覧。
  2. ^ Starliner capsule fueled for unpiloted test flight to International Space Station”. Spaceflight Now (2021年6月22日). 2021年6月22日閲覧。
  3. ^ Astronauts move their SpaceX Dragon spaceship in orbit ahead of Boeing's Starliner launch”. Space.com (2021年7月22日). 2021年9月24日閲覧。
  4. ^ Loff, Sarah (2021年11月7日). “NASA, SpaceX Adjust Crew-2 Station Departure Date”. blogs.nasa. 2021年11月7日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  5. ^ Dragon Crew Two Launch” (2020年12月2日). 2021年5月17日閲覧。
  6. ^ a b JAXA星出彰彦宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在 搭乗機決定について”. jaxa.jp (2020年7月28日). 2020年7月28日閲覧。
  7. ^ a b c Thomas Pesquet first ESA astronaut to ride a Dragon to space”. ESA Science and Exploration (2020年7月28日). 2020年7月28日閲覧。
  8. ^ Powell, Joel [@ShuttleAlmanac] (2020年11月19日). "JAXA has announced long stay visits to the ISS for 2022 and 2023" (ツイート). Twitterより2021年9月24日閲覧
  9. ^ Potter, Sean (2021年3月5日). “NASA, SpaceX Invite Media to Next Commercial Crew Launch”. NASA. 2021年3月5日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  10. ^ Clark, Stephen (2021年3月5日). “Next Crew Dragon launch set for April 22”. Spaceflight Now. 2021年3月5日閲覧。
  11. ^ Drake, Nadia (2021年4月23日). “SpaceX launches first astronauts on a reused rocket”. National Geographic. 2021年4月23日閲覧。
  12. ^ Thompson, Amy (2021年4月23日). “SpaceX launches 4 astronauts to space station, nails rocket landing”. SPACE.com. 2021年4月23日閲覧。
  13. ^ Megan to reuse Bob's demo-2 seat in crew-2 mission”. aljazeera.com (2020年4月20日). 2021年9月24日閲覧。
  14. ^ Mission Timeline for Launch Thursday, April 23 at 5:49:02 EST”. Spaceflight Now. 2021年9月24日閲覧。
  15. ^ Garcia, Mark (2021年4月24日). “NASA TV Covers SpaceX Crew-2 Docking to Station Today”. blogs.nasa. 2021年4月24日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  16. ^ SpaceX Crew Dragon Endeavour docks with ISS: NASA TV”. france24.com. 2021年4月24日閲覧。
  17. ^ Cawley, James (2021年4月24日). “Crew Dragon Docks to Station, Hatches Open Soon”. blogs.nasa. 2020年12月13日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  18. ^ Cawley, James (2020年11月17日). “Hatches Open, Crew Dragon Astronauts Join Expedition 64”. blogs.nasa. 2020年12月13日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  19. ^ “Chronology of Wakeup Calls”. NASA. (2005年8月2日). https://history.nasa.gov/wakeup.htm 2010年4月5日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  20. ^ @chasg76 (2021年7月25日). "@Explorer_Flight @Thom_astro..." (ツイート). Twitterより2021年9月24日閲覧
  21. ^ SpaceX crew launch bumped to next week; astronaut on mend” (2021年11月4日). 2021年11月5日閲覧。
  22. ^ Crew-2 Astronauts Safely Splash Down in Gulf of Mexico”. blogs.nasa (2021年11月9日). 2021年11月11日閲覧。
  23. ^ “イプシロン 5機連続成功 最多9衛星を予定軌道に投入 JAXA、3度の延期後 鹿児島・内之浦宇宙空間観測所”. 南日本新聞. (2021年11月9日). https://373news.com/_news/storyid/146385/ 

「スペースX Crew-2」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「スペースX_Crew-2」の関連用語

スペースX_Crew-2のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



スペースX_Crew-2のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのスペースX Crew-2 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS