シロアリと菌との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 14:13 UTC 版)
「ターマイトボール」の記事における「シロアリと菌との関係」の解説
シロアリの糞や唾液には抗菌作用があり、それを巣の内部に塗ることで、有害な微生物の繁殖は抑制されている。これに対して、ターマイトボールは、シロアリに運ばれることで、容易にシロアリの巣内に入ることができる。また、シロアリの巣が分裂する際には、卵と同様に運ばれることで、分布を広げることが可能になる。また、菌核は休眠体であるが、その一部が巣内で成長している例も発見され、それが作った菌核も、同様にシロアリに運ばれる。また、働き蟻による卵のグルーミングの頻度が低くなると、菌核が発芽して、卵を吸収する例も知られている。 キノコシロアリ類では、巣内の菌が小粒を作り、これがシロアリの食物となることが知られているが、この菌核の場合、シロアリがそれを食うことはない。したがって、シロアリの側には、この菌核を保護することによるメリットはないと思われる。これに対して、上記のような問題の他に、シロアリ卵に対する保護手当が相対的に少なくなることも考えられ、多くの点で、シロアリは不利益を受けている。 つまり、この菌とシロアリの関係は、シロアリには不利、菌には有利なものであるから、シロアリに菌が寄生していると見なすことができる。ただし、菌が得るものが、シロアリそのものでなく、本来はシロアリの卵が受けるべき社会的な行動の成果である点が珍しい。その意味で、社会寄生と言うことができる。
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