ザ・ドライブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:37 UTC 版)
第23回スーパーボウル残り時間3分20秒からの逆転勝利を指す。ただし、1986年のプレーオフでジョン・エルウェイが見せた自陣2ヤードからのドライブを指す場合と区別し、「ザ・モンタナ・ドライブ」と呼ばれることも多い。 1989年の第23回スーパーボウル対戦相手は、1982年第16回スーパーボウルでナイナーズに敗れたベンガルズだった。攻撃陣の獲得ヤードではナイナーズがリードしたものの、FG失敗、ファンブルでボールを失うなど、スーパーボウル史上初となる同点 (3-3) でハーフタイムを迎えた。 第3Q、お互いにFGを決めて6-6となった直後、ベンガルズの36番スタンフォード・ジェニングスが93ヤードのキックオフリターンタッチダウン(TD)を決めて13-6とリードしたが、第4Qに入りジェリー・ライスのタイトロープTDにより13-13と同点になった。残り時間3分20秒ベンガルズのキッカー、ジム・ブリーチが40ヤードのFGを決め16-13。そしてその直後の49ersの攻撃はキックオフの際にイリーガルブロックの反則でハーフディスタンスの罰退となり、自陣8ヤードからという厳しいフィールドポジションからの攻撃となった。 残り3分10秒を残してナイナーズに攻撃権が移ったことについて、ベンガルズのある選手は「モンタナに時間を残しすぎたのでは。」とサム・ワイチ(ベンガルズヘッドコーチ)にこの時話しかけている。勝利には92ヤードのドライブでTDが必要であったが、モンタナはチームメートのハリス・バートンに「(エンドゾーンの)向こうにジョン・キャンディ(コメディアン)がいるぞ。」と語るなど冷静であった。 残り時間の少ない中、ベンガルズのディフェンスはモンタナがサイドライン際にパスを投げて時計を止めようとするだろうと予想したが、モンタナはフィールド中央のクレイグ、TEジョン・フランクに連続してパスを通した。ライスへの7ヤードのパスが成功した後、クレイグの2回のランでナイナーズは自陣35ヤードまでボールを進めて最初のタイムアウトを取った。 その後ライスへの17ヤード、クレイグへの13ヤードのパスで敵陣35ヤードまで前進した。次のプレーでモンタナはこのドライブで初めてパスを失敗、しかもイリーガルマン・ダウンフィールドの反則で10ヤード罰退、残り1分15秒で第1ダウン残り20ヤードに追い込まれた。この困難な状況でモンタナは敵陣33ヤード地点で3人のディフェンスに囲まれたライスへのパスを成功させ、ライスはランアフターキャッチで15ヤードを稼ぎ、このプレーは27ヤードのパスとなり、レイ・ホートンがライスを止めなければタッチダウンとなっていたところであった。クレイグへの8ヤードのパスで残り39秒で敵陣10ヤードまで前進、最後はジョン・テイラーへの10ヤードのTDパスが決まり20-16となり、モンタナは11回92ヤードのTDドライブを成功させた。 残り時間わずかでのベンガルズの攻撃もブーマー・アサイアソンからクリス・コリンズワースへのパスが失敗し試合終了、ナイナーズが4年ぶり3回目の優勝を果たした。1978年にレギュラーシーズンが16試合制になってから、10勝6敗のチームがスーパーボウルで優勝するのは初めてのことであった。なおモンタナは最後のドライブで過呼吸症候群にかかっていた。この92ヤードのドライブでモンタナはパスを9回中8本通して87ヤード前進させた。
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