アスペクトの区別とは? わかりやすく解説

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アスペクトの区別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 06:59 UTC 版)

岡山弁」の記事における「アスペクトの区別」の解説

共通語においては動作進行を表す相(アスペクト)と完了経験などのほかの相、いずれの場合でも同じ「-(し)ている」と表現する例えば、進行相に「今ラーメン食べている」、完了後の結果継続にも「窓が開いている」、経験に「太郎3回ハワイ旅行している」を用いる。しかし岡山弁含め中国方言四国方言九州方言では進行相と完了相その他とに対してそれぞれ別々の表現をするのが普通であり、岡山弁では前者を「-ょーる(ゅーる)」、後者を「-とる」で表現して区別する。したがって先ほどの例は「今ラーメン食びょーる」「窓が開いとる」「太郎3回ハワイ(ん)旅行しとる」となる。 相に関するこれら2種違いにより意味がはっきりと異な文例次に示す。 A: 「今朝起きてなんかさみー思うて外見ょーったら、雪降りょーったけえおどれーたわ」 B: 「今朝起きてなんかさみー思うて外見ょーったら、降っとったけえおどれーたわ」 これらを共通語直訳すると、どちらも今朝起きて、何か寒いと思いながら外を見ていたら、降っていたので驚いたよ」となるが、実のところ A と B では意味が異なる。A は進行相の文であり、話者が外を見た正にその瞬間に空から降っているさまを表している。しかし B からは、外を見た瞬間空には降っていたか止んでいたかは読み取れず(とはいえ聞き手には既に止んだものと捉えられることも多い)、むしろ既に降っていたために外を見たときには降り積もっていたというところに意味の重点置いた文であり、完了1つ動作結果による状態の継続を表す相である。 もう1つ文例挙げる。 A: 「見てみ! ゴキブリ死にょーるで!」(現在:見て! ゴキブリ死にょーるで!) B: 「見てみ! ゴキブリ死んどるで!」(現在:見て! ゴキブリ死んどるで!) A の「死にょーる」は進行相をあらわす表現であり、「死んでいる」と共通語に訳すことはできない。「死ぬ」は一瞬状態の変化を表す動詞1つであり、意味上「食べる」「踊る」のように動作継続をも表しうる動詞ではない。こういった動詞共通語の「-ている」に結び付く場合一瞬変化完了(状態の継続)と捉えるのが自然であって一瞬変化進行中であると捉えるのは難しい。そのような動詞対し死にょーる」のように進行相の形にしたとき、状態の変化が今まさに進行中であることを示し共通語の「死にかけている」「死につつある」という意に相当する発言した瞬間にはまだ死んではいないが、いまにもすぐに命のともし火消えそうな状態をさす。同様に、「もうちょいで崖からおちゅーった」は「もう少しで崖から落ちるところだった」の意である。それに対し B は完了相であり、直訳文の文字通り「既に死んでいる、死んだ」ことを表す。 ただし、「-とる」が進行意味することもときにある。例えば、 母: 「なんかやかましーけど、ホンマ宿題しょーん?」(なんか騒々しいけど、ホント宿題してるの?) 子: 「んー? 今やっとるとこー」(んー? 今やってるところ) 上例の今やっとる」とは「今やりつつある」の意味であり、この場合「やっとる」を「やりょーる」と言い換えるともできる。ただし、「やりょーる」が動作そのもの進行中であることを示すのに比べて、「やっとる」は「さっきからずっとやっている」というように、ある程度前の時間から現在(発言した時点)まで動作継続している状態であるというところに重点置いた文であり、普段意識されないほどにわずかではあるが、ニュアンス異なる。

※この「アスペクトの区別」の解説は、「岡山弁」の解説の一部です。
「アスペクトの区別」を含む「岡山弁」の記事については、「岡山弁」の概要を参照ください。

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