π結合
π結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 07:47 UTC 版)
一方、配位子群軌道として金属と π 結合するような結合を考える。すると、 t1g 対称種の軌道、 t1u 対称種の軌道、 t2g 対称種の軌道、 t2u 対称種の軌道ができる。この場合には、t2g 対称種に属する3つの d 軌道も同じ対称種の配位子群軌道と相互作用できる。 もし、相互作用した配位子群軌道に電子が既に入っている場合には、これらの電子が新たに生成した結合性軌道を占有するので、金属のd電子は新しく生成した反結合性 t2g 軌道に入らざるを得ない。そのため、配位子との相互作用が無かった場合に比べて d 軌道の分裂幅は小さくなる。 逆に、相互作用した配位子群軌道に電子が入っていない場合には、金属の d 電子は新しく生成した結合性 t2g 軌道に入ることができる。そのため、配位子との相互作用が無かった場合に比べて d 軌道の分裂幅は大きくなる。一酸化炭素やシアン化物イオンは、電子が入っている π 軌道よりも、電子が入っていない π* 軌道の方が金属錯体の d 軌道と強く相互作用するので、d 軌道の分裂が大きくなる。この現象は配位子の電子が金属に供与されて配位結合が形成されるのとは逆に、金属の d 電子が配位子に供与されているので逆供与と呼ばれる。
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