Bonjour
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 13:33 UTC 版)
欠点と制限
Bonjourにはもちろん欠点や制限も存在する。まずBonjourは、基本的にLAN内でしか利用することができず、原則的にルータを越えることができない。ただしこれは、DHCPとダイナミックドメインネームシステム(DDNS)を用いることで解決可能であり、その二つを用意すればルータを越えた運用が可能になる。ただし、IPv6ではこの限りではない。 なお、Mac OS X v10.5においてBack to My Mac(どこでも My Mac)と呼ばれる機能が導入され、MobileMeのアカウントを持つユーザは広域でもホスト/サービスを参照できるようになった。実際この機能はDDNS等の技術を用いて実現されている。
またBonjourは、イベント制御の機能が弱い。例えばUPnPではきめ細かいイベント制御が可能になっているものの、Bonjourではこの部分にマルチキャストDNSやDDNSしか利用できないため、細かなコントロールを行うことができない。プリンタの制御についてはIPPやLPRを用いることが決まっているが、その他の機器についてはまだ仕様が策定されておらず、検討中となっている。
対応機器の少なさも悩みである。UPnPと比べ、Bonjourは対応している機器が少ない。Appleは"AirTunes"(無線LAN経由での音楽再生機能)を搭載したAirMac Expressなど、Bonjourの機能を生かした製品をリリースしているが、サードパーティーでは、現在[いつ?]対応を表明しているメーカーはほとんどがプリンターメーカーである。
UPnPが基本的にハードウェアのみに用途が限られているのに対し、Bonjourはハードウェア・ソフトウェアを問わず利用することができる。Bonjour対応ソフトウェアとして最も普及しているのはAppleのiTunes(iTunes同士で音楽共有ができる)とSafari(Bonjourに対応したWebサーバを自動的に探索しリストアップする)であるが、Apple以外のソフトウェアではAirfoil(iTunes以外のソフトウェアでAirTunesを可能にする)、Camino、シイラ (ウェブブラウザ)、RealPlayer程度であり、あまり活用されているとは言い難い現状である。かつてAdobe Creative Suite 3と4でもBonjourが使われていた[2]。そのほか、EpocCamやiVCamといった、iPhoneをWebカメラとして利用できるようにする仮想化ソリューションでも、ワイヤレスP2P通信にBonjourが使用されている[3][4]。
またUPnPも開発過程こそ非公開であるものの、仕様はロイヤリティフリーで公開されているので、Bonjourがオープンソースであることは現在のところあまり目立ったアドバンテージにはなっていない。
注釈
- ^ Bonjour for Windowsの対応OSは明記されていない。しかし、iTunesはBonjourを使用しており、そのためBonjour for Windowsの対応OSもiTunes for Windowsに準ずることになる。
出典
- Bonjourのページへのリンク