青ひげ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/24 04:50 UTC 版)
ペロー版とグリム童話版の違い
ペロー版とグリム童話版では、次のような違いが見られる。
- ペロー版では新妻の姉が登場する(終盤でいつの間にか青髭の城にいる)が、グリム童話版では登場しない。
- ペロー版では兄の人数が2人であるが、グリム童話版では3人である。
- ペロー版では兄の職業は軍人であるが、グリム童話版では明確に示されていない。
- ペロー版では新妻と兄2人との事前の約束という形で青ひげの城に兄2人が現れるが、グリム童話版では兄3人が塔の上からの新妻の叫びを聞きつけて現れる形になっている。
- ペロー版では殺された先妻たちの血が付いた鍵の血が落ちない理由について魔法によるものと明確にされているが、グリム童話版では明確に説明されていない。
- ペロー版では富裕層の生活についてかなり詳しく書かれているが、グリム童話版では単に金持ちとしか説明されていない。
- ペロー版では新妻が手に入れた青髭の遺産の使い道に関する後日談が書かれているが、グリム童話版では書かれていない。
青ひげのモデル
主人公のモデルは一般的にはジャンヌ・ダルクの戦友であるジル・ド・レという説があるが、論証はできていない[1]。一方でヘンリー8世をモデルとする声もある。 「青ひげ」の成り立ちの詳細は不明だが、マリア・タタールは千夜一夜物語の枠話に登場する、性的な好奇心を持った妻への復讐を発端として、後妻を次々に切り捨てた暴君シャフリヤール王との関連を指摘している[1]。
青ひげが主題の作品
翻案等で、青ひげとその童話を主題としている作品。
- アンドレ・グレトリ:オペラ『青ひげラウル』
- 1789年パリのイタリア座で初演。
- ジャック・オッフェンバック:オペレッタ『青ひげ』
- 1866年パリのデ・ヴァリエテ劇場で初演。2016年日本初演。徹底したパロディ仕立ての喜劇だが、舞台をフランスと明示し、青ひげの女性観、王との対立などポイントはモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』やジル・ド・レの逸話を踏まえている。戦後の東独ベルリン・コーミッシェ・オーパーで上演され続けたフェルゼンシュタイン演出のドイツ語版が有名で、1970年製作の映画化は日本でもVHSソフト、LD、DVDがそれぞれ発売された。また、同歌劇場は来日公演でもこれをとりあげ、実相寺昭雄の中継演出でテレビ放映された。
- ポール・デュカス:オペラ『アリアーヌと青髭』
- 1907年、オペラ=コミック座(パリ)で初演。モーリス・メーテルランクが「無用なる解放」を副題とした独自の青ひげを作成、その台本を元にデュカスが作曲した。デュカス唯一のオペラ作品。
- バルトーク・ベーラ:オペラ『青ひげ公の城』
- 1918年、ブダペスト歌劇場で初演。コダーイ・ゾルターンが作成した台本を元に、バルトークが作曲した。バルトーク唯一のオペラ。
- エミール・フォン・レズニチェク:3幕のメルヘン・オペラ『騎士青ひげ』
- 1920年ダルムシュタット市立歌劇場で初演。
- クロード・シャブロル監督:映画『青髭』
- 1963年のフランス映画。「青ひげじいさん」などの仇名で呼ばれた連続殺人犯アンリ・デジレ・ランドリューを描く[2]。映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル(ジョン・ウーや北野武、松田優作、ジョニー・トー、クエンティン・タランティーノなどに絶大な影響を与えた『サムライ』(アラン・ドロン主演)などで知られる)がジョルジュ・マンデル役で出演している。
- 寺山修司:戯曲『青ひげ公の城』
- バルトークのオペラを元にした作品。
- ^ a b c マリア・タタール『グリム童話:その隠されたメッセージ』鈴木晶、他訳 新曜社 1990年 ISBN 4788503719 pp.244-263.
- ^ allcinema『映画 青髭 (1963)について 映画データベース - allcinema』 。2023年3月21日閲覧。
- 1 青ひげとは
- 2 青ひげの概要
- 3 あらすじ(ペロー版)
- 4 ペロー版とグリム童話版の違い
- 5 外部リンク
- 青ひげのページへのリンク