鉋 歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 17:02 UTC 版)

歴史

中国

魯班経1606年刊の絵による、明時代の建築風景。画面左側で台鉋が使用されている。両側に取り付けられた柄を持ち、押して材を削るタイプである。

中国では鉋の文字が唐の時代から使われ始めるが、これは現在の鉋台ではなく蜈蚣(むかで/ごこう)鉋子のことで、スクレーパーが複数枚並んだの様な道具である。

槍鉋

槍鉋 (竹中大工道具館蔵)

槍鉋・鉇(やりがんな)は棒の先にの葉のような形の両刃を付けた道具である。

日本では古代から中世には、建築部材の表面の平滑な仕上げを行うために、この槍鉋・鉇を用いた(その前工程の表面加工には(ちょうな)を用いた)。国内最古の鉇は、石川県小松市の八日市地方遺跡から2017年に出土した弥生時代の製品が発見されている[2][3]

廃絶と復元

日本の近世 - 近代以降は、台鉋が現れ普及し、槍鉋は途絶えた。文献や絵画に残るのみで、槍鉋の製法や技法は久しく失われていた。しかし西岡常一らが文献、発掘品、当時の柱の削り跡など様々な資料を調査・分析し、20世紀の終わり頃に槍鉋の復元に成功した。

台鉋

台鉋の起源は明確ではないが、79年に噴火で埋もれたポンペイから世界最古の台鉋が出土している。また世界各地で、鉋の台頭が無い様な(日本の押し鉋の様な)形のwedged adzが発見されている。現代の日本の鉋は使用者が手前に引く際に木材が削れるようになっているが、ヨーロッパ中国のものは逆に押した時に削れるようになっているものが多い。ただし、日本で鉋を引く様に統一されたのは江戸時代中頃の事であり、室町時代に中国から台鉋が入って来た当初は押して使っていたことが当時の絵図などから判明している。

現在では、建築用には回転刃で切削する備え付け式または可搬式の電動カンナが多用されている。可搬式の電動鉋は全て押して用いる様に設計されている。電動でないものは、主に最終仕上げや複雑な曲線の加工用に使われるが、日本にのみ電動式で手動鉋同様の固定刃で切削する超仕上げ鉋と言われるものがある。


  1. ^ 建設通信新聞記事(2011年3月25日16面)
  2. ^ 八日市地方遺跡出土の「柄付き鉄製鉇」について』(プレスリリース)石川県埋蔵文化財センター、2017年7月27日。 オリジナルの2017年7月29日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170729092517/http://www.ishikawa-maibun.or.jp/hakkutsu/hakkutsu17/youkaichijikata0729.pdf2017年7月29日閲覧 
  3. ^ 中国やその他の交易路には類似のものは見られなかったが、八日市地方遺跡で発見された出土品は日本で鉄器生産が始まる前に使われていたため、石川県埋蔵文化財センターは中国で作られたと推定している。なお、この時代の鉇は現在よく知られる鉇と違い、刃が短く現在のものと使用法が異なっていた可能性がある。


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