虐待
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 11:51 UTC 版)
概要
児童虐待や性的虐待など、虐待は、その対象も行為主も様々である。例えば家庭では、夫が妻を虐待する、父親が子を虐待する、妻が夫を虐待する、母親が子を虐待する、夫婦で子を虐待する、成人している子が高齢者となった親を虐待する、などということが起きている[2]。職場では、雇用主(経営者)が従業員を、また先輩格の従業員が後輩格の従業員を虐待することがある。刑務所では、看守が囚人を虐待することがある。警察官が被疑者に対して、「取り調べ」と称して虐待を行うこともある。また戦時には、(たとえ戦争捕虜であっても虐待してはならないことが国際法で定められているにもかかわらず)捕虜を虐待するなどということもしばしば起きている。また、近年ではアメリカ合衆国が、非戦闘員の多くのイスラム教徒をあえて意図的にアメリカ国境外のアブグレイブ収容所に収容することで国内法の適用を免れ、かなり組織的に虐待を行っていたこと(アブグレイブ刑務所における捕虜虐待)も明らかになっている。
行為者は、虐待しているという自覚がある場合もあるが、自覚が無いことも多い。例えば、虐待を行っている親には自覚が無いことも多く、勝手に、「躾(しつけ)をしている」と思っていること(勘違いしていること)もしばしばである。
虐待を受けているかもしれないと感じた子ども、虐待をしてしまっているかもしれないと感じた親、虐待の可能性のある言動を見聞きした人々は、児童相談所(児童相談所虐待対応ダイヤル:189, いちはやく)に、ただちに連絡する必要がある。児童相談所では、子どもと親への相談援助活動・子どもの一時保護などを行っている。
虐待行為の分類
- 身体的虐待
- 対象に身体的暴力を加える
- 心理的虐待 (精神的苦痛)
- 対象に心理的暴力を加える(精神的苦痛を与える)
- 性的虐待
- 対象にセクハラをしたり、性的暴力を加える
- 経済的虐待(金銭的虐待)
- 対象に金銭を使わせない、無心する・奨学金を勝手に使う(成長した子供・高齢者に多い)
- ネグレクト(養育放棄・無視)
- 対象に必要な養育を提供しない、小学生ぐらいになるとお金だけ渡すこともある
- 教育虐待
- 子供の意思に反して塾や習い事漬けにする。子供の人生に割り込み、進路を勝手に決める。反発・結果を出せないと虐待する
※なお、他の虐待においても、躾と称して加えるケースも多い。
虐待対策の仕事
- スクールロイヤー - 学校に配属され、いじめ・虐待・親子や教師の問題に対応する弁護士
- 精神科医
- 臨床心理士
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー
- 養護教諭
- 児童相談所(児童福祉司、相談員)
- 保護施設(子どもシェルター、DVシェルター)
- ^ Oxford Dictionaries
- ^ 熊谷文枝『アメリカの家庭内暴力』サイエンス社、1983年
- ^ a b 倭文真智子 (2010).虐待による被害と支援のあり方 日本心理臨床学会(監理支援学――91のキーワードでわかる緊急事態における心理社会的アプローチ―― (pp. 101-102) 遠見書房
- ^ a b c d 亀岡智美 (2016).被虐待児へのトラウマケア 児童青年精神医学とその近接領域 2016年 57巻 5号 p.738-747, doi:10.20615/jscap.57.5_738
- ^ 虐待で「脳が傷つく」衝撃データ2割近い萎縮も
- ^ 家族と学校
虐待と同じ種類の言葉
品詞の分類
名詞およびサ変動詞(待遇) | 虐遇 酷遇 虐待 奉送 奉祝 |
名詞およびサ変動詞(虐げる) | 虐待 荼毒 放過 陵虐 陵轢 |
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