漫画原作者 概要

漫画原作者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/23 14:17 UTC 版)

概要

漫画原作者は特定の漫画作品を作成するため、そのストーリーや人物・世界観といった設定を考案・執筆する。特定の漫画作品のために書かれたものを漫画原作と呼び、脚本絵コンテなど、さまざまな形態で作成される。また、漫画原作者は自らの著作として完成された形態で脚本などを執筆するわけではなく、それらの原稿にも著作権を有するため、執筆されたものが書籍などで読者の目に触れて公開されることは、ほとんどない。

漫画原作者は自ら画を描くことはなく作品設定やストーリー、セリフを作成し、漫画家がそれらをベースに作画する。映画でいうところの脚本家に近い位置づけで、演出については漫画家が主導権を持つことが多い。ただし、近年はネーム原作と呼ばれる演出(絵コンテ)まで担当する漫画原作者も増えている。

アメリカン・コミックスにおいては、スクリプト(脚本)を担当する者はライターと呼ばれる。

分業化

漫画はその黎明期には、漫画家が作画のすべてとストーリー創作・資料収集のすべてを手がけた。しかし、読者のニーズに合わせる形で漫画が多様化し、作画やストーリーが複雑化した結果、単独で、しかも限られた期間内において創作の全工程を手がけることが難しくなっていった。このような背景から、漫画創作においても映画やテレビドラマのように分業化が生じた。

最初の分業は作画工程に起きた。友人などを動員して作画を「お手伝い」していた時代から、漫画家が作画のためにアシスタントとして雇うことが増えた。

次に、漫画家のためにストーリーを提供する役割が求められた。発表済みの小説が漫画の原作となることが多くあったが、さらに漫画作品のためのオリジナル・ストーリーが作成される事例が現れる。これが、漫画の「原作」と呼ばれるようになった。

役割と提供形式

著者に名を連ねず、ストーリー構成について同じような役割を担うスタッフが存在したことから、漫画原作者の存在が認知されるようになった後でも、その役割は明確ではない。漫画作品には漫画家の名のほか、漫画原作者とは違った多種多様なクレジットが存在する。それらは脚本執筆以上の役割や、それ以下の役割であることを暗示するためと考えられるが、個々に厳密な定義は存在しない。

  • 漫画原作者は漫画作品の絵を描かない。作品設定、ストーリー、セリフなどを作成し、プロット(物語)作成または脚本家としての役割を果たす。
  • 原作を提供する形態として、小説形式・脚本形式で提供され、作画担当者が漫画に起こす場合と、原作者が「ネーム」という「漫画のコマ割」までを作って作画担当者に渡す場合とがある。後者の「コマ割」という形態をとる原作者は、主に漫画家の経験者である。
  • 主流は小説形式ではなく、シナリオ形式である。
  • 完成済みの文学作品(小説、ライトノベルなど)・テレビアニメ・コンピュータゲームなどを原作として、漫画が描かれることもあるが、このような場合はオリジナルの著作権者が個人(自然人)よりも法人(ゲーム会社、アニメ制作会社などの企業)である場合が多いため、「漫画」原作者とは呼ぶことはない。作者が故人となっている過去の作品が漫画原作となることもあるが、これについても同様である。
  • 原作とは別に「企画」「原案」「監修」「協力」などと、さまざまなクレジットが存在する。しかし、いずれの実態や役割も明確にされていない。
  • 漫画作品は古くから、漫画家や編集者とのディスカッションなどを通じて製作されていた。その発展形態として、少年誌を中心に編集者が事実上ストーリーを作成して漫画家が作画をする作業形態が存在すると、漫画家や関係者によって語られている。しかし、編集者が著者としてクレジットされている例は見られない。

  1. ^ 第66話で降板。第67話以降は作画のあおきてつおが原作も兼任。
  2. ^ 開始当初はメインで製作していたが、後期からは原案の天樹征丸がメインとなり、単行本でも名前が記載されなくなった。
  3. ^ 作画を務めた国樹由香の怪我により、原作者自身が執筆した回がある。
  4. ^ 原作クレジットは単行本第10巻まで。第11 - 12巻は「料理監修」。





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