植木鉢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 07:13 UTC 版)
問題点
植木鉢にとって不可避的な問題点は、施肥や水遣りの失敗などによる根腐れなど、管理者の責に帰すべき事由を除くと、植物体、特に根部の成長によって生じる根部と植木鉢内壁との密着により、植え替えなどの際に植物体を鉢から抜去するのが非常に困難になることである。
この現象は根部の発育に伴い、根部が植木鉢内壁に与える圧力が上昇することと、根部が植木鉢内壁に密着することによる、静止摩擦力の増大による。このような状態になると植物体を無傷で植木鉢から抜去することが非常に困難になるので、たいてい、陶磁器鉢の場合は鉢を割ったり、またプラスチック鉢の場合はハサミなどで鉢を切って除去することとなる。植物体根部の生育が著しい場合は、植木鉢の壁面に亀裂が生じたり割れたりする等の「鉢割れ」という現象が起こる。特に陶磁器鉢の場合は内圧に弱いため、比較的よく鉢割れを起こす。また陶磁器鉢では、鉢の壁面に亀裂が入ってはいるが割れきらずにいる、という現象もよく見られる。しかし、この「鉢割れ」という現象を逆手に取ることで、あらかじめ鉢壁が割れている鉢を作ることができる。その製法は、鉢割れを起こした鉢(前述の「壁面が完全に破断していない状態の鉢」では、亀裂の走行方向の延長線上を軽く叩くことにより亀裂自体を成長させ、鉢を上手に割る)から植物体を抜去し、接着剤等で割れを補修し、鉢の外周にナイロンバンドを巻くなどして保持することにより完成する。この鉢の特徴は、根部の発育により容易に割れることである。つまり万一、鉢割れを起こすほど植物体根部が旺盛に発育したとしても、接着剤で接合した部分が無傷の鉢よりもはるかに低い圧力で割れることで、根部へのストレスが軽減されることである。このような鉢を「カチ割れ鉢」と称する。しかし見栄えの点から現在、市販はされていない。なお、植物体(根部)を植木鉢から抜去する方法としては、竹べらや薄くて弾性に富む金属板(8号鉢以上の大型株では建築用の曲尺が好結果)を植木鉢の内壁といわゆる「根鉢」の間に挿入して左右にこじることを鉢全周にわたり繰り返し、根部と植木鉢内壁との密着をはがす方法もある。ただこの方法では根部を傷めやすいことに留意する必要がある。
注釈
- ^ 植木鉢無しの状態、つまり植物の根に土がついただけの状態のものを例えばコンクリートやタイル張りの場所に置いても、水をやるたびに土壌が流れていってしまい、やがて根がむき出しになってしまう。また植木鉢無しでは、植物の角度(姿勢)が安定しない。
出典
- ^ 『栽培法及び作業法』, 職業訓練教材研究会 (2005年2月10日),ISBN 978-4786310218
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