小さき勇者たち〜ガメラ〜
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DIシステムの採用
撮影時には撮影期間短縮とコスト面で有利なデジタル撮影が使用できたが、本作品はフィルムの表現力にこだわり、フィルム撮影された。その上で全編にわたり撮影したネガフィルムをスキャンしデジタル化、コンピュータ上で合成や色調調整を行った後、再度フィルム化するDIシステム (digital intermediate system) と呼ばれる方式が採用された。
DIシステムにより、映像ごとに階調や色合いなどの調整、撮影時の天候による色彩のズレの補正などを行なった。
映像合成
風景
緋島は実在しない架空の島で、鳥羽市の神島を大王崎と合成して作られた。1メートル大のトトと語り合うシーンは米子浜の岩の上で撮影され、映り込む熊野灘の船舶を全て消去することで無音を表現している。動的ながれきのほとんどはCG合成で、灯台の落下シーンでは誰もいないレイヤとがれき、走り出す人物、落下する灯台など、複数のレイヤを合成している。
人物
人のシーンでは、トトが名古屋に運ばれていくシーンでのエキストラなどに合成処理が行なわれた。トトの輸送シーンでは背景のみの映像、トトの頭部のみの映像など幾つかの映像を組み合わせ、クロマキーで合成している。古典的なクロマキーでは切り抜くための色に近い色の服を着てはいけない制限があるが、本作品の場合は緑色が設定され、背景を切り抜かれる側の撮影をする可能性の高いエキストラのうち、緑に近い色を含む服を着ていた人は衣装を変更させられた。ジーダスに襲われた後に住民が避難した体育館のシーンとトトの輸送シーンではこの制限がないが、人が逃げ惑うシーンでは制限がかかっている。転倒シーンでは合成により事故防止のためのマットを消去している。クロマキーはブルーバックと呼ばれるアナログ処理でも同等の処理が可能である。
ケヅメリクガメ
気まぐれなケヅメリクガメが首を伸ばしたり口を開けたりするシーンでデジタル処理が多用された。包丁を昭和ガメラの怪獣ギロンに見立てたシーンは顔の表情を変化させるなど、コミカルに仕上げられた。ジェット噴射のシーンも合成である。
戦闘シーン
名古屋での戦闘シーンのほとんどと、志摩大橋の戦闘シーンでもクロマキーが使われている。余分な物が映り込んだ場合には合成処理により消去された。ジーダスが志摩大橋に向かうシーンは実際の上空映像とオープンセットで撮影された映像を合成した。
捨てたらダメラ
本作品は環境省とのタイアップ作品である。動物の遺棄を防止する啓発キャンペーンのキャッチフレーズは「捨てたらダメラ」とされ、環境省関連施設などにポスターが配布された。「捨てない。逃さない。」を合言葉に、ペットは最後まで責任を持って飼うべきである旨をPRしている。ポスターは第2版を基に作成され、上段に注意喚起文、中段が通常のポスターと同様で、下段に環境省の機関名が入っている。
透の家は飲食業を営んでいるため、ペットを飼うことを父親が禁止していた。透はトトが空を飛ぶことと成長が早すぎることを気味悪がり、トトを浜に捨てようとするが捨てきれず、結局トトを拾いあげ笑顔で家に帰っていく。
注釈
- ^ あいざわ食堂は実際はかまぼこ店、西尾真珠店は実際も真珠店。
出典
- ^ a b 平成ガメラパーフェクション 2014, p. 272, 「全スタッフ&キャストデータ」
- ^ “金子修介監督、平成ガメラ三部作を語る!令和ガメラにも「やる気十分」”. MOVIE WALKER PRESS (ムービーウォーカー): p. 4. (2021年1月28日) 2021年2月25日閲覧。
- ^ 公式ガイドブックより[要文献特定詳細情報]
- ^ パンフレット 2006, 「これはびっくり!!大怪獣ガメラ完全解剖図」
- ^ a b パンフレット 2006, 「トトの観察日記」
- ^ a b c d e f g h i j パンフレット 2006, 「やっぱりびっくり!!海魔獣ジーダス完全解剖図」
- ^ a b c 超全集 2006, p. 33, 「ガメラ・ジーダス 二大怪獣ひみつ図解」
- ^ 平成ガメラパーフェクション 2014, pp. 142–147, 小さき勇者たち〜ガメラ〜 造形のうらがわ
- ^ “平成ガメラ3部作を中心とした、貴重な展示が満載の「特撮のDNA」展が開催!”. ASCII.jp (角川アスキー総合研究所). (2020年1月23日) 2023年9月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j パンフレット 2006, 「PRODUCTION NOTES」
- ^ “がんばれ!! ガメ太郎 『小さき勇者たち~ガメラ~』公式ブログβ”. Yahoo!ブログ. 2005年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月16日閲覧。
- ^ “更新終了のお報せ”. がんばれ!! ガメ太郎 『小さき勇者たち~ガメラ~』公式ブログ. Yahoo!ブログ (2006年5月1日). 2006年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月16日閲覧。
- ^ 週刊朝日2006年5月26日号、サイゾー2006年34号
- ^ 朝日放送 「ムーブ!」にて”ガメラに虐待疑惑”として放送されましたので内容を一部を抜粋します。 - リクガメを考える会
- ^ 安田琢典「まるでメロンパン、実は「ガメラの孫」リクガメ続々誕生」『朝日新聞デジタル』、2020年7月30日。2020年10月3日閲覧。
- ^ “3月で営業休止の志摩マリンランド、生物の譲渡始まる”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2021年2月23日) 2023年9月16日閲覧。
- ^ 映画秘宝 2021年 4月号
- ^ 平成ガメラ パーフェクション, 2014年, KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- ^ 小中千昭 Chiaki J. Konaka [@yamaki_nyx] (2018年3月17日). "という事をここに書いているのは、以前にも書いたけれど、テイマーズの1~3話は設定などは全然違うものの、小中兄弟版ガメラのエッセンスが濃厚に入っている。…". X(旧Twitter)より2023年9月16日閲覧。
- ^ 電撃ホビーマガジン編集部, 2014年, 平成ガメラ パーフェクション, 237頁, KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- ^ 電撃ホビーマガジン編集部, 2014年, 平成ガメラ パーフェクション, 75頁, 80頁, 87頁, 159頁, KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- ^ “角川Gとカートゥーンネットが『ガメラ』をアニメ化”. アニメ!アニメ! (株式会社イード). (2005年10月29日) 2023年9月16日閲覧。
- ^ “Cartoon Network Licenses 'Gamera'”. ICv2 (2005年10月31日). 2023年9月16日閲覧。
- ^ Skarda, Erin (25 July 2011). “Meet Gamera, the All-Terrain Tortoise With a Wheel for a Leg”. Time 2019年7月16日閲覧。.
- ^ “Gamera”. WSU University Veterinary Teaching Hospital. Washington State University (2011年7月30日). 2019年7月16日閲覧。
- ^ “Friends bid goodbye to well-traveled amputee tortoise”. WSU Insider. Washington State University (2014年6月4日). 2019年7月16日閲覧。
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