基本行列 (コンピュータビジョン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/26 07:10 UTC 版)
性質
すべての 行列が、何かしらのステレオカメラにとっての基本行列になるわけではない。(基本行列は1つの回転行列と1つの交代行列(いずれも 行列)の行列積として定義されていることに注意。)。交代行列は等しい2つの特異値と0であるもう1つの特異値を持つ。回転行列の乗算は特異値を変えない。これは、基本行列もまた等しい2つの特異値と0であるもう1つの特異値をもつことを意味する。この性質は、しばしば基本行列の内部制約(英 : internal constraints)と呼ばれる。
基本行列にゼロ以外のスカラーを掛けても、その結果はと全く同じ制約を与える基本行列となる。これはを射影空間の元とみなせることを意味する。すなわち、一方が他方のゼロ以外のスカラー倍である場合、2つの行列は等価とみなされる。これは、例えばが画像データから推定される場合の適切な考え方である。一方、を次のように定義することも考えられる。
ここで、であり、このときはwell-definedな「スケーリング」を持つ。どちらの考え方がより適切かは、その利用場面によって異なる。
制約は、次のようにも表せる。
また、
ここで、最後の式は行列制約で、各行列要素に1つずつ、9つの制約とみなせる。これらの制約は、5組の対応する点のペアから基本行列を決定するためによく用いられる。
基本行列には、射影要素として表示されるかどうかに応じて、5つまたは6つの自由度がある。回転行列と平行移動ベクトルにはそれぞれ 3 つの自由度があり、合計で6つである。一方で基本行列を射影要素とみなす場合は、スカラー倍に関連する1つの自由度を差し引く必要があり、計5つの自由度となる。
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