代理 (日本法) 復代理

代理 (日本法)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/02 15:17 UTC 版)

復代理

復代理人の選任

法定代理人の場合は本人から直接委任されているわけではないため、自己の責任で復代理人を選任することができる(105条前段)[16]。ただし、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う(105条後段)。2017年の法改正で旧106条が105条となった(2020年4月1日施行)。

しかし、任意代理人(委任による代理人)の場合は本人がその者を見込んで代理権を与えているため、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない(104条)[4]。2017年の改正前民法には任意代理人の場合は「その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。」(旧105条)という規定があったが、任意代理人の責任を選任及び監督に制限するのは不合理と批判されたため削除された[17]。旧105条の削除により任意代理人の責任に関しては債務不履行の一般法理による責任が適用されることとなった[17]

復代理人の権限

復代理人は本人の代理人となるのであり(106条1項)、代理人の代理人になるわけではない[4]。復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う(106条2項)。

無権代理

代理人が行った代理行為に関して代理人が代理権をもっていなかった場合は無権代理行為となる[18]。無権代理行為は無効ではなく効果不帰属となり、本人が追認すれば有効な代理となる(本人が追認を拒絶すれば本人に効力を生じないことが確定する)[18]

ただし、無権代理行為のうち、相手方が代理権の存在を信じたことに合理的根拠があり、本人にも帰責事由があるような類型では、代理制度の信頼維持のために権原ある代理人が行った場合と同様の効果を認める表見代理の制度がある[19]


  1. ^ 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、229-230頁。ISBN 978-4766422771
  2. ^ a b c d e 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、230頁。ISBN 978-4766422771
  3. ^ 第21回弁護士業務改革シンポジウム【第5分科会】行政手続における弁護士の関与業務の展開”. 日本弁護士連合会. p. 146. 2020年4月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、233頁。ISBN 978-4766422771
  5. ^ a b c d 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、234頁。ISBN 978-4766422771
  6. ^ a b 浜辺陽一郎『スピード解説 民法債権法改正がわかる本』東洋経済新報社、40頁。ISBN 978-4492270578
  7. ^ 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、234頁。ISBN 978-4766422771
  8. ^ 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、236-237頁。ISBN 978-4766422771
  9. ^ a b c d 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、236頁。ISBN 978-4766422771
  10. ^ 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、236-237頁。ISBN 978-4766422771
  11. ^ a b c d 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、237頁。ISBN 978-4766422771
  12. ^ a b c d 浜辺陽一郎『スピード解説 民法債権法改正がわかる本』東洋経済新報社、41頁。ISBN 978-4492270578
  13. ^ a b 浜辺陽一郎『スピード解説 民法債権法改正がわかる本』東洋経済新報社、35頁。ISBN 978-4492270578
  14. ^ a b 浜辺陽一郎『スピード解説 民法債権法改正がわかる本』東洋経済新報社、36頁。ISBN 978-4492270578
  15. ^ 浜辺陽一郎『スピード解説 民法債権法改正がわかる本』東洋経済新報社、37-38頁。ISBN 978-4492270578
  16. ^ 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、232頁。ISBN 978-4766422771
  17. ^ a b 浜辺陽一郎『スピード解説 民法債権法改正がわかる本』東洋経済新報社、39頁。ISBN 978-4492270578
  18. ^ a b 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、240頁。ISBN 978-4766422771
  19. ^ 松尾弘『民法の体系 第6版』慶應義塾大学出版会、245頁。ISBN 978-4766422771


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