レーザー 安全基準とクラス分け

レーザー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 05:52 UTC 版)

安全基準とクラス分け

レーザー警告シンボル

レーザーは出力の低いものでも、直視すると失明の危険があり注意が必要である。国際機関である国際電気標準会議(International Electro-technical Commission、略称IEC)の60825-1「レーザー機器及びその使用者のための安全指針」により、レーザー機器の出力、レーザー光線の波長などによる、クラス分けがなされており、クラス毎に労働衛生安全管理体制の整備が必要となる。

国内における安全基準
JIS(日本工業規格)
アメリカにおける安全基準
ANSI(米国規格協会)
  • ANSI Z 136.1 「レーザーに関する安全な使用」
FDA(米国食品医薬品局)
  • FDA 21CFR PART1040_10and1040.11 「保護と安全のための放射線規制法」

クラス分けと制約条件

上記JIS C 6802の平成17年改訂を元にしたクラス分け。

クラス1
合理的に予見可能な運転状況下で安全であるレーザー。どのような光学系(レンズや望遠鏡)で集光しても、眼に対して安全なレベルであり、クラス1であることを示すラベルを貼る以外は特に対策は要求されていない。
クラス2
可視光のみに規定され、眼の保護は「まばたき」などの嫌悪反応により行われることによりクラス1なみの安全が確保されるレーザー。
クラス1M
合理的に予見可能な運転状況下で安全である302.5 - 4000nmの波長範囲の光を放出するレーザー。光学系で覗かない限りは安全なレベルである。
クラス2M
可視光のみに規定され、眼の保護は「まばたき」などの嫌悪反応により安全が確保されるレーザー。光学系で覗かない限りは安全なレベルである。
クラス3R
直接のビーム内観察は潜在的に危険であるが、その危険性はクラス3Bレーザーに対するものよりも低いレーザー。製造者や使用者に対する規制対策がクラス3Bレーザーに対し緩和されている。クラス1あるいはクラス2のAELの5倍以内である。鍵やインタロックを取り付ける必要がない点で、その上のクラスとは異なっている。
クラス3B
連続発振レーザーで0.5W以下、パルスレーザーで10~5Jm/m~2以下のもの。直接見ることは危険なレーザー。直視をしなければ安全なレベル。鍵やインタロックを取り付ける必要がある。使用中の警報表示などが必要。
クラス4
散乱された光を見ても危険なレーザー。皮膚に当たると火傷を生じたり、物に当たると火災を生じたりする恐れのあるものを含む。出射したビームは必ずブロックするなどの対策が必要。鍵やインタロックを取り付けることや、使用中の警報表示などが必要。

注釈

  1. ^ JIS Z8301 では最後を伸ばさないが、国語表記の基準(文化庁)では伸ばす。

出典

  1. ^ 鈴木茂, 炭山嘉伸, 宅間哲雄, 鶴見清彦「遺残再発結石に対する内視鏡的治療およびレザー応用」『日本消化器外科学会雑誌』第16巻第4号、日本消化器外科学会、1983年、775-778頁、doi:10.5833/jjgs.16.775ISSN 0386-9768NAID 130004340415 
  2. ^ a b Steen, W. M. "Laser Materials Processing", 2nd Ed. 1998.
  3. ^ Valentin Aleksandrovich Fabrikant (on the occasion of his 70th birthday) Journal of Applied Spectroscopy, Volume 27, Number 5, 1977年11月
  4. ^ The Nobel Prize in Physics 1966 Presentation Speech by Professor Ivar Waller. Retrieved 1 January 2007.
  5. ^ Charles H. Towns (1999). How the laser happened: adventures of a scientist (5. MASTER EXCITEMENT AND A TIME FOR REFLECTION)
  6. ^ Gould, R. Gordon (1959). “The LASER, Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation”. In Franken, P.A. and Sands, R.H. (Eds.). The Ann Arbor Conference on Optical Pumping, the University of Michigan, 15 June through 18 June 1959. pp. 128. OCLC 02460155 
  7. ^ Chu, Steven; Townes, Charles (2003). “Arthur Schawlow”. In Edward P. Lazear (ed.),. Biographical Memoirs. vol. 83. National Academy of Sciences. pp. 202. ISBN 0-309-08699-X 
  8. ^ Hecht, Jeff (2005). Beam: The Race to Make the Laser. Oxford University Press. ISBN 0-19-514210-1 
  9. ^ Maiman, T.H. (1960). “Stimulated optical radiation in ruby”. Nature 187 (4736): 493–494. doi:10.1038/187493a0. 
  10. ^ Townes, Charles Hard. “The first laser”. University of Chicago. 2008年5月15日閲覧。
  11. ^ D. Strickland and G. Mourou, Opt. Commun. 56, 219 (1985)
  12. ^ JIS C 6802:2014 用語及び定義 3.37


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