リチャード二世 (シェイクスピア)
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上演史
1595年12月9日、サー・エドワード・ホビーがロバート・セシルを招待して「リチャード王」を見たという記録があり、これはシェイクスピアの『リチャード二世』の上演だったのではないかと言われているが、別の芝居か絵画、あるいは文書ではないかという説もあり、はっきりしたことはわかっていない[12]。
他の依頼公演は1601年2月7日のグローブ座で、依頼したのは前述したエセックス伯の支持者たちである[13]。
1607年9月30日、シエラレオネ沖に浮かぶイギリス東インド会社レッド・ドラゴン号での上演で、ウィリアム・キーリング船長の部下たちが『リチャード二世』を演じたという記録があるが、この記録の正確性については疑念を呈する意見がある[14]。
グローブ座では1631年6月12日にも上演されている[15]。
王政復古期の1680年には、ネイハム・テイト(Nahum Tate)がドルリー・レイン劇場(Theatre Royal, Drury Lane)で『リチャード二世』の改定版を上演しようとした。政治的ほのめかしがあることから、テイトは舞台を外国に、題名を『シシリーの略奪者(The Sicilian Usurper)』と変え、さらにリチャード二世の高貴な人柄を強調、逆に弱点を薄めることによって、ステュアート朝の批判をかわそうとした。しかしいずれの手段も実を結ばず、テイトが序文に書いたように「silenc'd on the third day(3日目での沈黙=上演禁止)」となってしまった。
1719年のリンカンズ・イン・フィールド(Lincoln's Inn Fields)でのルイス・シオボルド(Lewis Theobald)の上演は成功し、改訂も少なくて済んだ。1738年のコヴェント・ガーデンでの上演では、シェイクスピアのオリジナル版が復活した[16]。
20世紀になって、ジョン・ギールグッドが1929年のオールド・ヴィック・シアターでリチャード二世を演じ、世界の演劇界に衝撃を与えた。ギールグッドは1937年、1953年にもリチャード二世を演じ、決定的な当たり役と見なされた。もう一人の当たり役はモーリス・エヴァンスで、1934年にオールド・ヴィック・シアターでリチャード二世を演じた後、1937年のブロードウェイ公演でセンセーションを巻き起こし、1940年にもニューヨークで再演、さらには1954年のテレビ『Hallmark Hall of Fame』でその名誉を不動のものとした。1978年にはBBCの「The Shakespeare Plays」シリーズの1本として映像化され、デレク・ジャコビがリチャード二世を演じ、ギールグッドもジョン・オブ・ゴーント役で出演した。
2012年にはBBCがテレビ映画シリーズ『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』の一篇として製作した。
- ^ a b Kastan, p.340
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- ^ 渡辺喜之「解説」、ウィリアム・シェイクスピア『リチャード二世』小田島雄志訳、白水社、2000、202-217、p. 208。
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- ^ Charles Forker, "Introduction", William Shakespeare, Richard II, Arden Shakspeare Third Series, ed. by Charles R. Forker (Bloomsbury, 2009), 1-169, p. 121.
- ^ F. E. Halliday, A Shakespeare Companion 1564-1964, Baltimore, Penguin, 1964; pp. 262 and 412-13.
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