マクドナルド 歴史

マクドナルド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 06:21 UTC 版)

歴史

開業

初期のマクドナルドのキャラクターのSpeedee
初期のマクドナルドの店舗

最初のマクドナルドはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンバーナーディノマクドナルド兄弟1940年に始めたものである。「スピード・サービス・システム」のキャッチフレーズと、工場式のハンバーガー製造方法、そしてセルフサービスの仕組みにより、第二次世界大戦後の1948年以降、特に有名になった。

レイ・クロック

1954年に、ミルクシェイクミキサーセールスマンで、ボヘミアユダヤ系[9][10]の企業家のレイ・クロック(Ray Kroc)が、ミキサーを売りに兄弟の店にやってきたとき、マクドナルドの仕組みについて興味を持った。特に興味を持ったのは客席回転率が大変高く、相当数の人数の客を次々とさばけることだった[11]。すっかり感心したクロックは、ミキサーのメンテナンスで食堂にやってきたとき、システムフランチャイズ形式にして、システムそのものを売る商売を始めてはどうかと勧めた。

兄弟は「自分たちのためにこの店をやっているだけで、フランチャイズをするつもりはない」と消極的だったが、クロックが交渉を粘った末に「兄弟はこの店以外干渉しない」「クロックはこの店には干渉しない」「マクドナルドという名とシステムは、クロックが事業に使う」で合意、兄弟が要求した契約金(約3億円)もかなり高かったものの、クロックの野望は第一歩を踏み出す事ができた。

クロックはマクドナルドを売り込むために熱心に働き、近々できるディズニーランドの中にマクドナルドの食堂を入れるよう、ウォルト・ディズニーにも直接会って積極的に売り込んだ。この試みは失敗したが、クロックは、イリノイ州デスプレーンズに最初のフランチャイズ店を出店し、即大成功となる。さらに1955年3月2日、新しい会社"McDonald's Systems Inc."(マクドナルドシステム会社)を作り、同年4月15日にクロックが直営店1号店をシカゴにオープンさせた[12]1960年には、社名をマクドナルドコーポレーション("McDonald's Corporation")に変更した。

ロナルド・マクドナルド

クロックのマーケティング戦略のうちの一つは、家族向けの店舗にすること。特に子供を商売の対象とすることだった。1960年代初め、首都ワシントンでマクドナルドのフランチャイズ権をとって営業していたオスカー・ゴールドスティン(Oscar Goldstein)が、ウィラード・スコットWillard Scott)というクラウン(道化師)が所属するBozo's Circus(荒くれ男のサーカス)という名の出し物のスポンサーについた。この出し物が中止されると、ゴールドスティンはマクドナルドのマスコットキャラクターとしてウィラード・スコットを雇い、そのキャラクターはマクドナルドにちなんで「ロナルド・マクドナルド(Ronald McDonald)」と命名され、ウィラード・スコットはロナルド役で1963年から約2年間コマーシャルに出演した[13]

ロナルドは求められていた役に比べて少々太り気味だったが、このキャラクターが広告に出ることにより、マクドナルドのチェーン店は米国全土に広がった。続いてロナルド以外のキャラクターも開発されていった。

日本では販売戦略上の理由、および日本語話者には発音しづらい事から藤田田によって「ドナルド・マクドナルド」と訳されており、当初より子供向けCMに出演している。

経営権委譲

クロックと兄弟との契約は、兄弟が生産工程について責任を負い、会社の株式による利益を受け取る。そのかわりにクロックが販売拡張の全責任を負うことになっていた。だが1961年までにクロックは拡張に失敗する。兄弟は、兄の引退も理由となって、1961年に270万ドルでマクドナルドの全権利をクロックに売り渡すことで合意した。クロックにとっては高額だが、長い眼で見ればメリットがあると判断、プリンストン大学などを含む多くの投資者からかき集めて兄弟の持つ株式を約3億円(270万ドル)で買い取った。

この契約では兄弟は「マクドナルド」の名称の使用は認められなかったために、やむなく自分たちの店を "The Big M"(ザ・ビッグM)という名称に変えて営業を続けた。しかし、クロックが兄弟の店のすぐ北にマクドナルドの大型店舗を出店し "The Big M"は倒産してしまい、兄弟の店は閉店して現存しない。

1981年1月にクロックは死去し、その1年間マクドナルドは創業者追悼キャンペーンと銘打ったセールを行ったが、これを知ったマクドナルド兄弟の弟リチャードは激怒したとされる。

経営権委譲に伴う合意事項には、譲渡後もチェーンの売り上げの1%を将来的に支払うという「紳士協定」があったが、契約書には組み込まれていなかったために、それが守られることはなかった。もし守られていたら、兄弟は年に3億6000万ドルを手にすることになっていたはずだった[14]

拡張

以後マクドナルドコーポレーションは、世界の至るところに店を開いた。1990年1月31日にはモスクワで、共産圏初のマクドナルドハンバーガー店が開店した。

マクドナルドのビッグマックの価格は、ビッグマック指数と呼ばれ、通貨間の購買力平均価格の比較手段として使われた。この指標の考案者はイギリスの経済雑誌『エコノミスト』誌(The Economist)である。マクドナルドの標準化は、同時に生活様式や経済活動のグローバリゼーションを意味した。

トーマス・フリードマンは自著の『レクサスオリーブの木』の中で、“黄金のM型アーチ理論”として「マクドナルドのある国同士は戦争を行わないだろう」と予言したが、1999年にアメリカ合衆国のセルビア爆撃によって破られている。

競争激化

アメリカをはじめとする先進国においては、より高価で高品質なハンバーガーや、より多面的サービスを提供している他のファーストフードレストランチェーンとの競争が激しくなっている。

アメリカの食堂専門雑誌による2002年調査によると、マクドナルドの順位は「バーガーキング」と「ホワイト・キャッスル」より下で、ハンバーガーの食品品質は第15位だった。市場調査会社によればマクドナルドのシェアはここ5年で3%低下し、現在、15.2%である。健康的なイメージで売るサンドイッチチェーンの「サブウェイ」が全米で第1位のシェアを持っている。

初の撤退

2009年10月26日にアイスランドで、マクドナルドとして初めて同国内全3店舗の閉鎖を発表することを明らかにした[15]。 撤退理由は折からの金融危機によって、自国生産が難しく輸入に頼っていた原材料費(特に生鮮野菜などの輸入食材)の高騰(バックボーンとしてアイスランド・クローナの価値が同金融危機で失墜し、相対して輸入関税が引き上げられたため)により採算が取れなくなったためとしている。撤退までの過去1年半の間はコストは通常の2倍にまで膨らんでいたこともあり、採算を取れるまで同国の経済状況が回復するのは難しいという判断・同国で事業を展開する上での複雑さから撤退を決めたとしている。

撤退発表以降営業最終日になった10月31日まで大勢の客が詰めかけ、商品の受け取りに20分待ち、ドライブスルー利用のために交通渋滞が発生し、マクドナルド側も臨時従業員の増員で対応するなどの大盛況になった[16]




  1. ^ a b c d e f g Annual Report”. 2017年3月19日閲覧。
  2. ^ 米マクドナルド、イースターブルックCEOによる5つの変化”. IBTimes. 2015年8月30日閲覧。
  3. ^ 食育の時間McDonald's 2012年8月31日 閲覧。
  4. ^ NewsBrief】サンドイッチのサブウェイ、世界店舗数でマクドナルド抜く-The Wall Street Journal 2011年3月8日
  5. ^ セブンイレブン、マクドナルドを抜いてチェーンストア店舗数世界一に - マイコミジャーナル 2007年7月12日
  6. ^ a b 山形浩生 / スタバの未来はどこにある - コーヒー戦争 - 山形浩生 COURRiER Japon 2008年3月号
  7. ^ NEXT LEADER【マネジメント基礎講座】ビジネスリーダー必須のマネジメントスキル Page 3
  8. ^ 【『おもしろい会社』が生き残る vol.2】マクドナルドの過去最高益更新に学ぶ - ハルデザインコンサルティング
  9. ^ 藤田田『ユダヤの商法-世界経済を動かす』(ワニの本 ベストセラーシリーズ、1975年
  10. ^ 『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝-世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者』(レイ・クロック/ロバート・アンダーソン[要曖昧さ回避]共著、野崎稚恵/野地秩嘉翻訳、プレジデント社2007年
  11. ^ 「レイ・クロック 世界を征服した ハンバーガー帝国建国」ダイヤモンド・オンライン
  12. ^ 個人投資家向け会社説明会/日本マクドナルドホールディングス株式会社 (PDF) JASDAQ 2004年4月
  13. ^ 初代ドナルドは現在のドナルドとまったく似ていなかった! ガジェット通信 2009年2月22日
  14. ^ マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」 | ビジネスジャーナル
  15. ^ “米マクドナルドがアイスランドから撤退へ、金融危機で採算取れず”. ロイター. (2009年10月27日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12127220091027 2011年2月14日閲覧。 
  16. ^ “マクドナルド撤退のアイスランド、最後の「マック」に顧客が殺到”. AFP. (2009年11月1日). http://www.afpbb.com/article/economy/2658375/4836934 2011年2月14日閲覧。 
    “アイスランド、マクドナルドの最終営業日前に大行列”. ロイター. (2009年11月1日). http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-12232820091101 2011年2月14日閲覧。 
  17. ^ McDonald's - Weblio英和和英
    参考:各地域のネイティヴスピーカーによるMcDonald'sの発音forvo
  18. ^ a b “「マック」か「マクド」か マクドナルド「略称」論争再燃(2)”. J-CAST. (2010年7月1日). http://www.j-cast.com/2010/07/01070003.html?p=2 2010年7月6日閲覧。 
  19. ^ マック? マクド? 正しい呼び方をマクドナルドに聞いてみた! - ROCKETNEWS24 2010年7月21日
  20. ^ マクドナルド、関西ではなぜ「マクド」? - 日本経済新聞 2012年1月28日
  21. ^ 『新 日本語の現場』方言の今 *1 (読売新聞東京本社、2005年11月9日付)
  22. ^ マクドナルドの呼び方に異変! 関西若年層の間で「マクド」離れ進む - ROCKETNEWS24 2012年1月30日
  23. ^ a b フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。
  24. ^ a b 店舗でのサービス 日本マクドナルドHD
  25. ^ 日本マクドナルドホールディングス(2005年) (PDF) JMR生活総合研究所
  26. ^ 「チャレンジ!!60秒サービスキャンペーン」餅が浜店で先行開始 日本マクドナルドHD 2003年7月
  27. ^ a b c 日本マクドナルド、「厨房革命」で起死回生狙うアーカイブ日経BPネット 2002年11月11日
  28. ^ Tomi Kilgore (2014年7月4日). “調査でマックのハンバーガー「一番まずい」―株価にも影響か”. ウォール・ストリート・ジャーナル. http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304174304580008140580963532 2014年7月4日閲覧。 
  29. ^ 品質について - よくあるご質問 日本マクドナルド
  30. ^ a b c d e f どこまで知ってる?世界のマクドナルド事情 - 1 / 2 / 3 / 4 / 5 All About 2007年1月17日
  31. ^ 上海の期限切れ肉 米国系企業と伝えず報道(2014.7 GoHoo)
  32. ^ チキンナゲットの2割調達=期限切れ肉使用工場から—日本マクドナルド 時事通信社The Wall Street Journal)
  33. ^ ファミマとマクドナルド、チキンの一部販売停止 中国製、期限切れ疑いで 日本経済新聞
  34. ^ 郁子, 竹下 (2019年11月8日). “マクドナルドのハンバーガーを食べたら「エシカル消費」になる理由。ベンチャーや新聞社ともタッグ” (日本語). www.businessinsider.jp. 2020年1月10日閲覧。
  35. ^ a b c d マック×LINE 「アメリカンヴィンテージ」対象商品購入で限定スタンプがもらえる! - えん食べ
  36. ^ 日本マクドナルド「NIPPON ALL STARS」キャンペーンに登場するナゾの米国人「Mr.ジェームス」とは!? J-CAST 2009年8月10日
  37. ^ Julie Jargon マクドナルドに「ジャンクフード販売」中止要請―ロナルドにも引退勧告(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年5月18日)
  38. ^ 外部リンク
  39. ^ 3/1 「下手なレストランより優秀」――元ミシュラン三ツ星シェフが「マクドナルド」を絶賛”. JAPAN JOURNALS LTD.. 2007年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年3月6日閲覧。
  40. ^ Julie Jargon マクドナルドに「ジャンクフード販売」中止要請―ロナルドにも引退勧告(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年5月18日)
  41. ^ 肥満防止でマックのおまけ禁止 米、条例を可決 共同通信2010年11月10日
  42. ^ 安全・安心への取り組み”. マクドナルド. 2018年9月1日閲覧。
  43. ^ 米で500人以上が食中毒、マクドナルドのサラダに寄生虫”. CNN (2018年8月24日). 2018年9月1日閲覧。
  44. ^ The McLibel TrialMcSPOTLIGHT
  45. ^ “待機時間も給与支払いをと提訴 米マック従業員訴”. 共同通信. 47NEWS. (2014年3月14日). http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014031401001503.html 2014年3月14日閲覧。 
  46. ^ “米マック従業員 3州で一斉提訴”. 東京新聞. (2014年3月14日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014031402000239.html 2014年3月14日閲覧。 
  47. ^ パレスチナ情報センター
  48. ^ Calls for boycott of Israel at Dublin protest(アイリッシュ・タイムズ、2009年1月17日)
  49. ^ Starbucks, McDonald’s, Coca-Cola Face Boycotts Over Gaza Attacks(BNET FOOD、2009年1月12日))
  50. ^ Fatwa for boycott Israeli goods(ザ・タイムズ・オブ・インディア、2009年1月18日)
  51. ^ 外部リンク
  52. ^ 日本マクドナルド/沿革インターネットアーカイブ
  53. ^ “ブログ:マクドナルドで時給2100円稼げる国”. ロイター (ロイター通信社). (2014年5月16日). http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPKBN0DW0NR20140516 2014年5月19日閲覧。 
  54. ^ OLIVER STRAND (2014年5月3日). “外国人感銘させる日本の「おもてなし文化」―至れり尽くせりのサービス” (日本語). ウォール・ストリート・ジャーナル. http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303493804579538982070488444 2016年5月28日閲覧。 
  55. ^ マクドナルドが契約解除。「五輪スポンサー」という名誉と打算 2017年6月17日、日刊工業新聞





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マクドナルド」の関連用語

マクドナルドのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



マクドナルドのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマクドナルド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS