ポンジ・スキーム ポンジ・スキームの概要

ポンジ・スキーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/18 08:50 UTC 版)

概要

名称は詐欺師チャールズ・ポンジ(Charles Ponzi)の名に由来する。

「あなた(御社)のお金を運用して増やし、増えた分を(「配当」などとして)あなたに支払う」などと謳って、お金(出資金)を集め、そのお金は(全くあるいは殆ど)運用されず、大部分は詐欺師の懐に入り、以前からの出資者に(実際には「配当」ではなく、ただAさんのお金の一部をBさんに渡しているだけのお金を)「配当」と偽って渡すことで、さもまともな資金運用をしているかのように装う。詐欺師が巧みならば、しばらくの間は出資者の人数が増え続けて、詐欺師の側から見て入金の額が出金の額より多いので出資者たちを騙し続けることができるが、この詐欺システム全体では利益を生んでおらずシステム全体の負債が増え続け、やがて出資者の人数の増加が鈍化した段階でキャッシュ・フローが破綻し、配当金が工面できなくなり配当金の支払いの遅延が発生するようになる。その結果、一部の"出資者"が詐欺の可能性を疑うようになるが、その頃には既に手遅れで、この詐欺システムは大きく破綻し、「出資」をしたと信じていた人々のお金の大部分は消えてしまう。

後から参加した出資者ほど損害は大きくなり、後半の出資者(人数は多く、その支払い総額は多い)は支払った元本の全部を失った上に「配当」もほとんど得られずに終わり、最終段階の出資者(人数が非常に多い)に至っては支払った元本も全額失った上に「配当」を一度も受け取れないこともあり、つまり丸損となる。謳われている利子が市場に比べて異様に高い(年利30%~50%など)傾向がある。

抽象的な分類法としては、日本では投資詐欺の中でもその下位分類のひとつの「出資金詐欺」に分類される。

なお日本の報道の中でも、特に安直な報道(とりわけ制作者側のほうに物事の本質を詳細に分析する気が無い報道)では、「被害者をしばらくの期間騙すために、集めたお金の一部を『配当』と偽って会員に渡している」という当詐欺システムの特徴に焦点を当てず、別の側面(「会員が別の会員を勧誘するように誘導される」という特徴)に焦点を当てて「ネズミ講」あるいは「無限連鎖講」などと訳されてしまうことが多い。しかし実際にはこのポンジ・スキームは、ネズミ講に特徴的な階層的システムに依存しない単純な手口を含むため[3][4]、実態と和訳とが乖離してしまう例もある。

名称の由来となったチャールズ・ポンジの手法も、出資者から得た資金を配当に回す自転車操業的なシステムだった[5]。なお、「人と人の連鎖が階層的で、末端ほど人数が多い」という特徴に焦点を当てる場合は「ピラミッド・スキーム」(Pyramid scheme、日本語では「無限連鎖講」)と言い、別概念である。報道されるような大規模な詐欺事件の多くがポンジ・スキームでありなおかつピラミッド・スキームという性質を備えているパターンが多いだけであって、ポンジ・スキームだがピラミッド・スキームでないパターン(例えば、新規会員の増え方がそれほど多くない状態を維持して、細々と運営される詐欺組織)が一部にあることに注意は必要である。

具体的な犯人名や事件名

19世紀
  • フェルディナンド・ウォード英語版
1920年代
1930年代
1940年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代

  1. ^ 【萬物相】「詐欺大国」大韓民国朝鮮日報
  2. ^ 金融詐欺の一種「ポンジ・スキーム」とは?”. 一般社団法人 金融リテラシー協会. 2023年5月13日閲覧。
  3. ^ "Ponzi Schemes". Investor.gov (アメリカ英語). U.S. Securities and Exchange Commision. 2023年12月16日閲覧
  4. ^ "Ponzi Scheme News". Bloomberg (英語). Bloomberg. 2011年1月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月3日閲覧
  5. ^ "破滅を運命づけられた詐欺の手法「ポンジ・スキーム」". AFPBB News. パリ/フランス: クリエイティヴ・リンク. 2008年12月16日. 2023年12月16日閲覧
  6. ^ 投資詐欺はこうして行われた!GPJの実態All About, 2006年11月01日


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