ハーフタイムシアター ハーフタイムシアターの概要

ハーフタイムシアター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/31 23:41 UTC 版)

起点

ある劇場から「1週間劇場が空いたから使わないか」と聞かれ、新人公演を行おうかと思ったが逆に本公演を何とか出来ないかという逆の発想から生まれた。

それなら期間が短い分、普通なら1日1回しかしない所を2回してしまえばいいのでは、なら公演時間や料金を半分にしてしまえばという具合に話が進み、最終的に成井豊が「小説に短編があるんだから演劇にあってもおかしくないじゃないか」と言いだし実現した。

だがこの発想は当時所属していた劇団員達から反発を食らい、結果残った男優は成井豊と西川浩幸だけになってしまった。そこで成井豊は「男が二人しか出ない劇を書く」道を選び、1989年2月『銀河旋律』を上演した。

動員数は200人ぐらいしか入れない新宿シアターモリエールで、公演日数6日間16ステージで2703人。[1] 前回公演の『不思議なクリスマスのつくりかた』が3028人だったので、実質的に成功したとされた。その後、1年後の1990年初演『広くてすてきな宇宙じゃないか』の動員数は倍近くの6015人と、着実に動員数を増やす。

当時演劇は2時間前後が鉄則とされていた中で、短時間だが通常よりも安く観られるということで多くの支持を得た。

また上演時間が60分前後ということもあり、上演時間が基本60分までと決まっている高校演劇で脚本をカットせずに上演出来るということで、2005年時点で1000校・年間250~500校で上演されている。[2]

成井豊原作作品

『柿本家サーガ』シリーズ

ニュースキャスターの柿本光介とその家族をめぐる物語。また、ハーフタイムシアター作品以外にも「ケンジ先生」と「怪傑三太丸」もシリーズ作品である。

主な登場人物

  • 柿本光介
「銀河旋律」「広くてすてきな宇宙じゃないか」に登場。ニュースプラネットのニュースキャスターをしている。35歳。
  • 春山はるか
「銀河旋律」に登場。柿本の恋人で、教師をしている。34歳。
  • 猿丸(サルマル)
「銀河旋律」「僕のポケットは星でいっぱい」に登場。はるかの元同僚で、時間管理局に勤めている。
  • おばあちゃん
「広くてすてきな宇宙じゃないか」に登場。おばあちゃん型のアンドロイド。
  • 柿本スギエ/柿本カシオ/柿本クリコ
「広くてすてきな宇宙じゃないか」「僕のポケットは星でいっぱい」に登場。柿本の子供達。14歳/12歳/11歳。
  • ナカタヒデトシ
「僕のポケットは星でいっぱい」に登場。過去からあることを知るためにやって来た少年。

銀河旋律

1989年初演。以後、1992年・1999年・2002年・2011年と上演されている。

民間人がタイムトラベルが可能になった時代。歴史改変について報じていたニュースキャスターの柿本は突如、激しい眩暈に襲われる。歴史改変が行われると激しい眩暈が起きることが判明しており、柿本は自分の歴史が改変されたことに気付く。改変されたのは初めてではなく、その理由も分かっていた。それは、恋人で教師をしているはるかについてのことだった。

広くてすてきな宇宙じゃないか

1990年初演。以後、1992年・1999年・2005年・2012年と上演されている。

ニュースプラネットでアンドロイドの民間貸出開始を報じしている最中に、柿本はおばあちゃん型のアンドロイドを借りることを決めてしまう。そのことに柿本の子供達は反発するが、やってきたおばあちゃんと接する内にスギエカシオは気持ちが変わっていく。だがクリコだけは如何してもおばあちゃんを受け入れることが出来なかった。クリコは友人のカツラを連れて、おばあちゃんを引き取って欲しいと企業に乗り込む。そこでヒジカタという職員と出会い「自分が全てのアンドロイドを動かなくする為に東京中を停電させる」と提案され、3人で発電所を止めに行くことに。

僕のポケットは星でいっぱい

2005年初演。柿本家サーガ完結編。

2035年、ある少年が勝手にタイムマシンに乗って過去からやって来た。時間管理局員に捕まりそうだった所を、28歳のカシオに助けられる。カシオは、少年が来ることを知っていた。少年はナカタヒデトシと名乗り、カシオと行動を共にする。

ハックルベリーにさよならを

1991年初演。以後、1996年・2008年と上演されている。

本作を原作とした漫画をきらが書いており、集英社より出版された。原作と大きな違いとして、アベさんが登場しない。コーキチくんが「まっすぐにいこう。」の伊集院たけしに置き換えられている。また「まっすぐにいこう」のキャラクターがカメオ出演している。[3]

両親が離婚して母さんに引き取られていた小学6年生のケンジは、月に一度父さんと会う「面会日」に父さんの恋人であるカオルさんを紹介される。カオルさんの存在に困惑するケンジだが、ケンジの兄のボクはカオルさんに興味を持ち会いに行く様になる。ボクはすぐにカオルさんと仲良くなるが、ケンジはカオルさんの事に馴染むことが出来なかった。ケンジは思わず「カオルさんなんて居なくなればいい」と言い放ってしまい、ボクと共に川へと出る。

TWO

1996年初演。

水平線の歩き方

2008年初演。以後、2011年・2015年と上演されている。[4]

ラグビーの選手をしている幸一が帰宅すると、部屋に女性が居た。その女性は幸一が小学6年生の時に死んだ母親のアサミで、幸一はアサミと別れてからの日々を話す。
叔父夫婦に引き取られた幸一は息子同様に育てられ、ラグビー選手としての才能を持って居た幸一はプロのラグビー選手になる。しかし膝を壊してしまい、元同僚で友人の豊川に以前似た症例を治した女医の阿部の存在を教えてもらい、奇跡的に回復する。しかしまた膝は悪化してしまい、無理矢理出た試合で完全に選手として復帰出来なくなる程に壊れてしまった。そのせいで豊川の起業やそれに伴った従弟進太郎の就職の破談になってしまう。
このことを話している最中に、幸一に電話がかかってくる。その電話口からは、幸一を呼ぶ仲間達の声が聞こえて来た・・・

ヒア・カムズ・ザ・サン

2011年初演。

有川浩は本作のチラシに刺激を受け[5]、舞台とは違った内容で2パターン収録した『ヒア・カムズ・ザ・サン』を2011年新潮社より出版[6]しており、2011年11月22日(『流星ワゴン』公演時)にキャラメルボックス物販限定で外装が舞台公演チラシバージョンの表紙が発売された。[7]

本来出演予定だった西川浩幸は「左前頭葉皮質梗塞」の為に降板、代役としてを同時上演『水平線の歩き方』に主演していた岡田達也が出演した。[8]

また2014年にスカイロケットが、上記の有川浩原作小説で舞台化した。

編集者をしている真也は、30歳までに結婚しようと思っていた。同じ職場で付き合っているカオルにプロポーズをするが、待ってくれと言われる。そこで真也は自分の秘密を明かす。真也は触った物の記憶が見える、サイコメトリーだったのだ。それを知ったカオルは、あることを真也に告げる。なんと幼少の時に死んだと聞いたカオルの父親・白石が海外で生きており、しかも数日後に帰国するのだ。その世話を押し付けられる真也。白石は映画を作る仕事をしており、様々な有名人に逢ったと自慢する。だが真也が偶然手にした白石の私物には、全く違う“記憶”が付いていた。

  1. ^ 2002年『銀河旋律』公式サイト”. 演劇集団キャラメルボックス. 2012年9月19日閲覧。
  2. ^ 加藤昌史『拍手という花束のために』ロゼッタストーン、2005年初版、20~22・122~126頁より引用
  3. ^ きら (漫画家)『ハックルベリーにさよならを』集英社、1999年初版、11頁より引用
  4. ^ キャラメルボックス2015ハーフタイムシアター 水平線の歩き方 君をおくる”. 演劇集団キャラメルボックス. 2015年6月20日閲覧。
  5. ^ 有川浩、朝井リョウ、伊瀬勝良、海猫沢めろん、神永学、佐藤友哉、田辺青蛙、元長征木、吉野匠、滝本竜彦『カドカワキャラクターズ ノベルアクト2』角川書店、2012年7月15日再版、220頁より引用
  6. ^ 新潮社『ヒア・カムズ・ザ・サン』”. 新潮社. 2012年10月15日閲覧。
  7. ^ グッズ店長ブログ『小説『ヒア・カムズ・ザ・サン』特別版、販売決定!!』”. 演劇集団キャラメルボックス. 2012年10月15日閲覧。
  8. ^ 『水平線の歩き方』・『ヒア・カムズ・ザ・サン』公演サイト”. 演劇集団キャラメルボックス. 2012年9月19日閲覧。
  9. ^ キャラメルボックス2015ハーフタイムシアター 水平線の歩き方 君をおくる”. 演劇集団キャラメルボックス. 2015年6月20日閲覧。
  10. ^ ハタコレ!!通販サイト(販売終了)”. 演劇集団キャラメルボックス通販サイト. 2012年9月19日閲覧。


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