ハマダラカ 生息域

ハマダラカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/03 08:33 UTC 版)

生息域

ハマダラカ各種の生息域

ハマダラカによるマラリアの感染が確認されている地域は、現在のところアフリカなど熱帯地域の一部に限られているが、ハマダラカ属の種はより高緯度地域にも多く生息している[1]。実際に、過去にもマラリアの流行はより寒冷な気候の地域でも起こっている。例えば1820年代には、カナダリドー運河でも流行し、日本でも明治時代北海道の開拓地で流行がみられた[6]

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、マラリア原虫を媒介するハマダラカは、マラリアの流行地域だけではなく、マラリアが撲滅された地域でも発見されていると警告している[7]CDCは、一度撲滅された地域でも、ハマダラカによってマラリアの再導入が起きる可能性があると危険性を訴えている。日本列島においても、マラリア原虫に感受性があり、各地でかつてマラリアの流行に寄与した種のハマダラカ(南西諸島のコガタハマダラカや北海道以南各地のオオツルハマダラカ)、が依然として個体群を維持している。

2019年4月24日付の韓国の新聞「中央日報」は「韓国のマラリア患者は2015年に628人まで増え、2017年は436人に減った。昨年は501人で再び増加した」(記事抜粋)とマラリアを警戒する記事を掲載。この記事は同時に「韓国は経済協力開発機構(OECD)国家でマラリア発生率1位」であると述べている。また「韓国の土着型マラリアはいずれも三日熱マラリアだ。患者の89%は休戦ライン境界地域で発生する。蚊が活発に活動する5~10月に集中的に発生する」と、朝鮮戦争の休戦後に非武装無人地帯となった38度線に沿って形成された自然環境から、ハマダラカの亜種が発生しているらしき事も報道されている。


  1. ^ ナチス、マラリア蚊の兵器使用を計画?ナショナルジオグラフィック公式サイト
  2. ^ Anopheles at dictionary.com.
  3. ^ a b Calvo E, Pham VM, Marinotti O, Andersen JF, Ribeiro JM. (2009) The salivary gland transcriptome of the neotropical malaria vector Anopheles darlingi reveals accelerated evolution of genes relevant to hematophagy. BMC Genomics. 10(1):57
  4. ^ デング熱媒介蚊 ヒトスジシマカ”. 厚生労働省. 2019年12月21日閲覧。
  5. ^ 花岡和則、「生物コーナー 蚊の脳(卵巣成熟)ホルモン」 化学と生物 1979年 17巻 9号 p.603-605, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.17.603, NAID 40000426627
  6. ^ 佐々學、高橋弘、淺沼靖、北海道の蚊に關する1947年度の知見 日本細菌学雑誌 1948年 3巻 2号 p.53-54, doi:10.3412/jsb.3.53
  7. ^ CDC内のハマダラカのページ
  8. ^ 横山卓也、青沼宏佳、嘉糠洋陸、「病原体を運ぶ蚊の免疫システム」 化学と生物 2012年 50巻 3号 p.196-202, doi:10.1271/kagakutoseibutsu.50.196
  9. ^ Yoshida S, Shimada Y, Kondoh D, et al. (2007). “Hemolytic C-type lectin CEL-III from sea cucumber expressed in transgenic mosquitoes impairs malaria parasite development”. PLoS Pathog. 3 (12): e192. doi:10.1371/journal.ppat.0030192. PMID 18159942. http://www.plospathogens.org/article/info:doi/10.1371/journal.ppat.0030192. 
  10. ^ (Charlwood et al., 1997, Survival And Infection Probabilities of Anthropophagic Anophelines From An Area of High Prevalence of Plasmodium falciparum in Humans, Bulletin of Entomological Research, 87, 445-453)





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハマダラカ」の関連用語

ハマダラカのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハマダラカのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハマダラカ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS