テイルズ オブ イノセンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/26 06:04 UTC 版)
世界観
天上界
創世神である原始の巨人の死によって、神々と大地は誕生した。しかし悪しき神も増えていき世界は荒れていた。そこで原始の巨人が残した創世力を使い、天上の一部を切り離して地上を作り、悪しき神々を地上に閉じ込めた(この地上に落とされ、力を奪われた神々が、後の地上人となる)。この計画の賛成派がラティオ、反対派がセンサスとなり、天上界は二つの国に分かれることになる。しかし天上を支える重要なシステムのほとんどが地上に持って行かれてしまい、天上界は均衡を崩すことになってしまう。そこで地上人からの信仰心を集めることで、天上界を維持していたが、ときが経つにつれその信仰心は次第に薄れていき、ラティオの死神という役職の者たちが地上人の魂を狩り取ることで、辛うじて維持してきた。
センサスの将軍アスラはこの状況を変えるため、天地をひとつにするために天上界を統一して、ケルベロスから創世力を譲り受ける。しかしアスラが創世力を使おうとした時にイナンナに裏切られ、アスラは彼女を道連れにして死ぬ。これにより、「使用者のもっとも愛する者を殺す」という創世力の発動条件をアスラとイナンナの2人が同時に満たしてしまい、創世力は不安定な状態で発動したことで、結果として天上界を崩壊させてしまう(実際には不完全な形で地上と融合した)。この崩壊によりヴリトラとタナトスを除く神々はみな死んでしまった。
- センサス
- 天上界の切り離しに反対だった者たちが形成した国家。しかし国家としての機能はまるでなく、実質は少数民族の集団のようなものであった。世界の維持に関してはあまり関心がなかったが、地上人の信仰心は大切にしており、地上人の魂を狩ることには反対していた。創世力はセンサスの領土にあるため、度々ラティオからの侵略を受けていた。
- 当初は国としての機能をまったく持っていなかったため、戦ではほとんどラティオに敗れていたが、アスラが将軍として指揮するようになってから戦況は逆転。次々とラティオを破っていき、最終的にはセンサスが勝利を収める形で戦争は終結する。ちなみに地上人には関心はあるが、アスラの掲げた天地融合はセンサスの民全員の悲願というわけではない。
- ラティオ
- 天上界の切り離しに賛成した者たちが形成した国家。センサスとは違い、規律を作って守り、世界の運用に関して関心が高く、国や軍隊が発展していった。ラティオの頂点に立つのは天空神と呼ばれる王だが、政治の権限は全て元老院が握っている。世界の発展を真剣に願ってはいるが、選民思想が強く地上の人間を忌み嫌い、考え方の異なるセンサスを「野蛮人」と言い、見下している。特に元老院はセンサスも地上人も排除したラティオだけの理想国家を作るため、創世力を手に入れようとセンサス領土を攻めている。しかし、元老院の排他的な思想に反感を持っている者も、決して少なくは無い。
用語
- 転生者(異能者)
- かつての天上の神々の生まれ変わり。前世の記憶を夢で見る。転生者として覚醒すると神の力である天術を使うことができ、常人離れした戦闘能力を誇る。しかしその能力故に、何も知らない一般人からは「異能者」と呼ばれ、蔑まれている。また各地で強盗したり、人を傷つけたりする者も少なくなく、評判が悪い。王都レグヌムはその力を戦争に利用しようと、危険な存在を管理するという名目で「異能者捕縛適応法」を発令。それに捕まってしまった転生者は、兵器の動力源にされるか、戦場で兵士として戦わさせられる運命である。
- 転生者同士は相手が誰の転生かはある程度はわかるらしい。また前世の能力を完全に取り戻すと覚醒し、前世の姿になることができる(ただし、よっぽどのことがないと覚醒しない)。地上人の魂は転生せず、転生は天上界のみで行われ神々が地上人に転生することはないが、天上界の崩壊で天上と地上が不完全な形で融合していた為、転生が地上で行われるという現象が起きてしまった。
- 天術
- 神々が持っていた力で、無恵の前に教会の人間が起こしていた奇跡の力。元は神々が信仰の見返りに地上人に与えていた力であったが、現在では一般的には忌むべき存在とされる「異能者」の異能の力と呼ばれている。転生者の力そのものであり、これを封じられると術技を使うことができず、超人的な身体能力も一般人並に低下してしまう。
- 無恵
- かつて教会の人間が起こしていた奇跡の力(天術)が、突如使えなくなってしまった時期のこと。原因は天上界の崩壊であり、それ以来大地は荒れていくようになり、同時に異能者(転生者)が出現するようになった。
- 創世力
- 世界の創造神である原始の巨人が残した、世界を創り変えることのできる力。使用者の思う力となり、使い方によっては世界そのものを滅ぼすことも可能(事実、天上界は創世力によって崩壊した)であるため、古の神々が創世力の番人ケルベロスを生み出し、守らせてきた。
- 創世力を使うには「献身と信頼、その証を立てよ。さすれば我は振るわれん」と伝わっている。その言葉はラティオ側では「使用者にとって、自身の半身となり得るほどの近しい者と共に力を行使する」と解釈し、センサス側では「使用者のもっとも愛する者を犠牲にする」と解釈しており、どちらの解釈でも創世力は発動している。物語において非常に重要な存在であり、ルカたちは創世力を悪用しようと企む者たちから創世力を守るため、前世の記憶を頼りに創世力を探して旅をしている。またマティウスたちアルカ教団やレグヌム軍も、ルカたちの前世の記憶の中に創世力の手掛かりがあると踏み、彼等の旅を監視している。
- PS Vita版では、ルカは「孤独を嫌った始祖の巨人が、使用者の愛する者の犠牲を望む筈はない」とセンサス側の解釈を否定しており、アスラとイナンナが創世力を発動させたのは二人が真に愛し合っていた為と語っている。
- ミュース族
- サニア村付近に住む生き物。サルとネズミを足したような生き物で、人間の言葉を話すことが出来る。総じて食い意地の張った生き物で、飢えと乾燥に強いが、食べられる時には凄まじい食欲を誇る。巣穴を作って馬を転倒させたり、食糧を荒らされる危険性があるため、サニア村では一斉捕獲して食糧のかわりに簡単な雑用をさせるという契約を交わしている(イリアによれば全く割に合わないとのこと)。
- 実はかつてはラティオで食料庫の番人をしていた神の子孫(言葉を話せるのはそのため)。しかし、食糧庫の食べ物を食い荒らした為、大地母神(イナンナの母親)に今のミュース族に姿を変えられた。罰はそれで済んだが「天上の食い物には飽きた」と言い、自らの意志で地上に降りていったらしい。
- グリゴリ
- 神の血を引く者と名乗る一族。地上を守ることを責務とし、かつて天上界を滅ぼした天上人の生まれ変わりである転生者を敵視している。対転生者のための戦闘訓練も行っており、転生者の天術を封じる結界を張ることが出来る。現在はレグヌム軍に協力しているが、一枚岩ではない様子。
- その正体は、地上に降りてきた死神タナトス(現在のガードル)の血を引く者たち。かつて神が地上人に天術を与えていた時代では地上人の天術を封じる技術があり、それがタナトス(ガードル)を通じてグリゴリ一族にも伝わっている。神の血を絶やさない為に、ガードルが婚姻を管理しているようである。
地理
- 王都レグヌム
- ルカとスパーダの出身国。世界の盟主国だったためプライドが高く、他の国に対しても強い発言権を持つ。そのためガラムとテノスの両国とは仲が悪く、戦争をしている。権威主義の国家であり、貴族区域は一般市民の立ち入りは制限されている。その反面工業化が進んでおり、町周辺の交通網はかなり整備されている。ただし治安は決していいとは言えない。両国との戦争は今のところ優勢と言われているが、西と北の戦場を見る限りではかなり泥沼化している。
- レグヌムには異能者が多くいたが、一般人には「無恵」によって生まれた悪魔だという認識が強く、ほとんどの人間が彼らを危惧している。そのため法律の下で危険な異能者を管理するという名目で「異能者捕縛適応法」が発令されたが、その実態は戦争のための道具として利用するためである。
- 聖都ナーオス
- アンジュの育った国で、出身国ではない。かつて教会の権威が絶頂であったころに作られた町。
- 現在は王都のお膝元にあり、緑が豊かでのんびりとした田舎であるが、近くにナーオス基地があるため、いつ戦争の被害を受けるのかと住民は不安でいる。かつての教会の権力の象徴でもあった大聖堂があるが、「無恵」からは教会の権力が落ちたため寂れていたらしい。現在でも教会の中心地となっており、教会付属の神学校もある。
- この町の異能者(転生者)はアンジュだけだったらしく、シスターであったアンジュが天術を使って人々の病を癒すようになってから「ナーオスの聖女」として瞬く間に広がり、彼女を拝みに来た巡礼者たちの奉納物は町の貴重な収入源となっていた。しかしアンジュが大聖堂を破壊した事件をきっかけに巡礼者は減り、聖職者たちも各地に散ってしまったらしい。
- 東の国アシハラ
- 大陸の東にある島国で、チトセの出身国でもある。歴史が古く教会の影響をあまり受けなかったため、どの国とも異なった独自の文化を営んでいる(日本に似ている)。かつては強力な海軍を有した海洋国家であったが、「無恵」による海面上昇の影響で国土の三分の一が水没してしまっており、深刻な状況が続いている。
- 西の国ガラム
- 火山が連なる山岳地帯に存在する国。リカルドの出身国である。山岳民族が王都の勢力に抵抗するために町の形になったことから、レグヌムとはかなり仲が悪い。町の周りは鉱山であることから鉱物の生産が主な産業で、古来より鍛冶が盛んである。近くに聖地と呼ばれるケルム火山があり、火の神バルカンを信仰している。またケルム火山は武術の修行地としても有名である。異能者に対してはわりと緩和的であり、王都のような捕縛法も発令されていない。
- 戦力は兵士というよりは武芸者の集団であり、大兵力同士でぶつかる野戦は苦手だが、地の利を生かしたゲリラ戦法が得意。西の戦場でも、この戦法でレグヌム軍を苦しめている。
- 南の国ガルポス
- 南に位置する、気候がとても暑い国。元々は独自の文化を築いてきた小国であったが、レグヌムに植民地とされている。王都の農作物を一手に引き受けており、特に果実はグミに加工して次々と戦場に出荷されるため、一般に果実が回ってくることはほとんどない。町の外れには森があるが、王都のプランテーションの強要により森林は切り広げられ、動物たちの住みかが追われている。人々はプランテーション以外の王都の政策に対して不満はなく、以前と変わらずおだやかに暮らしている。かつては龍神ヴリトラを崇める宗教が存在していた。
- グリゴリの里
- 北西の孤島にある、神の血族であるグリゴリたちが隠れ住む里。転生者を忌み嫌い、人間との関わりを避け、外部と関わることなく独自のコミュニティを築いてきた。族長はグリゴリたちの父親に当たるガードル。島を出る事は基本的に許されていないが、それに不満を持っている者もいるらしい。
- 商業都市マムート
- レグヌムとテノスの国境にある、世界一の商業都市。過去の領土の問題からどちらの国にも属さないという不文律があり、税金が安いため商業が繁盛した。世界の交易の要でもあり、世界中の物と人が集まると言われている。レグヌムから汽車はマムート止まりで、テノスへは両国の関係悪化が理由で直通していない。この町の人々はエルマーナに似た訛りで話すが、彼女のものとは微妙に違う。レグヌム軍とテノス軍が戦争している北の戦場からは離れているが、負傷した兵士はこの病院に送られて来ている。
- レムレース湿原
- マムートの近くにある不気味な湿原。遥か昔は小さな湖がたくさんあり、とても美しい景観であったが、北の雪解け水が流れてきて、運ばれてきた土砂で段々埋まっていってしまった。古くから浮かばれぬ魂が寄り集まる忌むべき場所と言われており、無恵による現象のためか、戦争で死んでしまった兵士たちの死体が動き襲い掛かってくる。
- 北の国テノス
- 寒冷地帯にある北の技術大国。その技術力はレグヌムをも凌ぐほどで、レグヌムに敷かれている機関車も元々はテノスの技術。かつてレグヌムとの共同開発で線路を引張らせたのだが、国境を跨ぐテノスを相手にレグヌムは鉄道の通行料をせしめようとした事から、戦争の発端となったらしい。石炭の発掘が町の主産業で、鉄道の収益で仲が悪くなったものの、整地や橋を架ける王都の土木技術とテノスの発達した蒸気機関の技術のおかげで大量の石炭輸送が可能になった。
- 昔、独立戦争が始まる前は王都の支配下にあったらしく、住民達は今でも王都に対する反感が強い。一年の大半が冬の氷に覆われており、豊穣の女神が降り立つと言われている夏はとても貴重である。町の東には豊穣の女神が降り立つ「神待ちの園」がある。
- サニア村
- 大陸東部(PS Vita版では南部)の砂漠地帯にある小集落で、イリアの生まれ故郷。昔、国策として王都が移民政策を実施し、ゴールドラッシュを夢見た人々が押し寄せたが、期待されたほどの金脈がなかったことと、戦争の始まりによって政府が開発から手を引いたことでゴーストタウン化してしまい、現在はその一部が残るのみとなっている。法整備がなされていないため、一般人の護身用に銃を持ち、家畜などの世話をしながら生活をしている。イリア以外にも転生者が数多く存在していたが、アルカ教団の襲撃によってみんな連れて行かれてしまい、難を逃れたのはイリアだけである。アルカによって多くの家や物資が焼き払われてしまい、ようやく村を立て直した矢先に、王都軍の黎明の塔侵攻開始により、塔の近くにあるこの村の物資を王都軍が略奪しに来る為、かなり深刻な状況に置かれている。
注釈
- ^ それ以前にCEROの審査を受けたタイトルは全てCERO:A(全年齢対象)となるよう制作されていた。
- ^ オリジナルタイトル(発売当初はマザーシップタイトル)の主人公を女性声優が担当するのは今作が初となる。
- ^ 2011年に行われた「テイルズ オブ フェスティバル2011」にて木村亜希子が病欠した際に出演し、スペシャルスキットにてルカの声を担当した。
- ^ PS Vita版では何故かスリムなモデリングとなっている。
- ^ 彼のイラスト自体は設定されており、攻略本でも確認できる。また、PS Vita版では登場している。
- ^ PS Vita版では墜落時に動力源となっていたガードルが排出され、その後に再び墜落するという展開に変わっている。
- ^ この設定は後にリメイク版の『イノセンス R』に反映されている。
参考
- ^ “【ゲームソフト販売本数ランキング TOP30】 集計期間:2008年12月15日~12月21日”. ファミ通.com (2009年1月9日). 2012年10月13日閲覧。
- ^ 『ファミ通ゲーム白書2013 補完データ編(分冊版)』エンターブレイン、2013年。
- ^ “バンダイナムコゲームス、DS「テイルズ オブ イノセンス」爽快感を実現した新バトルシステムの詳細を公開”. GAME Watch (2007年9月28日). 2012年10月13日閲覧。
- ^ “テイルズ オブ イノセンス | ルカ・ミルダ | バンダイナムコゲームス公式サイト”. www.bandainamcoent.co.jp. 2020年7月5日閲覧。
- ^ “テイルズ オブ イノセンス | イリア・アニーミ | バンダイナムコゲームス公式サイト”. www.bandainamcoent.co.jp. 2020年7月5日閲覧。
- ^ a b c d e 『テイルズ オブ イノセンス 公式コンプリートガイド』より
- ^ “テイルズ オブ イノセンス | スパーダ・ベルフォルマ | バンダイナムコゲームス公式サイト”. www.bandainamcoent.co.jp. 2020年7月5日閲覧。
- ^ “テイルズ オブ イノセンス | アンジュ・セレーナ | バンダイナムコゲームス公式サイト”. www.bandainamcoent.co.jp. 2020年7月5日閲覧。
- ^ “テイルズ オブ イノセンス | リカルド・ソルダート | バンダイナムコゲームス公式サイト”. www.bandainamcoent.co.jp. 2020年7月5日閲覧。
- ^ 『テイルズ オブ 大全』272ページ。
- ^ 『テイルズ オブ 大全』273ページ。
- ^ 『テイルズ オブ 大全』271ページ。
- ^ 『テイルズ オブ 大全』269ページ。
- ^ 『テイルズ オブ 大全』270ページ。
- ^ 『テイルズオブイノセンスR公式コンプリートガイド』419ページ。
- ^ a b c “「携帯ゲーム機」の枠を超えたテイルズ―『テイルズ オブ イノセンス』開発スタッフインタビュー”. INSIDE. p. 2 (2008年1月29日). 2013年1月19日閲覧。
- ^ “マザーシップタイトル「テイルズ オブ イノセンス」はニンテンドーDSで――PS2、PSP、Wiiでも新作を発表 (2/4)”. ITmedia (2007年7月20日). 2015年3月3日閲覧。
- ^ a b c “「携帯ゲーム機」の枠を超えたテイルズ―『テイルズ オブ イノセンス』開発スタッフインタビュー”. INSIDE. p. 3 (2008年1月29日). 2013年1月19日閲覧。
- ^ a b “ゲーム音楽作曲家・中村和宏氏インタビュー。「タイムクライシス」「テイルズ オブ イノセンス」などを手がけてきたベテランが,初めてメディアで語る”. 4Gamer.net. p. 2 (2015年8月8日). 2015年8月8日閲覧。
- ^ KOKIA:『テイルズ オブ イノセンス R』
- ^ “2人で無数の敵に挑むACT『テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ』&体験版で秘奥義も出せるRPG『テイルズ オブ イノセンス R』が2012年発売!!”. 電撃オンライン (2011年9月16日). 2011年9月17日閲覧。
- ^ “YAPPARI!『テイルズ オブ』スペシャルステージ 最新作の新情報&爆笑生アフレコ【TGS2011】”. ファミ通.com (2011年9月18日). 2011年9月19日閲覧。
- ^ “【TGS2011】『テイルズ オブ』最新作2本公開!2人1組のアクションなど”. Gpara.com (2011年9月16日). 2011年9月22日閲覧。
- ^ “『テイルズ オブ イノセンス R』渋谷・野外モニターでくり広げられたあのスペシャル映像を公開”. ファミ通.com (2012年1月31日). 2012年2月2日閲覧。
- ^ “11月16日(金) 「ジャンプSQ」”. テイルズ オブ イノセンス (2007年11月16日). 2012年11月20日閲覧。
固有名詞の分類
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