タケハリカビ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 00:47 UTC 版)
分類など
本属は大型の胞子嚢のみをつけるものなのでケカビ属 Mucor やクモノスカビ属 Rhyzopus、ヒゲカビ属 Phycomycesに似ているが、ケカビ属、ヒゲカビ属とはアポフィシスがあることで、クモノスカビ属とは匍匐菌糸を出さないことで見分けられる。現実的には本属のものは必ずキノコの傘の上に出るので、それらと混同することは考えにくい。同様にキノコに寄生するものとしては本属と同じケカビ目のフタマタケカビ属 Syzygites やディクラノフォラ属 Dyclanophora など数属があるが、それらはいずれも胞子嚢柄が細かな分枝を出すので見間違えることはない。他にもキノコに生じるカビはあるが、本属のような外見にはならない。
分類上は、古典的には大型の胞子嚢のみをつけることからケカビ科 Mucoraceae とし[6]、あるいはそれを細分して条件的寄生菌であるフタマタケカビ属などとどもにディクラノフォラ科 Dicranophoraceae とする[7]などの扱いをされた。しかし近年の分子系統に基づく検討でこのような体系は大きく変更を受けた。Hoffmann et al.(2013) では本属ともっとも類縁が近いものはヒゲカビ属であり、この2属でヒゲカビ科 Phycomycetaceae を構成する、としている。またこの科と同じクレードを構成するものとしてはサクセネア Sakusenaea と Apophysomyces からなるサクセネア科 Saksenaeaceae と、ラジオミケス属 Radiomyces のみからなるラジオミケス科 Radiomycetaceae がある、としている[8]。なおヒゲカビ属は本属以上に大きくなるカビで、普通で数cmだが時に20cmにも達する胞子嚢柄の先端に大きい胞子嚢をつける。この柄が分枝しないこと、柄や胞子嚢が強く着色する点などは共通する。
下位分類
本属には複数種の記載があり、Zycha et al.(1968)は以下の5種を認めている。これらは胞子嚢胞子の形や大きさで判別出来る[9]。日本からは S. fusiger が報告されている[2]。
- Spinellus タケハリカビ属
- S. arvernensis
- S. chalybeus
- S. fusiger
- S. gigasporus
- S. sphaerosporus
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