サドゥー 概要

サドゥー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/29 20:55 UTC 版)

概要

サドゥ(左)とバラモン。1914年、イギリス領インド
ボンベイのサドゥーたち。1913年

サドゥーはあらゆる物質的・世俗的所有を放棄し、肉体に様々な苦行を課すことや、瞑想によりヒンドゥー教における第四かつ最終的な解脱を得ることを人生の目標としている。服を着る場合は、俗世を放棄したことを示す枯葉色の衣服を身につけて数珠を首に巻く。「ナーガ」と呼ばれるサドゥーは衣服さえ放棄し、ふんどし一枚きりか、あるいは全裸で生活し、髪を剪らず髭も剃らず、聖なる灰を体に塗っている。サドゥーの名前は10種類しかない。サドゥーは入門時に俗名を捨て、10種の名前のうち一つを与えられて以後それを名乗る。

サドゥー社会には、8世紀に遡る二つの主要な宗派が存在する。第一はシヴァ神を主神とするシャイバ派、第二はヴィシュヌ神と、ラーマクリシュナを含むその化身を奉じるヴィシュナヴァ派である。これらの他に、シャクティ神を主神とする宗派などの小宗派もあり、また大宗派も内部で教義の解釈や伝統をめぐり分派している。サドゥーが額に描いているマークは、所属する宗派を示す。

サドゥーはヒンドゥー教で、独特で重要な地位を占めている。サドゥーは苦行により人々のカルマを打ち破るとされているため、今なお呪術魔法を信じる人が少なくないインド社会で聖者として一定の尊敬を受ける存在である。また恐れられる場合もあるが、これは彼らを冷遇した者には、呪術で報復することがあると思われているためである。一般のインド人の間では尊称である「ババ」と呼ばれる場合が多い。また敬意を示す「ジー」という接尾語がつく場合もある。

ただし、サドゥーへの崇拝は必ずしも絶対的なものではなく、特に都市部では、いかがわしげな目で見られることも多い。観光地では、修行とは関係なく、単にサドゥーの服を着て外国人観光客に有料で写真を撮らせたり、横柄に喜捨を強要することで生活している「観光サドゥー」も多い。

インドではサドゥーは法的に死亡者とみなされる。入門時に、自身の葬儀を行う者もいる。3年毎に、ガンジス河畔の4箇所の聖地のうちいずれか1つで、インドのすべての地域のサドゥーが集まる、 クンブ・メーラと呼ばれるサドゥーの大集会が開催される。クンブ・メーラは毎回数千万人が参加する、世界でも最大級の祭典である。数百万人の聖者の行進は壮観で、近年は日本からの観光ツアーも企画されている。サドゥーはクンブ・メーラに参加するため、二等列車に無料で便乗することが一般に黙認されている。


  1. ^ Dolf Hartsuiker. Holy Smoke. Sadhus and Yogis of India.
  2. ^ something to this effect was found in 'Autobiography of a Yogi' by Prahamsana Yogananda, though he may not have used the word 'sadhu'


「サドゥー」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サドゥー」の関連用語

サドゥーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サドゥーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサドゥー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS