ゴルジ体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/11 10:22 UTC 版)
機能
分泌タンパク質や細胞外タンパク質の糖鎖修飾や、リボゾームタンパク質のプロセシングなど、小胞体(粗面小胞体)により生産された各種前駆体タンパク質の化学的修飾を行うとともに、各々のタンパク質を分類し、分泌顆粒、リソソームあるいは細胞膜にそれぞれ振り分ける働きをもつ。また、分泌顆粒そのものの生成(特にゴルジ体により生成される小胞をゴルジ小胞と呼ぶ)も行い、細胞外へ分泌などを行う。また、これらの移送に伴い、脂質の輸送も行っているといわれている。
各層の機能と特徴
- CGN
- リソソームタンパク質にある糖鎖のリン酸化、小胞体タンパク質の選別・回収
- シス嚢
- マンノースの除去
- OsO4(四酸化オスミウム)還元能を持つ
- 中間嚢
- マンノースの除去、N-アセチルグルコサミンの付加
- N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼI、NADPアーゼ
- トランス嚢
- ガラクトースの付加
- Galトランスフェラーゼ、チアミンピロフォスファターゼ、硫酸化、リン酸化
- TGN
- N-アセチルノイラミン酸の付加、タンパク質の選別
- ジアリルトランスフェラーゼ、酸性ホスファターゼ、H+ポンプ
タンパク質の修飾
糖鎖の付加
小胞体から送られてきたタンパク質に糖鎖を付加する。付加は糖残基1つずつ行われ、2〜10個程度の付加が行われる。糖鎖の付加は、セクレチンのようにその機能を果たすため必要なものや、糖鎖を失うと正常な構造を維持できないものなどものも存在するが、多くの場合タンパク質の活性発現に重要ではない。おそらく、タンパク質表面に糖鎖を付加することで親水性を高めるのが目的ではないかと考えられている。
脂質の付加
特に小腸においては、脂質をタンパク質に付加し、リポタンパク質の形に変換する。他の細胞への脂質輸送を行う際に有用と考えられる。
多糖類の合成
粘液の分泌の際に必要な、ムコ多糖類の合成を行う。また、植物細胞においては細胞壁の形成に必要な多糖類であるセルロース、ヘミセルロースおよびペクチンの合成も行う。
低分子化合物の分泌
神経細胞において、カテコールアミンの分泌に関与している。
タンパク質の選別
細胞内外へと輸送されるタンパク質の選別は、主としてTGNにおいて行われる。
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