クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 21:00 UTC 版)
来歴
全盛期時代
元バーズのデヴィッド・クロスビー、元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルス、ホリーズ脱退間近だったグラハム・ナッシュの3人がグループを結成するきっかけとなった場所はキャス・エリオットの家だったと証言する者もいれば、ジョニ・ミッチェルの家だったと証言する者もいる[5][6]。近年刊行された評伝(2019年。邦訳は2020年)では以下の説明がなされている[7]。
1968年2月14日、ホリーズはカリフォルニア州ウェスト・ハリウッドのウィスキー・ア・ゴーゴーに出演した。終演後、クロスビー、スティルス、ナッシュは車に乗り込み、ローレル・キャニオンにあるキャス・エリオットの家へ赴いた。評伝の著者ピーター・ドゲットは、「彼らがこの機会に一緒に歌わなかったとは考えられない。おそらく3人で声を合わせ、ハーモニーを楽しみ、またやりたいと思っただろう」と推測している[7]。そして半年後の1968年8月31日頃、ナッシュがロンドンから飛行機で来た日、3人は同じくローレル・キャニオンのジョニ・ミッチェルの家で再会。スティルスが「泣くことはないよ」を歌うと、クロスビーとナッシュはハーモニーで加わり、歌い終わったときにグループ結成のアイデアが生まれた。彼らは得意になり、自分たちの「魔法」をキャス・エリオットやジョン・セバスチャンらに聴かせた[7]。
1969年5月29日、3人はデビュー・アルバム『クロスビー、スティルス&ナッシュ』を発表。アルバムはアコースティクな音作りと、3人のコーラスの美しさですぐに人気を呼んだが、もっとロック的要素を強めたいというスティルスの希望に沿ってメンバーが追加されることになった。数人のミュージシャンに加入を打診したがことごとく断られ、最終的に、当時すでにソロとして活動していたニール・ヤングがギタリストとして加わることになった(同年6月15日には4人で「どうにもならない望み」の再録音を行っている[8])。ヤングの参加によりグループ名はクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとなった。
ウッドストック・フェスティバル(同年8月)への参加、翌1970年のアルバム『デジャ・ヴ』の爆発的ヒットなどにより、商業的にも知名度の点でも、CSN&Yは頂点を極めた。1971年4月に発売されたライブ・アルバム『4ウェイ・ストリート』と1974年のベスト・アルバム『ソー・ファー - 華麗なる栄光の道』も全米アルバム・チャートの1位を記録した。しかし、バッファロー・スプリングフィールド時代以来のスティルスとヤングの対立などのため、結局、ヤングがこのグループに在籍にしたのは1年ほどであった。
その後、メンバーはそれぞれの活動をつづけながらも、4人そろってのCSN&Yで1988年に『アメリカン・ドリーム』、1999年には『ルッキング・フォワード』の2枚のアルバムを発表している。
バンドの終焉
近年はヤングが参加せず、クロスビー、スティルス&ナッシュ名義(CSN)の活動が続いた。 2015年に20年ぶりの来日公演[9]。しかしワールドツアーを終えた2016年に、クロスビーとナッシュ、ヤングとの不仲によってバンド活動は終了[10]。翌2017年のインタビューでヤングは、CSN&Yとしての再始動の可能性に含みを残したが[11]、2021年のインタビューでは相変わらずクロスビーとナッシュの不仲は続いていた[12]。そして2023年1月にクロスビーが死去したため、4人の再集結は不可能となっている[13]。
- ^ Valdez, Steve (2013). “Folk rock”. Encyclopedia of Music in the 20th Century. Routledge. p. 223. ISBN 978-1-57958-079-7
- ^ Duncan, Robert (1984). The Noise: Notes from a Rock 'N' Roll Era. Ticknor and Fields. p. 217. ISBN 0-8991-9168-1
- ^ a b Ruhlmann, William. Crosby, Stills, Nash & Young | Biography & History - オールミュージック. 2020年11月26日閲覧。
- ^ The Rolling Stone Encyclopedia of Rock & Roll (3rd ed.). Fireside. (2001). p. 224. ISBN 0-7432-9201-4
- ^ Zimmer, Dave; Diltz, Henry (1984). Crosby Stills & Nash: The Authorized Biography (1st ed.). St. Martin's Press. p. 72-73. ISBN 0-312-17660-0
- ^ Rogan, Johnny (1998). The Complete Guide to the Music of Crosby, Stills, Nash and Young. Omnibus Press. ISBN 0-7119-6309-6
- ^ a b c CSNY 2020, pp. 142–143.
- ^ CSN Box Set Tracklist
- ^ “クロスビー、スティルス&ナッシュ20年振りの来日公演がスタート!ジャクソン・ブラウンとの共演が実現した奇跡の一夜”. rockin'on (2016年3月8日). 2018年3月13日閲覧。
- ^ “グラハム・ナッシュ、クロスビーのせいで将来的なCSNの活動はなくなったと語る”. BARKS (2015年3月6日). 2018年3月13日閲覧。
- ^ “ニール・ヤング「CSNYの再結成に異議なし」”. BARKS (2017年2月1日). 2018年3月13日閲覧。
- ^ “グラハム・ナッシュ、CSN&Yの関係に「僕ら、デヴィッド・クロスビーとは話さない」”. BARKS (2021年5月24日). 2022年6月29日閲覧。
- ^ “デヴィッド・クロスビー ── 唯一無比の才能に溢れたミュージシャンの逝去を全世界が惜しむ”. シンコーミュージック (2023年1月24日). 2023年2月20日閲覧。
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