カッセル 地理

カッセル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 04:00 UTC 版)

地理

カッセルはドイツの地理上の中心点から北西約70km に位置する。カッセルは、エアフルトゲッティンゲンに次いで3番目にドイツの中心に近い大都市である。

この街はニーダーザクセン州との州境にも近いヘッセン州北部のいわゆる「カッセル盆地」に位置する。ただし地形学上これは盆地ではなく、幅広く拡大したカッセル谷であり、その中にはカールスアウエやフルダアウエといったフルダ川の河岸低地が見られる。カッセル盆地は西部ヘッセン低地の一部であり、さらには地中海 - ミョーサ湖帯の一部でもある。カッセル谷に位置するカッセル市は、南西をランゲンベルク、西をホーアー・ハービヒツヴァルト(いずれもハービヒツヴァルト山地の一部)、北東をラインハルトの森(ヴェーザーベルクラントの一部)の南の支脈、東をカウフンゲンの森、南東から南にかけてをゼーレ(後者2つはフルダ=ヴェラ山地の一部)に取り囲まれている。これら5つの中低山地は市の南と北に分かれており、東西方向には互いに尾根で繋がっている。このためカッセル谷、すなわち南から北に流れるフルダ川の谷は山塊を回り込むように湾曲している。

カッセルは、気候上は中低山地に比べると穏やかで温暖である。カッセル谷の形状と高台にある森林地域のため、この街は悪天候から護られ、特に夏場は空気が谷底に堰き止められるため、周辺よりも気温が3-5℃高い。

中規模都市のバウナタール、小都市のフェルマー、町村であるニーステタールフルダタールフルダブリュックカウフンゲンローフェルデンが市域を接している。

カッセルは、3本のアウトバーン(A7号線、A44号線、A49号線)、5本の連邦道、1本の幹線鉄道(ICEが走っている路線)に接続しており、数 km 離れたカルデン町内にカッセル=カルデン飛行場を有している。(「交通」の項参照)

最寄りの大都市は(以下、距離表示は、直線距離/道路距離である)、ニーダーザクセン州ハノーファー(約120/164 km 北)、ゲッティンゲン(約 40/55 km 北東)、テューリンゲン州エアフルト(115/185 km 東)、ヘッセン州フランクフルト・アム・マイン(約 150/193 km 南)、ノルトライン=ヴェストファーレン州ジーゲン(約 115/165 km 南西)、ハム(約 122/153 km 西)、ドルトムント(約 145/165 km 西)、パーダーボルン(約 70/84 km 北西)である。

都市景観

カッセル中心街の景観は、第二次世界大戦中のイギリス軍空爆による破壊後の復興コンセプトに拠るため歴史的建造物はほとんど保存されておらず、典型的な1950年代の建築群からなっている。他の多くの都市とは反対にカッセルでは当時の同時代の様式による復興が計画され、古い都市景観を再現しようとする試みはなされなかったのである。多くの歴史的建造物の廃墟は取り壊された。復興方針は田園都市を目指すもので、特に4から5階建ての家屋が建設された。さらにこの街は、一方では自動車交通に最適化されながら、他方では1953年11月9日に開通したトレッペン通りはドイツ連邦共和国最初の歩行者専用区域となった。遅くとも1970年代には道路システムのキャパシティは一杯となり、急速に拡大する自動車交通量を克服しなければならなかった。カッセルの歴史的建築様式からの過激なまでの離反は現在では議論の的となっている。

多くの場合建て込んでいる住宅街とは対照的にカッセルは多くの緑地を有している。たとえばベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエ、カールスアウエやフルダアウエなどである(「庭園と公園」の項参照)。カッセルの市域内の様々な場所で数多くのオークの木が目を惹く。これは芸術家ヨーゼフ・ボイスによって、「7.000 Eichen – Stadtverwaldung statt Stadtverwaltung」(7,000本のオークの木 ― 都市管理の代わりに都市森林化を)のモットーの下、1982年から1987年にかけて通りや公園沿いに植えられたものである。

カッセル市内を、フルダ川と、これに流れ込む支流や小川が流れている。たとえばアーネ川、ドルーゼル川(その下流部分は「クライネ・フルダ川」と呼ばれる)、ガイレバッハ川(その下流部分はデル川と呼ばれる)、グルンネルバッハ川、ユングフェルンバッハ川、ロッセ川、ニーステ川、ヴァーレバッハ川などである。

カッセルの最低地点はフルダタールの北東部で海抜 132.9 m(飲食店「グラウエ・カッツェ」のやや北側の水位測定所)である。ただし、クラーゲンホーフの飛び地を考慮に入れると最低地点は数 m 下がる。それはフルダタール=ヴァーンハウゼンとの市境に面した堰の下部で、海抜 131.4 m である。市の中心部では、ケーニヒス広場が 163 m、市庁舎が 169 m、ヴィルヘルムスヘーエ城が約 285 m である。市の最高地点は、持ちに覆われた地域ではあるのだが、ハービヒツヴァルト内のホーエス・グラスで、海抜約 615 m である。

カッセルで最も高い建造物はルター教会の古い教会塔 (75 m)、ヘルクレス像 (70.5 m)、マルティンス教会の2本の塔 (69 m) であるが、市域のすぐ外側のエッシヒベルクに建つハービヒツヴァルト通信塔は高さ186 m ある。

隣接する市町村

北から時計回りに以下の市町村がカッセル市と境を接する。ニーダーザクセン州ゲッティンゲン郡に属すシュタウフェンベルク以外はいずれもカッセル郡に属す。アーナタールフェルマーフルダタールシュタウフェンベルクニーステニーステタールカウフンゲンローフェルデンフルダブリュックバウナタールシャウエンブルクハービヒツヴァルト。北のフェルマーとフルダタール、東のカウフンゲン、南東のローフェルデン、南のバウナタールは市域のすぐ傍まで成長している。

市の構成と市の広がり

カッセルの市域は、23の市区に分けられる。それぞれに地区議会があり、その代表者として地区長が存在する。地区議会議員は任期5年で各市区の住民による直接選挙で選出される。地区議会は市区に関わる質問・議論を聞くために重要な機会である。ただし最終的にはカッセル全市の行政担当者集会で決定される。

市区と境を接する市町村

歴史的に拡大した市区の他、かつては独立した町村がカッセルに合併して成立した市区もある。かっこ内に合併した年を記す。

市区 (合併年) 地図 人口(2009年12月現在)[2]
01 ミッテ (Mitte) 7,749
02 ジュートシュタット (Südstadt) 7,115
03 フォルデラー・ヴェステン (Vorderer Westen) 15,479
04 ヴェールハイデン (Wehlheiden, 1899年) 13,388
05 バート・ヴィルヘルムスヘーエ (Bad Wilhelmshöhe, 1906年) 11,955
06 ブラッセルスベルク (Brasselsberg) 3,980
07 ジュスターフェルト=ヘレベーン (Süsterfeld-Helleböhn) 5,841
08 ハルレスハウゼン (Harleshausen, 1936年) 12,657
09 キルヒディトモルト (Kirchditmold, 1906年) 10,469
10 ローテンディトモルト (Rothenditmold, 1906年) 6,370
11 ノルト=ホラント (Nord-Holland) 14,074
12 フィリピネンホーフ=ヴァルテベルク (Philippinenhof-Warteberg) 4,006
13 ファザーネンホーフ (Fasanenhof, 1926年) 8,413
14 ヴェーザートーア (Wesertor) 9,059
15 ヴォルフスアンガー=ハーゼンヘッケ (Wolfsanger-Hasenhecke, 1936年) 6,717
16 ベッテンハウゼン (Bettenhausen, 1906年) 8,156
17 フォルストフェルト (Forstfeld) 6,682
18 ヴァルダウ (Waldau, 1936年) 6,465
19 ニーダーツヴェーレン (Niederzwehren, 1936年) 11,240
20 オーバーツヴェーレン (Oberzwehren, 1936年) 12,754
21 ノルツハウゼン (Nordshausen, 1936年) 2,063
22 ユングフェルンコプフ (Jungfernkopf) 3,798
23 ウンターノイシュタット (Unterneustadt) 3,811
デンケ (Dönche)
カッセルの市域と周辺市町村の市街地分布

カッセルの市区内には部分的に固有の名称を持つオルツベツィルクあるいはジートルングと呼ばれる小地区を有するものがある、たとえば、バート・ヴィルヘルムスヘーエ市区はムーラング、マールバッハスヘーエといった小地区を有し、飛び地の小地区クラーゲンホーフはヴォルフスアンガー=ハーゼンヘッケ区に属すといった具合である。上の表の最後にあるデンケは市区ではなく、市内南西部の未開墾の自然保護地域で、どの市区にも属さない土地である。ドイツの他の大都市が市境を更新することで人口をかなり増大させたのに対し、カッセルの人口は若干の変動はあるものの、ほぼ一定している。

1970年代に実施されたヘッセン州の地域再編の際、カッセルでは自治体の合併は行われず、1936年の市境が現在まで使われている。とはいえ、市街地は隣接する市町村とほとんど一体化している。

土地利用

カッセルの市域: 総面積 106.77 km2

土地の用途 2003年 2009年
住宅と空き地(緑地) 34.5% 35.0%
森林 21.6% 21.6%
農地 17.0% 15.9%
交通用地 13.0% 12.9%
レクリエーション用地 10.0% 10.6%
水域 2.0% 2.1%
その他の用途 1.5% 1.5%
産業用地 0.4% 0.4%

  1. ^ Hessisches Statistisches Landesamt: Bevölkerung in Hessen am 31.12.2021 nach Gemeinden
  2. ^ http://www.stadt-kassel.de/stadtinfo/zahlen/bevoelkerung/
  3. ^ Gerhard Köbler: Historisches Lexikon der deutschen Länder. 6. Aufl. München: C.H.Beck 1988 = Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 1999, S. 303.
  4. ^ Heinrich Gottfried Gengler: Regesten und Urkunden zur Verfassungs- und Rechtsgeschichte der deutschen Städte im Mittelalter, Erlangen 1863, pp. 467-479. - Lexikon des Mittelalters. Bd. V. München/Zürich: Artemis & Winkler 1991 (ISBN 3-8508-8905-X), Sp. 1035.
  5. ^ Lexikon des Mittelalters. Bd. V. München/Zürich: Artemis & Winkler 1991 (ISBN 3-8508-8905-X), Sp. 1035. - Gerhard Köbler: Historisches Lexikon der deutschen Länder. 6. Aufl. München: C.H.Beck 1988 = Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 1999, S. 303.
  6. ^ Bonner Geschichtsblätter Bd. XX, Auseinandersetzungen um den vorläufigen Bundessitz, Bonn 1967
  7. ^ モスク建設 Frankfurter Rundschau、2008年8月28日付け
  8. ^ カッセル市のウェブサイト ― 姉妹都市
  9. ^ Die Entwicklung des Ausbildungs- und Arbeitsmarktes im August 2010(カッセル職業安定所)
  10. ^ ICE-Netz 2011” (PDF). DB Netz AG (2010年10月). 2011年9月26日閲覧。
  11. ^ ボローニャ・プロセス(日本語)
  12. ^ 『名景世界遺産 水辺編』パイインターナショナル、2014年、79頁。ISBN 978-4-7562-4525-0 





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