エリザベス朝 科学・技術と探求

エリザベス朝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/26 06:52 UTC 版)

科学・技術と探求

後世のニュートン王立協会のような傑出した天才や研究機関がなかったにもかかわらず、エリザベス朝において科学に著しい発展があった。天文学者のトーマス・ディッグス(1546年 - 1595年)やトーマス・ハリオット(1560年頃 - 1621年)は大きな業績を挙げ、ウィリアム・ギルバート(1544年 - 1603年)は磁石を研究し、1600年に独創的な著書 De Magnete を出版した。この著書は後世の発展を促すことになった。地図作成や測量の分野でも大きな発展があった。錬金術師ジョン・ディー(1527年 - 1608年)も風変わりではあるが影響力が多く、名を挙げるに値する。

このような科学的・技術的進歩の多くは、実務的な航法の技法に関連していた。特にエリザベス朝において、イングランド人は探検で多くの成果をあげた。フランシス・ドレーク(1540年頃 - 1596年)は世界一周を果たし(1577年 - 1581年)、マーティン・フロビシャー(1535年頃 - 1594年)は大西洋を探求した。イギリスが初めて北アメリカの東海岸に植民地を開拓したのもこの時期で、ロアノーク島に植民地を築いたが失敗した(1587年)。

エリザベス朝では重要な技術革新もあった。1564年、オランダから来たギリアム・ボーネン(Guilliam Boonen)は、エリザベス1世の初めての四輪馬車を作った。こうして、ヨーロッパで発明されたバネのサスペンションを持つ四輪馬車が、それまでの駕籠や二輪馬車に代わる輸送手段としてイングランドにも導入された。後世のスポーツカーの流行のように、四輪馬車は瞬く間に当時の流行となった。清教徒などの批評家達は、「様々な偉大な淑女達」が新しい四輪馬車に乗って「地方を行き来している」と批判的に述べている[8]


注釈

  1. ^ 『女王エリザベス』(The Private Lives of Elizabeth and Essex, 1939年)や『シー・ホーク』(The Sea Hawk, 1940年)など

出典

  1. ^ Britannica Online.
  2. ^ Melissa D. Aaron, Global Economics, Newark, DE, University of Delaware Press, 2005; p. 25.統治の後半の数十年間に、戦費の出費(1589年の艦隊とオランダ戦役)によって余剰金は失われた。1603年にエリザベスが亡くなったとき、イングランドは35万ポンドの負債を抱えていた。
  3. ^ Ann Jennalie Cook, The Privileged Playgoers of Shakespeare's London, 1576–1642, Princeton, NJ, Princeton University Press, 1981; pp. 49-96.
  4. ^ Christopher Hibbert, The Virgin Queen: Elizabeth I, Genius of the Golden Age, Reading, MA, Perseus, 1991.
  5. ^ George Macaulay Trevelyan, England Under the Stuarts, London, Methuen, 1949; p. 25.
  6. ^ Charles Mackay, Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds, London, Richard Bentley, 1841; reprinted New York, Farrar Straus & Giroux, 1974; pp. 462-564.
  7. ^ Alfred Hart, Shakespeare and the Homilies, Melbourne, 1934; reprinted New York, AMS Press, 1971.
  8. ^ Ann Jennalie Cook, Privileged Playgoers of Shakespeare's London, pp. 81-2..
  9. ^ Ellis Waterhouse, Painting in Britain 1530 to 1790, fourth edition, New York, Viking Penguin, 1978; pp. 34-9.


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