シングルトン限界
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/06/12 02:07 UTC 版)
シングルトン限界(英: Singleton bound)とは、符号のパラメータの比較的大雑把な限界値を指す。符号 C のパラメータとは、符号語の長さ n、シンボル数(アルファベット)r、最小ハミング距離 d である。
定義
q進数の符号において、符号語の長さが n であるとき、可能な最大符号語数を Aq(n,d) とする。なお、q進数の符号は、q個の要素の体上の符号である。2つの符号語間の最小ハミング距離を d とする。すなわち、その符号内の任意の2つの符号語 w と w' について が成り立つ。
すると
が成り立つ。
証明
q進数の符号で、符号語の長さが n なら、符号語数 r の最大は qn となる(符号語の各桁は他の桁とは独立に q 種類の値をとりうるため)。
C がq進数の符号であるとする。その全符号語 はそれぞれ異なる。各符号語の先頭から d − 1 桁を除去したとき、全符号語の最小ハミング距離は d なので、残った符号語もそれぞれ異なる値でなければならない。したがって、符号語数 r は変化しない。
この新たな符号の長さは
- n − (d − 1) = n − d + 1
となり、可能な最大符号語数は
- qn − d + 1
となる。したがって、元の符号も符号語数について同じ限界を持つ。
関連項目
- ギルバート=バルシャモフ限界
- プロトキン限界
- ハミング限界
- ジョンソン限界
シングルトン限界と同じ種類の言葉
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