OK-650 (原子炉)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/24 04:40 UTC 版)

OK-650は旧ソ連時代に開発され、ロシア海軍の原子力潜水艦に搭載されている加圧水型原子炉を中心とする原子力推進システムである。685型 (マイク型)、945型 (シエラ型)、971型 (アクラ型) [1]に各1基、941型 (タイフーン型) および949型 (オスカー型) には各2基搭載された[1]。

濃縮度20-45%の高濃縮ウラン燃料[1][2]を用い、熱出力190MWを発揮する加圧水型原子炉である。OKBMアフリカントフで1970年代に開発され、事故や故障の可能性を最小化することに主眼をおいて設計された。監視システムは放射能の漏洩を速やかに検出できるよう設計され、新世代の炉心緊急冷却システムを備えていた[3]。ボレイ型 (955型) にも採用されている。
型式
原型炉は1975年にA・P・アレクサンドロフ名称科学技術研究所(NITI)のKV-1サイトに設置された。2012年時点で稼動している[4]。
原子炉 システム |
原子炉 | 設計局 | 熱出力 (MWth) |
炉型 (核燃料) |
初臨界 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
OK-650 | 2×PWR | アフリカーントフ | 190 | PWR (30~45%HEU) |
1981 | タイフーン型原子力潜水艦(941号計画型) KV-2原型炉施設(ソスノヴイ・ボール市) |
OK-650B | 1×PWR | 190 | 1987 | シエラⅠ/Ⅱ型(945/945A号計画型) アクラ型(971/971I/971U/971M号計画型) |
||
OK-650B | 2×PWR | 190 | 1982 | オスカーⅠ/Ⅱ型(949/949A号計画型) | ||
OK-650B3 | 1×PWR | 190 | 1984 | マイク型(685号計画型) | ||
OK-650V | 1×PWR | 190 | 2013 | ヤーセン型(885号計画型)・ボレイ(955号計画型) |
原子炉区画の事故
- B-534 ニジニ・ノヴゴロド - 2001年に原子炉区画で事故が発生し、2008年4月まで修理を実施した。
水没事故
これまでに3基が搭載潜水艦の沈没事故により海没し、うち1基は現在も海底にある。
- K-278 コムソモレツ - バレンツ海の水深1,685メートルの海底に沈んでいる。微量の放射能漏れが検出されているが環境への影響はないとされる。
- К-141 クルスク - 艦首の一部以外は引き揚げられ、核燃料の取り出しが行われた。
脚注
- ^ a b c Lobner2018:78、95/393
- ^ “Russia hands over a nuclear submarine to India”. fissilematerials.org. 2012年12月9日閲覧。
- ^ “2.3 Development of naval reactors”. www.bellona.org. 2010年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月9日閲覧。
- ^ Lobner2018:62、65/393
- ^ Lobner2018:78、95/393
参考文献
- Peter Lobner (2018年). “Marine Nuclear Power: 1939 – 2018 Part 3A: Russia”. lynceans. 2023年7月28日閲覧。
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