Flappy Birdとは? わかりやすく解説

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Flappy Bird

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/17 09:58 UTC 版)

Flappy Bird
ジャンル カジュアルゲーム、横スクロールアクションゲーム
対応機種 iOS
Android
開発元 .Gears(英語版)
発売元 .Gears
デザイナー ドン・グエン(英語版)(Nguyễn Hà Đông)
人数 1人
発売日 iOS:2013年5月24日
Android:2014年1月30日
テンプレートを表示

『Flappy Bird』(フラッピーバード)は、ベトナムのゲーム開発者ドン・グエン(英語版)(Nguyễn Hà Đông)が、自身のゲーム開発ブランド.Gears(英語版)(DotGears)名義で開発したモバイルゲームである[1][2]。2013年5月24日にiOS向けとして公開され、2014年1月30日にAndroid版が公開された[3]。

画面をタップして鳥を上昇させ、上下に配置された土管の間を衝突せずに通過し続けるという簡潔なゲーム内容を特徴とする[4]。公開当初は大きな注目を集めなかったが、2014年1月から急速に人気が拡大し、各国のApp Storeランキングで上位に入るスリーパーヒットとなった[5]。2014年2月初頭には5000万回以上ダウンロードされたと報じられ、グエンはゲーム内広告による収入が1日あたり約5万ドルに達していたと述べている[6]。

一方、グエンは同年2月、自身がゲームの「中毒性」を問題視したことなどを理由に配信を停止した[1][7]。突然の大流行と配信停止は多数の模倣作品を生み、同年のインターネット文化を象徴する現象の一つとなった[8]。

ゲーム内容

『Flappy Bird』は横方向に自動的に進む鳥を操作するゲームである。プレイヤーが画面をタップすると鳥が上昇し、操作しなければ重力によって下降する。画面上には上下から土管が伸びており、鳥をその間の隙間に通過させる必要がある[4]。

土管の組を1つ通過するごとに1点が加算され、鳥が土管または地面に接触するとその時点でゲーム終了となる[4]。複雑な操作、ステージ選択、物語などをほとんど持たず、1回のプレイを短時間で繰り返す構造となっている。Gamezeboは、操作方法自体は即座に理解できる一方で、正確なタイミングを要求するため極めて難度が高いゲームとして評している[4]。

開発

グエンはベトナムのハノイを拠点としてゲームを開発していた。本人へのインタビューによれば、『Flappy Bird』の開発に要した期間は2日から3日程度であった[1][9]。

グエンは、当時のスマートフォン向けゲームについて複雑すぎるものが多いと考え、移動中などでも短時間で遊べる単純なゲームを志向していた[10]。ゲームの基本的な操作については、グエンが卓球のラケットでボールをできるだけ長く弾ませ続ける動作から着想を得たと説明している[11]。初期版は完成版より容易だったが、グエン自身が「退屈」と感じたため難度を引き上げたという[11]。

グエンが運営するDotGearsは、自社のゲームについて、レトロなピクセルゲームの影響を受け、「純粋」で非常に難しく、短時間で楽しめる設計を特徴としていた[2]。

公開と急速な流行

iOS版は2013年5月24日に公開された[1]。公開後しばらくは目立ったヒットとはならなかったが、2014年1月に入るとダウンロード数が急増した[4][5]。同月末には米国や中国などのApp Store無料アプリランキングで首位となり[12]、1月30日にはAndroid版もGoogle Playで公開された[3]。

日本でも報道され、2014年2月6日時点で米国App Storeの無料アプリランキング1位、日本でも16位となっていた[13]。

グエンは2014年2月5日のインタビューで、広告収入が1日あたり約5万ドルに達していると述べた[6]。各メディアはこの時期までに5000万回以上ダウンロードされたと報じている[7]。

Googleが後に公開した「Year in Search 2014」では、『Flappy Bird』は2014年の世界のゲーム検索トレンドで1位となり、『2048』、『FIFA 15』、『Destiny』などを上回った[8]。また、Googleの世界全体の2014年検索トレンドでは総合6位に入っている[14]。

配信停止

2014年2月8日、グエンは自身のTwitter(現X)で、22時間後に『Flappy Bird』をApp StoreおよびGoogle Playから削除すると予告した[15]。翌9日、予告通り両ストアから新規ダウンロードできない状態となった[16][17]。

突然の削除をめぐっては、ゲーム内のグラフィックとマリオシリーズとの類似性を理由に任天堂から法的な圧力を受けたのではないかとの推測も報じられた。しかしグエン自身は削除について「法的問題とは関係ない」と述べており[15]、任天堂の広報担当者も『ウォール・ストリート・ジャーナル』に対し、同社が『Flappy Bird』について苦情を申し立てた事実はないと否定した[18]。

グエンはその後の『Forbes』によるインタビューで、本作について、もともとは数分間気軽に遊ぶことを想定していたが「中毒性のある製品」になってしまい、それを問題だと考えたため配信を停止したと説明した[1]。人気による取材や注目が私生活にも影響しており、配信停止後には精神的な負担が軽減したとも述べている[1][10]。

配信停止直後には、『Flappy Bird』がインストールされたままのスマートフォンがeBayなどで高額出品される現象も起きた[19][20]。

改訂版とアーケード版

グエンは配信停止後、将来的な再公開の可能性を否定せず[10]、2014年5月には新たなバージョンにマルチプレイヤー機能を加え、従来より「中毒性を低く」して公開する予定だと説明した[21]。

同年8月1日、改訂版の『Flappy Birds Family』がAmazon Fire TV向けに公開された[22]。同作には2人対戦モードや新たな障害物が追加された[22]。

さらに、米国のアミューズメント機器メーカーBay Tek Entertainmentは『Flappy Bird』を題材とする業務用アーケードゲームを展開した[23]。このアーケード版は大型ディスプレイと1個のボタンで操作し、成績に応じてチケットを払い出す方式となっていた[23]。

評価

評価
集計結果
媒体 結果
Metacritic 52/100[24]
レビュー結果
媒体 結果
Gamezebo 70/100[4]

レビュー集積サイトMetacriticでは、iOS版は7件の批評を基に100点満点中52点で、「Mixed or Average」(賛否混在または平均的)に分類されている[24]。7件の内訳は5件が中程度、2件が否定的な評価であった[24]。

GamezeboのJim Squiresは100点満点中70点を付け、ゲームが非常に単純である一方、容易に理解できても習熟が難しい設計を評価した。また、その単純さと強い難度が同時に魅力と苛立ちの原因になっていると評している[4]。

一方で、難度の高さ、ゲーム内容の単調さ、既存作品との視覚的・機構的な類似性については批判も受けた[24][25]。

類似性をめぐる論争

本作の緑色の土管は、任天堂の『スーパーマリオシリーズ』に登場する土管と外観が似ているとして、公開当時から複数のメディアで議論となった[25]。Kotakuは当初、本作が既存のマリオ作品のアートを流用したとの趣旨で批判したが、その後記事を訂正し、『Flappy Bird』の土管自体は新たに描かれたものの、独創的とは言い難いデザインだったとの説明に改めた[25]。任天堂は前述の通り、本作について苦情を申し立てたことを否定している[18]。

また、フランスの開発者Kekが2011年に公開したゲーム『Piou Piou vs. Cactus』との類似性も指摘された。同作は黄色い鳥をタップ操作で上下させ、障害物の隙間を通過させるゲームであり、フランスやベトナムのメディアが『Flappy Bird』との共通点を報じた[26][27]。

Kek本人も両作品の類似性を認識していたが、『Flappy Bird』が自身の作品を実際に盗用したものかどうかについては断定せず、法的措置を取る意向も示さなかった[26]。したがって、これらの類似性についてはメディアや開発者による指摘が存在する一方、『Flappy Bird』が盗作であると法的に認定された事実は確認されていない。

影響

模倣作品

『Flappy Bird』の爆発的な人気と配信停止後、類似した操作方式や名称を持つ多数のゲームがApp StoreやGoogle Playに公開された[28]。2014年3月には、App Storeに1日平均60本以上の『Flappy Bird』型ゲームが追加されていると報じられた[28]。

AppleとGoogleは、利用者に公式版であると誤認させる可能性のある名称や内容を持った一部の模倣アプリを審査で拒否するようになった[29]。

配信停止に便乗した悪意あるAndroidアプリも出現した。トレンドマイクロは、『Flappy Bird』を装ったアプリの中に、有料SMSを送信するなどの不正な機能を備えたものが確認されたとして警告した[30]。

プログラミング教育とOSへの影響

2014年2月、コンピュータ科学教育を行う非営利団体Code.orgは、『Flappy Bird』型のゲームを作成しながらプログラミングの基本を学ぶ教材を公開した[31]。教材では、クリック時の鳥の動作や障害物への衝突時の処理などを、ドラッグ・アンド・ドロップ方式で設定できる[31]。

同年にGoogleが発表したAndroid 5.0 Lollipopには、『Flappy Bird』を模した隠しゲームがイースターエッグとして搭載された。鳥の代わりにAndroidのマスコット、土管の代わりにロリポップが表示される内容だった[32]。

こうした大量の模倣作品や派生作品、教育用途への転用などにより、『Flappy Bird』は2014年のモバイルゲームをめぐる代表的なインターネット現象の一つとなった。Googleの「Year in Search 2014」でもゲーム部門の検索トレンド1位に位置付けられている[8]。

2024年以降の第三者による再始動

Flappy Bird (2024年のコンピュータゲーム)(英語版)も参照。

2024年9月、「The Flappy Bird Foundation」を名乗る団体が、『Flappy Bird』の名称を用いた新たなゲームプロジェクトを発表した[33]。ただし、このプロジェクトはグエンおよびオリジナル版の開発チームによる続編ではない。

米国特許商標庁(USPTO)の商標審判部(TTAB)の記録によれば、Gametech Holdingsは2023年9月29日、グエン名義の「FLAPPYBIRD」の商標出願に対して異議を申し立てた[34]。同記録では、グエン側から所定の回答が提出されなかったことを受けて2023年11月30日にデフォルト通知が出され、2024年1月10日に異議申立てが認容され、1月12日に手続が終了している。グエン名義の当該出願は「ABANDONED - AFTER INTER-PARTES DECISION」と記録されている[34]。

その後、The Flappy Bird FoundationはGametech Holdingsから『Flappy Bird』に関する権利を取得したとして、新作を「公式」の復活版として発表した[33]。一方、グエンは2024年9月、自身はこのプロジェクトに「何の関係もない」とし、権利を売却してもいないと表明した。また、同プロジェクトをめぐって暗号資産やWeb3との関係が報じられた際には、自身は暗号資産を支持していないとも述べた[35]。

新プロジェクトは当初、ウェブ版を2024年、iOSおよびAndroid版を2025年に展開する計画を示していた[33]。2024年9月にはTelegram上のミニアプリとして展開され[36]、2025年4月29日にはAndroid向けの新『Flappy Bird』がEpic Games Storeで公開された[37]。Epic Games Storeでは開発元を「Flappy Bird」、発売元をFlappy Bird Publishing PTE. LTD.とし、同ゲームを同社が構築・所有していると記載している[37]。このため、2013年にグエンと.Gearsが開発した本項のオリジナル版とは、開発・運営主体を区別する必要がある。

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 Nguyen, Lan Anh (2014年2月11日). “Exclusive: Flappy Bird Creator Dong Nguyen Says App 'Gone Forever' Because It Was 'An Addictive Product'” (英語). Forbes. 2026年9月17日閲覧。
  2. 1 2 “DOTGEARS” (英語). DOTGEARS. 2026年9月17日閲覧。
  3. 1 2 “Flappy Birds' popularity on iOS leaves 'experts' baffled” (英語). NDTV (2014年2月1日). 2026年9月17日閲覧。
  4. 1 2 3 4 5 6 7 Squires, Jim (2014年2月4日). “Flappy Bird Review” (英語). Gamezebo. 2026年9月17日閲覧。
  5. 1 2 Williams, Rhiannon (2014年1月29日). “What is Flappy Bird? The game taking the App Store by storm”. The Daily Telegraph (英語). 2026年9月17日閲覧.
  6. 1 2 Hamburger, Ellis (2014年2月5日). “Indie smash hit 'Flappy Bird' racks up $50K per day in ad revenue” (英語). The Verge. 2026年9月17日閲覧。
  7. 1 2 Warr, Philippa (2014年2月12日). “人気ゲーム「Flappy Bird」、提供中止の理由は「中毒性」”. WIRED.jp. 2026年9月17日閲覧。
  8. 1 2 3 “Flappy Bird, 2048, Destiny” (英語). Google Year in Search 2014. Google. 2026年9月17日閲覧。
  9. ↑ “Game Việt gây bão toàn cầu được viết trong 3 ngày” (ベトナム語). VnExpress (2014年2月6日). 2026年9月17日閲覧。
  10. 1 2 3 Kushner, David (2014年3月11日). “The Flight of the Birdman: Flappy Bird Creator Dong Nguyen Speaks Out”. Rolling Stone (英語). 2026年9月17日閲覧.
  11. 1 2 Crecente, Brian (2014年7月21日). “Flappy Bird creator says game was inspired by bouncing a ping pong ball on a paddle” (英語). Polygon. 2026年9月17日閲覧。
  12. ↑ Hodapp, Eli (2014年1月31日). “'Super Ball Juggling' and 'Shuriken Block' Join 'Flappy Bird' in Top Free Downloads Chart” (英語). TouchArcade. 2026年9月17日閲覧。
  13. ↑ “全米で大ヒットの無料ゲーム「Flappy Bird」をプレイしてみた”. GAME Watch. インプレス (2014年2月7日). 2026年9月17日閲覧。
  14. ↑ “Year in Search 2014” (英語). Google Trends. Google. 2026年9月17日閲覧。
  15. 1 2 Etherington, Darrell (2014年2月8日). “Flappy Bird Creator Says He's Taking The Game Down Tomorrow” (英語). TechCrunch. 2026年9月17日閲覧。
  16. ↑ “人気ゲーム「Flappy Bird」、予告通りApp StoreとGoogle Playから消える”. ITmedia NEWS (2014年2月10日). 2026年9月17日閲覧。
  17. ↑ Etherington, Darrell (2014年2月9日). “Flappy Bird Is Gone From The App Store” (英語). TechCrunch. 2026年9月17日閲覧。
  18. 1 2 Purnell, Newley (2014年2月10日). “Nintendo: No Complaints About 'Flappy Bird'”. The Wall Street Journal (英語). 2026年9月17日閲覧.
  19. ↑ McCracken, Harry (2014-02-09). “Where to Get Flappy Bird: On eBay, for $900. Cheap!” (英語). Time 2026年9月17日閲覧。.
  20. ↑ Molina, Brett (2014年2月10日). “Phones with 'Flappy Bird' app fetching big bids on eBay”. USA Today (英語). 2026年9月17日閲覧.
  21. ↑ “「Flappy Bird」、8月に復活へ マルチプレイ対応で「中毒性は低く」”. ITmedia NEWS (2014年5月15日). 2026年9月17日閲覧。
  22. 1 2 Makuch, Eddie (2014年8月1日). “Flappy Bird Returns With Multiplayer, But Only for Amazon Fire TV Right Now” (英語). GameSpot. 2026年9月17日閲覧。
  23. 1 2 Stuart, Keith (2015年1月12日). “Flappy Bird lands on arcade machine”. The Guardian (英語). 2026年9月17日閲覧.
  24. 1 2 3 4 “Flappy Bird (2013) Critic Reviews” (英語). Metacritic. 2026年9月17日閲覧。
  25. 1 2 3 Schreier, Jason (2014年2月6日). “Flappy Bird Is Making $50,000 A Day With Mario-Like Art [UPDATE 3]” (英語). Kotaku. 2026年9月17日閲覧。
  26. 1 2 “« Flappy Bird », un jeu pour mobile stoppé en plein vol”. Le Monde (フランス語). 2014年2月10日. 2026年9月17日閲覧.
  27. ↑ “Flappy Bird est-il la contrefaçon d'un jeu français ?” (フランス語). TF1 INFO (2014年2月6日). 2026年9月17日閲覧。
  28. 1 2 Tassi, Paul (2014年3月6日). “Over Sixty 'Flappy Bird' Clones Hit Apple's App Store Every Single Day” (英語). Forbes. 2026年9月17日閲覧。
  29. ↑ Perez, Sarah (2014年2月15日). “Apple & Google Begin Rejecting Games With 'Flappy' In The Title” (英語). TechCrunch. 2026年9月17日閲覧。
  30. ↑ “Fake Apps: Feigning Legitimacy” (PDF) (英語). Trend Micro. 2026年9月17日閲覧。
  31. 1 2 Lowensohn, Josh (2014年2月26日). “Code.org turning the ashes of 'Flappy Bird' into a phoenix of coding education” (英語). The Verge. 2026年9月17日閲覧。
  32. ↑ Seifert, Dan (2014年10月17日). “Android 5.0 Lollipop's Easter egg is a Flappy Bird clone” (英語). The Verge. 2026年9月17日閲覧。
  33. 1 2 3 Yamanaka, Taijiro (2024年9月16日). “幻の大人気スマホゲーム『Flappy Bird』の新作が発表されるも、原作者は「無関係だし権利を売ってはいない」と表明。対する新作開発元は「法的な権利はある」と主張”. AUTOMATON. 2026年9月17日閲覧。
  34. 1 2 “Opposition No. 91287432: Gametech Holdings, LLC v. Dong Nguyen Ha” (英語). TTABVUE. United States Patent and Trademark Office. 2026年9月17日閲覧。
  35. ↑ Ha, Anthony (2024年9月15日). “Flappy Bird's creator disavows 'official' new version of the game” (英語). TechCrunch. 2026年9月17日閲覧。
  36. ↑ Decrypt (2024年9月). “Flappy Bird Returns as Telegram Crypto Game as Creator Denies Involvement” (英語). Decrypt. 2026年9月17日閲覧。
  37. 1 2 “Flappy Bird”. Epic Games Store (2025年4月29日). 2026年9月17日閲覧。

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